7.勇者
〆切一日過ぎた上に短いです。すみませんm(__)m
あと題名がようやく決まりました!
また説明回……
次からやっとお話が進みそうです
序章のうちはしばらく説明臭くなってしまいます。
ファンタジーを書くに当たって世界観を固めるのは必要と考えますので退屈かもしれませんがお付き合い下さい
翌朝、荷物をまとめ(大した持ち物もないが……)村長にこの村を出る旨を伝える
「そうですか……記憶もまだ戻っていないのでしょう?このまましばらくこの村にいても構わないのですよ?」
「いえ、むしろ一か月もなんの持ち合わせのない私たちを泊めていただき本当にありがとうございます、そう言っていただけるのは嬉しいのですがこの子を一刻も早く親元へ帰してあげたいのです」
そういってリゼリアの肩に触れる
記憶はそもそも失っていないわけだから戻らないしね
「そう……ですか……そうですな、まだ小さいのに親元から長らく離れているのは寂しいでしょう、ですが魔族にはくれぐれもご注意くだされ」
これがリゼリアが角を隠している理由だった
つまるところ人間たちは無条件に魔族を魔王に組するものとして敵視しているのである
「大きな道を行くだけですからそんなに心配はいらないですよ」
「ハハハ、そうですなそれから………勇者にもご注意くだされ」
村長は一度言葉を切って耳元に寄ると小声でそう言った
「勇者………ですか??」
「そうです、王国は魔王討伐のため、お抱えの神官の信託によって選ばれたものを勇者として様々な特権を与えているのです」
「そのどこに問題が??」
「はい、ですが魔王討伐に取り組んでいる勇者はあまりいません、魔王を倒して特権を失うくらいなら現状を維持した方が旨いのでしょう」
「特権ってのはそんなにもすごいものなのですか??」
「いえ、立ち入り禁止区域への出入り等特権自体は大したものではありません、ですが誰かを殺して『魔族と繋がっていた』と言われれば我々は何も言えないのです」
「なるほど……特権はもちろん何より勇者という肩書だけで融通が利くってことですね……」
「そう言うことです、更に勇者の中には役人や商人と手を組んで悪事を働くものいると聞きます」
「それを王国は関知しないのですか!?」
「先ほども言いました通り、役人や商人と組んでいる勇者も少なくないのです、役人や力のある大臣からしても勇者という使い勝手の良い駒を失いたくないのでしょう」
「そんな………」
絶句した、何も言葉が出てこなかった
俺の知る勇者と言えば正義感が強くて世界を救う英雄だった
だが、どうだろう
話を聞く限り勇者はそんなに立派なものじゃない
所詮、俺の知る勇者は架空のものでしか無いのだろう
確かに話を聞けば理解は出来る
だけど、納得は出来ない
俺の中の勇者という概念が、イメージが納得を妨げる
「キョウヤ殿は記憶を失う前は大層正義感の強い方だったようですな、わしらからするともうそれが普通になってしまっていて怒りも絶望も感じませぬ」
そう言って村長は力無く笑う
その諦観を含んだ笑顔がその話が現実であることをことさらに実感させる
「………………」
何かを言おうと口を開くが何を言っていいのかわからず言葉が出てこない
「あくまで噂程度ですが、この辺では人を拐って売っている勇者一行がいるとも聞きます、大きな道を行くのなら魔物や魔族より人にお気をつけくだされ」
驚いた、俺は既に勇者の被害に遭っていた
なるほどアレは勇者だったのか……
通りで強いわけだ
俺が弱かったってのも否定できないけど……
ならそれをこともなく一瞬で殺したあの男は一体何者だったのだろう……
その後、村長に家にあった剣を持ち出す許可をもらうと日が高いうちに村を出ることにした