6.村での生活
ごめんなさい説明回です!
お詫びに文章1.5倍()
序章のうちはしばらく説明臭くなってしまいます。
ファンタジーを書くに当たって世界観を固めるのは必要と考えますので退屈かもしれませんがお付き合い下さい
村に来てから一ヶ月が経った
村に着いた翌日の朝
訪問してきた村長に俺は上手く説明……どころか会話すらも覚束なく
結局リゼリアが代わりに説明してくれた
過去に何かあったのかリゼリアは人間を極度に怖がっており
最初は俺の後ろに隠れていたのだが、あまりに俺の言語が拙く遅かったため会話にならず
それを見たリゼリアが勇気を振り絞って代わりに説明するという情けない結果だ
俺についてはリゼリアにもよくわかってなかったので記憶喪失という扱いにしたと二週間ほど経ってどうにか会話が出来るようになった頃にリゼリアから聞いた
まぁ別世界から来ましたなんて言ったら痛い奴と思われるに違いないので今後も伏せておくことにしよう
この一ヶ月、村の人たちは非常に良くしてくれる
食べ物や生活必需品は分けてくれるし、この世界の常識や現状についても色々と教えてくれた
俺はお世話になってばかりでは申し訳ないと思い、村の人たちの畑仕事を手伝った
『手伝った』と言っても始めのうちは現代っ子の俺は何一つ上手く出来なかったし、すぐにバテるし、筋肉痛にも悩まされ役に立っていたとはお世辞にも言いにくい状態だったが……
お陰さまで今では随分と体力もついたし、筋肉も付いた気がする
それに村の人たちの手伝いをして何よりも良かったのが、たくさんの会話の機会に恵まれて大分話せるようになったことだ
もちろんそれは家に帰って夜に勉強したり、リゼリアに教えてもらったこともあるだろうが、やはり一番大きいのはその言語圏で生活したことだろう
今では問題なく会話が出来るし、文も読める
ただ難しい言葉や専門用語、ことわざなんかを使われるとわからないし、文法もまだ心許ないので文章は書けなくもないがかなり稚拙な文になってしまう
では一ヶ月リゼリアはと言うとずっと借りている家にいた
角のことがバレてしまう恐れもあったし、本人も人間を怖がっているので家から出ることはほぼ無かった
そうなるとリゼリアが関われる相手は俺しかいないわけで
リゼリアは今となってはかなり俺に心を許してくれている
俺が家に帰ると嬉しそうにするし、俺の拙い言語勉強にも喜んで付き合ってくれた
リゼリアは結構、人に尽くすタイプらしい
家事の大半も進んでやってくれた
家事、勉強などの現実的な面はもちろんのこと精神的な面でも毎日頑張れたのはリゼリアのお陰と言っても過言では無いだろう
感謝してもしきれない俺は毎日のように感謝の言葉をリゼリア言っていたがある日
「そんなに気にしないで、こうして食べ物を分けてもらえるのはキョウヤがお手伝いして、村の人たちに信頼してもらえてるからなんだし、私にはそれは出来ない、本来なら私にはこの食べ物を食べる権利は無いんだから……お礼を言わなきゃいけないのは私の方なんだよ?」
と言うのでこうして毎日頑張れているのはリゼリアのお陰だと返すと
「ありがとう、そう言ってもらえると私も頑張れる………それじゃあ少しでも早く帰ってきてくれると私は嬉しいかな……」
と少し頬を染めて言った
俺は正直、ドキッとした
少女相手に何をと思うかもしれないが、その様子はなんと言うかこう……そう、萌えた
俺はそろそろこの村を出ようと考えている
村の人たちにこれ以上迷惑はかけられないし、
リゼリアをこのまま家の中に押し込んだ生活をいつまでも続けるわけにはいかない、何より俺の最初の目標はリゼリアを家に帰してやることだ
一番の懸念は盗賊や魔物との遭遇だ
ファンタジーっぽい世界だなと薄々は思っていたが魔物までいるとなると本格的に実感が沸いてくる
整備された大きな道を行けば草原などを突っ切るよりは大分安全とのことだがそれでも俺なんかがリゼリアを守りながら旅をするのは不安だった
この世界に来た初日の記憶から俺は間違いなく弱い部類だし、何か特別な能力を授けられた記憶もない
懸念の山についため息を漏らす
「どうしたの?何か悩みごと?」
それを見逃さず、リゼリアが心配顔で聞いてくる
俺はしまった!と思いながらも笑顔をつくる
リゼリアは優しすぎる
少しでも俺が困った顔をすればまるで自分のことのように一緒に悩んでくれる
「何でもないよ」と誤魔化せば泣きそうな顔すらしてくる
その顔は「私を頼ってはくれないのか」と言われているようであり、俺に話す以外の選択肢を選べなくしてくる
だからこそリゼリアの前では悩んでる様子を見せないように注意を払ってきたのに……
「そろそろ村を出ようと思うんだ」
こうなってしまっては話すしか無いのだから俺は諦めて悩んでいる内容を打ち明ける
「うん、そうだね、いつまでも村の人たちに迷惑を掛けるわけにもいかないし」
「でも俺は道中リゼリアを守りきれるか不安なんだよね……」
よく考えたらこれリゼリアに相談するのめちゃくちゃ恥ずかしい内容だな
「あー……うーん……でも大きな道を行けば安全なんでしょ?」
「"比較的"安全というだけであって盲信して良いものではないよ」
「キョウヤって結構慎重なんだね」
何が面白いのかリゼリアはクスリと笑う
「俺だけなら良いけど、でもリゼリアも居るんだ慎重にもなるさ」
「え……あ……うん……」
よくわからないが今度は少し頬を染めてしおらしくなる
子供は感情の起伏が激しいな……
「どうしたものかなぁ……」
「うーん……私も少しなら魔法も使えるし、そんなに悩まなくても近くの町までなら大丈夫じゃないかな?」
あ、リゼリアさんも魔法使えたんですね……
いい忘れていたがこの世界には魔法も存在する
もうファンタジーっぽいとかじゃなくてファンタジー(断言)だね
村の人たちが火種を作るのとか急遽水が必要になった時とかに魔法を使っていた
最初に見た時の感動と驚きは筆舌に尽くし難い
しかし、使うとやはり魔力を使用するようで多用は避けて村の人たちは基本的には井戸の水を汲んで使っている
そしてやはりと言うべきか代わりに科学はほとんど発達していない
元の世界で言えば科学レベルは産業革命以前程度と言ったところだろう
そして科学と魔法どちらが便利かと言えば断然科学だ
火種を作る、水を出す等々……
逆にその程度の出力でしか普通の人は魔法が使えない
携帯電話一つでお釣りが来る位に科学の圧勝だ
ちなみに俺は当然のごとく魔法は使えない
まず感覚がわからん
どこにどうやって力を入れたら水が出たり火をつけたり出来るのかまったくわからん
「でもまぁ備えはあればあるだけ良いからこの剣くらいは持っていこうかな」
そう言ってこの家に元々あった随分と錆びている剣を示す
「キョウヤ戦えるの?」
「いえ……戦闘経験は皆無です……」
「じゃあ持ってても仕方ないんじゃない?重いだけだよ」
「んー、そうかもしれないけど持ってるだけで威嚇になるかなと」
「うーん……なるほど、そういうものなのかなぁ……」
リゼリアはまだ納得がいっていないようだが俺は強くそう思う
そうあの時も、もし剣を持っていたら襲われなかったんじゃ無いだろうか
よほど腕に自信がなければ武器をもった相手を襲おうとは考えないはずだ……多分……
「一ヶ月毎日鍬を振るってたんだ、少し位は剣も振るえるよ」
そう言って笑って見せるがリゼリアは最後まで不安そうな顔をしたままだった
尚、恭弥は言葉を覚えるためにすっごい努力しました!
そりゃもうすっごく!!←