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seek right  作者: ノラネコ
序章
3/31

2.決断

1話2話にも読みやすいように修正を加えました

話の大筋自体は変わっておりませんので読み直す必要はありません

ゆっくりな更新で申し訳ありません



序章のうちはしばらく説明臭くなってしまいます。

ファンタジーを書くに当たって世界観を固めるのは必要と考えますので退屈かもしれませんがお付き合い下さい

僕はじっと目を凝らし続ける。


見えない……

だいぶ目も闇に慣れてきたけどもこの距離だとフードの中までは見えないか……


このままあの子を見ていても埒があかないと思い、僕は状況を整理してみることにした。


まず第一にあのおじいさんに連れられて此処へやってきたわけだけどそもそも此処は何処だ?

暗かったはずの空が扉を潜った先では晴天だった。

まずは夢を疑うべきだが、痛みは普通に感じるし、何より一度ならず二度も寝たが覚める様子はない。

仮にあの扉がどこでもドアのようなものだったとして、夜が昼に変わる距離というのはかなり経度がずれていることになる。

この地球上にまだ剣などを持ち歩いて突然襲いかかってくる集団などいるのだろうか……


考えられる他の可能性として、ここが地球上ではないという説。

突拍子もない話だが、それはどこでもドアを実体験してる時点で今さら考慮することではないだろう。

そしてこの説が有力だと思われる。俗に言うここは異世界ということだ。

仮にここが異世界だとしたならばあのフードの中身は人間だろうか……

いやぁ……流石にあの瞳の紅さはなぁ……

さっきの四人組だって目の紅い人なんていなかったし、僕の知る人間の特徴ではあった。

となるとやっぱり目の前の存在は人間じゃないのかもしれない。


この際、人間じゃなくてもいい

理性のあって話の通じる相手なのだろうか……?

てか、言語はどうなってるんだろう?

日本語でいいのか??

いやいやいや、絶対に通じないだろ!

異世界となると世界共通語である英語ですら通じない……

いやこういう時はご都合主義で日本語が通じるのがファンタジーの常識!

……うん、現実逃避はやめよう

少なくとも僕は神に会った記憶はもちろん何かを授かった記憶もない

え、これ、もしかしなくても詰み?


でも、このまま大人しく待ってても良いことは絶対に無いよな……

捕まった理由がここに拘束するためだとは到底思えない。

この世界の常識を知らないからなんとも言えないけど臓器を売られるか奴隷として売られるか……

そんなのは御免だから早急にもここを出るために行動をしなければならない。


チラリと紅い瞳の持ち主に目を向ける

以前、その目は警戒の意を僕に対して強く向けている。

それを確認すると静かにため息を落とす。


早急にも行動をしたい

したいのだが、警戒されている今動けば相手を刺激することになるのは火を見るより明らかだ。


何をするにもリスクが伴う。

もちろんこうして悩み続けることにすら。


……うん、やっぱり話し掛けよう

待ってても悪いことしか起きない

可能性は低いが、行動した方が助かる見込みはある

とりあえず、紅い瞳の持ち主に協力を仰いでみよう

言語面は不安しか無いけど……

最悪自分は敵対するものではないってことくらいならジェスチャーで伝わるだろう

そうすれば少なくとも気を使わずに小屋の中を行動できる


そうと決まれば次は相手に悪印象を与えないことだ

その辺は元の世界で散々営業としてやって来たことが悲しくも役に立つ

なにより笑顔!

たとえ異世界でもこれが悪印象に繋がることはないだろう


刺激を与えないように完全には立ち上がらず、中腰でゆっくりと近づく


「あのー、すみませんここがどこだかわかりますかね?」


「…………」


無言!?

でももう引くわけにもいかない……!


「僕の言葉わかりますか?」


「…………」


……もう心が折れそう

言語どころか音波が違うとかそういうやつなのかこれ

イルカぐらいの超音波での会話がこっちでは普通ですとか洒落にならんぞ


「えっと……僕、たぶん捕まったと思ったんですけどもあなたも同じでしょうか?」


「§¶‡∬£」


うおおおおおおおおおおおおおおお

反応した!反応したけども!!

やっぱり言語が違う!

音波が同じだっただけ喜ぶべきなのかコレ……

てか……女の子……だよな今の声……

結局フードに隠れるようにしてるから中は見えないし確信はないが……

女の子だとしたら失礼な話だけど、

協力を仰ぐどころかお荷物になる予感しかしないぞ……

大丈夫かな、笑顔……ひきつってないかな……


突然背後でバタンと扉を開く大きな音がして光が入ってくる

何語か検討もつかない言語を話しながら入ってきたのは例の四人組

そして完全に怯えきった様子で頭を抱えるようにして小さくなりながら女の子(?)は片手でしっかりと僕のスーツの裾を掴んでいる。

どうやら笑顔は効果があったらしい


お前嘘だろ!?

返事すらほとんどしなかったくせにすがるのかよ!!

助けてほしかったのはこっちなのに!!


捕まえた時、僕がさほど強くないことを理解したのだろう

四人はこちらに向かって無警戒で近づいてくる


あぁ、今から土下座して謝ったら逃がしてくれないかな……

……言語違うから無理か~

てか、土下座の風習すら無いか……


そんな後ろ向きなことばかり考えていると裾を掴む小さな手から微かなながら振動が伝わってくる。

女の子(?)が後ろで震えているのだ。

それが僕の思考を切り替える。


今まで生きてきて何をやっても中途半端で誇れることなど何一つ無かった。

せめて最期くらい格好よく死にたいな……

後ろにいるのが女の子なのかどうかすらわからないけれど、

この際女の子だと仮定してそれを守ろうとして死ぬのなら少しくらい格好もつくかな……


幸い今回は四人組は剣を持ってない

とはいえ四人である

勝てる見込みはほとんど無いに等しい

でも何もしなければ生き残れる可能性は無い


フードの上から頭を撫で、裾を掴む手を離させる

そして意を決して僕は四人組に向かって突撃した。

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