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seek right  作者: ノラネコ
1章
28/31

27.旅立ち

ごめんなさい、短編小説の締め切りが近づいておりましてこちらを進めることが難しくなっています。

次回も一週間ほど掛かるかもしれませんがご了承下さい

朝になってもリゼリアはしっかりと腕にしがみついていた。

恭弥が起き上がるためにその手を離そうとすると今までの寝起きの悪さが嘘のようにリゼリアは目を開く。


「……おはようキョウヤ」


「お、おはようリゼリア」


流石に至近距離で「おはよう」なんて言われるとドキッとするものがあるな……

いやいや、リゼリアは俺を保護者代わりとして慕ってくれているのだから、邪な考えはリゼリアを裏切ることになってしまう。


恭弥はかばっと身を起こすと頭を振る。

そしてあえて雰囲気を壊すように唐突に話題を振る。


「リゼリア、今日王都を出るよ」


「今日?」


「そう、王都に魔族が入り込んでるって噂が流れてるらしいんだ

早めに出ないと出れなくなるかもしれない」


「そっか、なら急がないとだね

ごめんね、私のせいで……」


「噂の魔族がリゼリアだとは限らないよ」


「ううん、好戦的な魔族なんてそんなにいない

それに王都なんて危ないとこに来るなんてほとんどあり得ないよ」


「いつまでも王都に留まるわけにもいかないし、ちょうど良いさ」


「……ありがとう」


さて、そうは言ったがまだ地図くらいしか準備できてないな……

そもそも野宿とかやり方知らんぞ。

キャンプみたいな感じでやれば良いのか?

いやまずテントとか存在するのか?

とりあえず買い物かな……


--------------------------------------------------


食料は日持ちするものを、他にはテントや寝袋、ランタン等の必要になりそうなものを買い集めた。

こっちの世界にもそれらがあったことは幸いだが、テントは設営が楽なタイプの物は無かった。

正直、少し不安である。


ケイプウッドさんに改めてお礼を言って宿を出る。

スロフリバさんは日中外では会えないし、きっと寝ているだろう。

アスカにも挨拶をと思い、ギルドに寄ったが既に王都を出たらしく会うことはできなかった。


本格的に噂が広まる前だったからかまだ城門では検閲などは行われて無かったため、入ったときと同じように障害無く外に出ることができた。


ゴブリン退治の依頼のため毎日のように見ていた草原の風景だが、今度はこの先の見えない街道を行くのだと思うと少し違って映る。

コンパスを確認して南の方角を確かめるとそちらに向かって街道を歩き始めた。


--------------------------------------------------


南に向かう街道をひたすら歩く。

今のところ時々ゴブリンに襲われるだけで済んでいる。

新しい剣は想像以上に有用だった。

持ってみるだけでは実感の薄い軽さも何回も振るうとなるとその差は大きく、危なげなくゴブリンを撃退できている。


日も中天に差し掛かり、空腹を覚え始めたので木陰で昼休憩にする。

ケイプウッドさんが用意してくれたお弁当は非常に豪華だった。

これでしばらくケイプウッドさんの作った料理は食べられないとなると少し食べるのが勿体無くなる。

とは言え、腹が減ってはなんとやら手を合わせて食べ始める。

そういえば、こちらでは食前に手を合わせる文化は無かった。

こちらの世界で手を合わせるのは俺とその真似をしてるリゼリアくらいではないだろうか。


お弁当を半分ほど食べた頃、遠巻きに囲まれてることにやっと気が付いた。

狼? いや、狼にしては大きい。

4,5匹だろうか目視できるだけでもそのくらいはいる。

リゼリアも気が付いたようで手を止めて身を固くしている。


「き、キョウヤ……」


「うん、わかってる」


不安げに声をかけてくるリゼリアに返事を返すがこれと言って解決方法があるわけではない。

ゴブリンに比べてあの狼もどきがどれくらい強いのか。


そっと荷物から手袋を取り出して手につける。

バチバチと音を立てて放電を始める。

よかった屋外でも変わらず威力を発揮してくれるらしい。

相手も気づかれた以上もう身を隠すつもりはないようで唸りながら包囲を縮めてくる。


剣を握って立ち上がる。

手袋を着けたまま剣を持ったら剣にも電流が流れたりしないかなと期待したがそんな都合の良いことは見たところ無さそうだった。

例え流れてたとしても微量だろう。


飛び掛かってくる狼もどきに剣を振るう。

しかし、一匹目は囮だったようで横にそれるようにして剣の軌道から外れる。

時間差で飛び掛かってくる二匹目を辛うじて前に転がるようにしてかわすが、体勢を整える暇すら与えず直後に飛び掛かってくる三匹目。

必死に身を起こそうとするが間に合わない。


避けられない……っ!


しかし、狼もどきの爪が恭弥に届くとこは無かった。

火球が狼もどきに直撃し、横に飛ばしたのだ。


火球を撃ったのはリゼリアである。

狼もどきたちはリゼリアも脅威になり得ると判断したのか、残りの二匹がリゼリアに向かって走り寄り、飛び掛かる。


リゼリアは魔導率こそ高いが魔力量が少ない連続で魔法を撃つことは出来なかった。

そして、リゼリアに狼もどきをかわせる身体能力はない。


すぐに助けに向かおうと立ち上がるが、二匹の狼もどきが行く手を阻む。


間に合わない……!


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