表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
seek right  作者: ノラネコ
1章
27/31

26.魔道具

メンテナンスに伴い連続投稿が途切れてしまいました、申し訳ありません


コメント、評価などお時間がありましたらお願いします

箱の中には様々なものが入っていた。

謎のオブジェ、使いにくそうな形状の短剣、名状し難きバールのようなもの、不思議な色のアクセサリーetc……


「うわぁ……結構たくさんありますね」


「ろくなもの無いから期待するなよ?」


「この綺麗な青い指輪とか何です?」


「ああ、それつけてる間は目が乾かなくなる魔道具」


「…………」


現代日本だったらドライアイの人に売れそうだな……


「お、これとか旅に出るなら使えるんじゃないか?」


差し出されたのは手のひらサイズの円形の中に針が浮いてる魔道具。


ん?なんか既視感が……


「これ、何してもこの針が同じ方向を向くんだよ。どう?」


やっぱりコンパスだこれ!

ま、まぁ便利だよなコンパス


「これは……手袋?」


「あー、それつけてると電気が発生する手袋

バチッとくる程度だけどな」


「へー」


何の気もなく着けてみる。

すると確かにバチバチと音をたて、時折青紫色に光る。


なんかすごいバチバチいってるし、電気が出てるのが見えるんだけど……

これ、バチッと来る程度なんて威力じゃない気がする……


そっと外して置いておく。


「僕の持ってる剣すごい錆びてるんですよ

何か武器になるもの無いですかね?」


「じゃあこれとか?」


ケイプウッドさんが見せたのは何の変鉄もない剣。


「普通の剣にしか見えませんが……」


「この剣には浮遊のスキルが付いてる」


「浮遊が付いてるとどうなるんです?」


「普通の剣より少し軽い」


「それだけ?」


「それだけ」


実際に持ってみるとなるほど少し軽い。

ずっと振り回してるとかなり辛くなってくるからこの微妙な軽さも馬鹿に出来ないかもしれない。


その後も色々な物が出てきた。

周囲の温度を少し上げるオブジェ型の魔道具や中が一定以下の温度に保持される箱。


静かだなと思ったらスロフリバさんはいつの間にか眠っていた。

とりあえずコンパス、手袋、剣の三つを譲ってもらいこの日はお開きとなった。


自分の部屋に戻ろうと立ち上がる。


「ああ、そうだキョウヤ

近いうちに王都を出ろ、出来るなら明日にでも」


「唐突ですね、どうしてですか?」


「王都に魔族が入り込んでるって噂が流れ始めてる

今は良いがもっと広がれば出ることも難しくなるかもしれない」


「……やっぱり今回の事が原因ですかね?」


「さぁ、それはわからん

その魔族ってのがリゼリアのお嬢ちゃんのことなのかもわからないしな」


「わかりました、明日荷物をまとめて南に向かおうと思います」


「南……そうか魔族領に向かうのか

気をつけて行ってこいよ」


「はい、お世話になりました」


「おう、またいつでも来い

お前はもう俺達の同志なんだからよ」


自分はまだ一方的に助けられてばかりで、この人達に何一つ報いることが出来ていないのに同志なんて呼んでくれる。

自分にそれほどの価値があるとは到底思わなかったけど、それでも期待を裏切らないように精一杯頑張ろうと思える。

一言だがその言葉にはそんな力があった。


部屋に戻るまでの長くない廊下。

そこを歩く間、頬がつい緩んでしまう。

すごい人たちに同志だと認められたことが素直に嬉しかった。


しかし、その緩んだ表情は自室の扉を開けたときに凍りつくことになった。

部屋には涙目で自分を睨み付けるリゼリアがいた。


「あっ…………」


ヤバイ……なんて言い訳をしよう……


「随分と楽しそうだねキョウヤ……そこに座って」


「夜中だよ? 明日にしないか?」


「座って」


「……はい」


クッ!

一度寝せてしまえば誤魔化せると思ったのに!!


「キョウヤどこ行ってたの?」


「ちょっと夜風に当たりに……」


「それにしては随分と長いと思うんだけど?」


いつから起きてたんだリゼリアさん……


「星が綺麗でつい見とれてしまって……」


「私には今日は曇ってるように見えるけど?」


「…………」


終わった……

もうだめだ……


「も、もしかして誰かに会ってたの?」


「うーん……まぁ……」


ケイプウッドさん達の事ってリゼリアに伝えるべきなのだろうか……


「誰? 誰と会っていたの?」


「それは……」


スロフリバさんのことリゼリアも誤解したままだし、ケイプウッドさんに相談してからの方が良いよなぁ……


「うぅ……女の人と会ってたんだ……きっとそうだ……」


リゼリアは自分で言って涙を流し始める。


「へ?」


何かすごい勘違いをされてるぞ!?

てか、なぜそれで泣かれてるのかわからないが……

もしかして、リゼリアは俺に気があるのか……?

いやいや、すぐに勘違いするのは男の悪い癖だと言うし、そんなことはないだろう。

きっと仮とはいえ、保護者に当たる俺の世俗的な部分にショックを受けたといったところか。

いやそもそも女性に会いに行ってたわけではないのだけど……


「やっぱり私が小さいから……」


ブツブツと何かを呟きながら泣き続ける。


「ええと……ほら! これ見てよリゼリア!

これを受け取りに行ってたんだ!!」


そう言って剣を見せる。


「剣?」


「そうそう! ほら今回のことがあってリゼリアを守れる力が欲しいなと思ってさ

この剣は普通の剣より少し軽く出来てるんだ」


「私の……ため……?」


お? なんかいけそうだぞ


「そうそうリゼリアを守るため!」


「そっか……私のため……エヘヘ」


どうやら上手くいったらしい、やはり子供は構ってほしくて拗ねるのだな……

彼女も出来たこと無いのになんで父親みたいなことしてるんだろう……

これ以上考えるのは止めよう、泣きそうだ……


「キョウヤ、早く寝よう」


どの口が言っているのか、リゼリアはさっさとベッドに入る。

もちろん俺のベッドに……


娘を寝かしつける父親の気持ちが分かる……


布団に入ると先程よりさらに強い力でリゼリアが腕にしがみつく。

もう逃がさないという意志が伝わってくるほど強く。


トイレ行っておけば良かったな……


そう思いながら瞼を閉じた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ