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seek right  作者: ノラネコ
1章
26/31

25.深夜会議

読み返してみてこれ面白いと思って読んでくれてる人いるのかなぁと不安になる今日この頃


またまた3000文字オーバー!


ひとまず落ち着き泣き止んだリゼリアにフード被せて扉を開ける。

扉の先の光景は赤く染まった壁、首の無い死体、対峙するアスカと……スロフリバさん??


「こっちへ来るな!」


自分とリゼリアに気づいたアスカが声をあげる。

どうしてこうなったのか全く見当がつかないがどうやらアスカとスロフリバさんは見た通り敵対しているようだった。

まったく予想できなかった光景にどう声を掛けたものかと混乱しているとスロフリバさんが口を開く。


「なんだ、良い面も出来るじゃないか

そう警戒するな

俺の目的はもう果たしたので帰るとするよ」


そう言って踵を返すとさっさと出ていってしまった。

それを見送り、少しするとアスカはその場にへたりこむ。


「だ、大丈夫ですか!?」


「大丈夫だ、しかし悪いが送ってはやれそうにない」


俯き荒い呼吸を繰り返しながらアスカは言う。


「それは構いませんが……」


「悪いな……先に帰っててくれないか」


「え……あ、はい」


必死なアスカの視線に気圧されるように頷いてしまう。


--------------------------------------------------(アスカ)


心配そうな目を向けながらフードの子を連れてキョウヤが出ていく。

自分としたことが人に心配をかけてしまうなんて……

そうは思うがアスカは実際もう涙をこらえるのに限界を感じていた。

バタリと扉が閉まる。

まるでその振動が伝わったかのように涙が頬を流れるのは同時だった。


言われた通りだった。

自分は人のためではなく自分のために悪事を挫いてきた。

図星だからこそ、その言葉はアスカの心に深く刺さった。


一番悪名高い勇者に自分は諭された。

もうアスカには何が正しいのかわからなくなっていた。

ただわかるのは今までの自分は悪では無くとも、決して正しくも無かったということだった。


王都を出よう。

自分はもう悪事を挫くことは出来ないだろう。

自分にその資格があるのかと自問してしまうから。

そもそも自分は記憶を探すために旅をしていたはずじゃないか。

ここに留まってはそれも果たせない。


そう自分を納得させる一方で自分が逃げようとしてることもまたわかっていた。


自分はもうあの男に会いたくないのだ。

自分の精神を狂わせ、前後不覚に陥れた狂勇者に。


--------------------------------------------------(恭弥)



宿に帰ってからもリゼリアは今まで以上にベッタリだった。

部屋の中でさえも恭弥に付いて回った。

常に半径一メートル以内にいるといっても過言ではないほどに。

トイレなどで一時的に離れる時でさえ、絶望的な表情をするものだからやむを得ない時以外は恭弥も強くは言えなかった。


夜、少しでも語彙を増やそうと辞書を読む恭弥の隣でしがみついたままリゼリアはうたた寝を始める。

今日はさぞ疲れたことだろう。


「リゼリア、ベットに入ったら?」


しかし、ふるふるとリゼリアは首を振る。

恭弥は内心で溜め息を付く。


「ほら、俺ももう寝るから」


そう言うとリゼリアはフラフラと立ち上がると恭弥のベットに入った。


「リゼリアさん? そこは俺のベットですが……?」


しかし、返事は無くリゼリアは黙って恭弥を見つめる。

今度は実際に溜め息を付いて恭弥もベットに入った。

するとリゼリアは嬉しそうに微笑み、恭弥の腕にしがみつくようにするとすぐに寝息をたて始めた。


リゼリアが完全に眠ったことを確認するとそっと恭弥はベットから起き出す。

音を立てないように部屋を抜け出すと反対側の角部屋へ。


扉を開けるとそこには既にケイプウッドさんとスロフリバさんが寛ぎながら話している。


「よう、今夜は来るだろうなと思ってたぜ」


半身になりながらそう言うケイプウッドさん、もうこの人には何を先読みされていても疑問に思わなくなってきた。


中に入れば机の上にはお酒と肴が並べられている。

それも三人分。


「まぁ座れ」


まるで今日は特に何もなかったかのように平然としているスロフリバさんが促す。

とりあえず、座ってから口を開く。


「スロフリバさん、どうしてアスカと敵対してたんですか?」


「そうそう!

疾風の剣姫は標的じゃないでしょ、何やってんのリバ?」


「ちょっと待ってくれ、まるで俺が何かしたかのような話になっているが先に仕掛けてきたのはむこうだぞ?

てか、ケイプは見てただろうが!」


「リバは馬鹿なの?

君は悪名高い賞金首なんだよ?

理由がなくても仕掛けられるに決まってんじゃん!」


「なら、なんで俺を向かわせたんだよ!

8位がキョウヤの味方してたんなら俺が行く必要無かったじゃねぇか!」


「しょうがないじゃん!

リゼリアちゃんが拐われてすぐにリバを向かわせたのにリバがつく前にキョウヤが剣姫を味方にしたんだから!

リバが遅いのが悪い!」


「おいおい、ちょっと待ってくれよ

俺は昨日の夜に一仕事してきて寝ているところを叩き起こされたんだぞ?

コンディション最悪だったんだよ!」


二人がギャアギャアと言い争う。

この二人が感情的になるところなんて初めて見た、それだけお互いを信頼しきっているのだろう。

実際、ケイプウッドさんは宿の店主として日中に会うときと口調が全然違う。

きっとこっちが素なんだろう。

喧嘩するほど仲が良いというやつだろうか。

だが、今は……


「ちょ、ちょっと待ってください!!」


二人の言い争いにかきけされないように大きめの声で制止する。


「8位とか見ていたとか僕にもわかるように説明してもらって良いですか?」


二人は恭弥がいたことをたった今思い出したかのように顔を見合わせると、ケイプウッドさんが口を開く。

こういう役回りはいつもケイプウッドさんなのだろう。


「8位ってのは疾風の剣姫アスカのことだよ、なんだ知らなかったのか?

それから見てたってやつは俺のスキルだ

千里眼ってやつだな、ある程度の範囲内なら俺はどこでも見える」


「そんなことより、キョウヤお前、一人称変わったな」


「おいリバ、そんなことってなんだよ!」


「一人称はさっき覚えました

そういえば、今さらですけどこんなにうるさくしてて大丈夫なんですか?」


「それは大丈夫

防音の魔道具がほれそこに

てか、キョウヤも俺のスキルに反応薄くない?」


ケイプウッドさんが指し示す先には台座の上に大きなゴルフボールのようなものが乗ったオブジェがあり、それは淡く発光していた。


「千里眼すごいですねー、汎用性も高そうだし

あの、魔道具だったら僕にも使えますかね?」


「んー、どうだろう本人の魔力は使わないし、出来るかもね

なんか俺のスキルより魔道具の方が興味有りそうなのは気のせい?」


スロフリバさんがクツクツと笑っている。


魔道具、これなら自分でも戦えるようになるんじゃないか

もう25になった自分が今から体を鍛えてもたかが知れている、魔法には望みがない。

けど、これならば……


「ほ、他にも魔道具って有ったりしますか?」


「あ、これ完璧に魔道具の方が興味ある感じだな……

どうかなー、あるにはあるけど俺もリバも魔道具なんて使わなかったから売れるものは売っちゃったし、使えるものが残ってるかなぁ……」


ケイプウッドさんが立ち上がりそこら辺にたくさんある箱を漁り始める。


「キョウヤ、魔道具は使う環境か、人か、何に原因があるのかはわかっていないが効果にムラが出る

安定した強さを求めるなら自分を鍛えることが一番だぞ?」


確かに、スロフリバさんの言う通りだろう。

だけど、やっぱり異世界に来たからには魔法に憧れる。

強くなるために修行するにしてもそんなにリゼリアを待たせてられないしな。

今回のこともあったし、極力早く力を身に付けたい。


「はい、わかってはいますが早くリゼリアを家に届けてあげたいですし」


「わかってるなら良いが……

俺が稽古をつけてあげられれば良かったんだがな

生憎、外で堂々としてられない身分だから難しい」


「弓術で良ければ教えるけど?

お、あったあった魔道具をしまってた箱、よっと」


ケイプウッドさんが持ってきたのは黒塗りの箱。

その中に入っていたのは……

中に入っていたのは……!!

今から五人で考えます!!←

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