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seek right  作者: ノラネコ
1章
22/31

21.失踪

メンバーが一人増えました!


てか、身内にバレました!!


今後は五人でやっていくことになります(*´∀`)


あと、句読点についての指摘を受けまして書き方をまた変えてみました。

これについても感想ありましたら是非

朝起きて、今日もいつも通りの日々を送る


朝ご飯を食べて。

ギルドに行って。

いつもの依頼を受けて。

それをこなす。


秘密を知って、覚悟を決めても唐突に日常は変わりはしない。


ただ、考え事が一つ増えた。

ケイプウッドさんとスロフリバさんのことをリゼリアに伝えておくべきなのだろうか……?


リゼリアは魔族だ。

王国内の世直しに関係はない。

リゼリアが面倒事に巻き込まれないように、伝えるべきではない気がするが、言わないでいることをリゼリアが知ったら怒る気がする。


今日はその事ばかりに頭を悩ませている。

流石にゴブリンと相対する時はそんな余裕はなかったが……


夕方になり、今日の仕事を切り上げる。

ギルドに寄って報酬を受け取った帰りに雑貨屋に立ち寄ることをリゼリアに伝える。


「ちょっと疲れちゃったから、ここに座って待ってるね」


そう言ってリゼリアは噴水の縁に座る。


一日休んだから体力が落ちてしまったのだろうか?

いや、違うな。

今日はリゼリアはゴブリンに何回か魔法を撃っていた。

自分ではゴブリンと相対してる時は考え事をしていなかったつもりだが、リゼリアから見ると集中に欠けてるように見えたのかもしれない。


別に無理に店の中に連れて入る理由もないなと「わかった」と軽率にも返事をして一人雑貨屋に入ってしまった。

王都での生活に慣れてきたのもあるかもしれない。

それともやはり考え事に気をとられ過ぎて上の空だったのか。

剣は買えなくてもと砥石を買って戻った時にリゼリアはそこに居なかった。


動悸が激しくなる。

息が苦しい。

冷静にどうするべきか必死に考えるが、いつも以上にうるさく聞こえる自分の息遣いがそれを妨げる。


落ち着け、落ち着けと繰り返し自分に言い聞かせる。

大きく深呼吸を一つ。

少しまともになった頭で再び思考の海へ。


魔族であるリゼリアにとってはここにいるすべての人が敵だ。

犯人は絞れない。

一番最悪なのは王国兵に捕まること、国相手では個人で奪い返せるとは思えない。

それに詰所に行って騒げばそれこそリゼリアが魔族であることを知らしめる結果になってしまう。

それで王国兵に捕まったのではなかったら目も当てられない。


違う、今は宛のない犯人探しは無駄だ。

日本の警察のように王国兵を頼ることはできない。

もしかしたら、知り合いにあって先に宿に戻ったのだろうか?

いや、これは希望的観測過ぎる。

それに何も言わずに戻るとも思えない。

宿に確認するより今やるべきことは……


そう今やること、今しかやれないことは……

目撃者!その場を見ていた人がいるかもしれない!!


「あ、あの……!すみません!!

ここに座ってた女の子何処に行ったか知りませんか?!」


噴水の近くで人を待っている様子の人に声をかける。


「女の子……?

あー、フード深く被ってた小さい子のことかな?

それなら、さっき勇者様が連れていったよ

あれは最近繰り上がりでランク内に入った30

位の……なんて言ったかな……そう、ステイルって勇者様だと思うよ

………お気の毒に、フードの子は嫌がってる様子だったけど、勇者様に意見できる人は居なくてね……」


男性は最後の部分は小声でそう言った。


「どっちの方に行ったかわかりますか!?」


「おいおい、正気かよ

身内なのか知らないが勇者様には楯突かない方がいい

あいつらは化け物だ命がいくつあっても足りやしない」


「わかっています、お願いします

どちらに行ったのか教えて下さい」


「………これで死んでも俺のとこに化けて出ないでくれよ

そこの路地に入っていったよ」


「ありがとうございます」


お礼を言うや否や路地に駆け込む。


路地は狭く建物に日が遮られて薄暗い。

平常時だったら好んで通りたいとは思わない所だ。

そこをただがむしゃらに駆け回る。


息が上がる。

胸が苦しい。

でも、走ることはやめない。


自分は一時的な保護者。

リゼリアはただの迷子少女。

家に届けるまでの仮の関係。


違う。

どんな関係かうまく言葉にはできないけど、もうそんな無味乾燥な関係じゃない。


ぜぇぜぇともう自分の荒い息遣いしか聞こえない。

全身にじわりと汗がにじむ。

手足には重い疲労感がまとわりつくように感じる。

でも、だからこそ、止まれない。

今止まったらもう走り出せない気がするから。


何度目かの曲がり角を勢いを緩めずに曲がる。

と同時に、視界に人が入る。

咄嗟に避けようとするが足は思うように動いてくれない。

自分の足に躓いてむしろ体当たりするかのように前に飛ぶ。


しかし、ぶつかることはなくその人はひらりとかわす。

代わりに地面に強く衝突する。

鈍い痛みに耐えながらすぐに立ち上がろうとするが足が重くて思うように動かない。


気付けば日が沈み始めている。

長く延びた建物の影がその人物を隠すように覆っている。


あの身のこなしは普通の人に出来るものではないだろう。

少なくとも俺は全速力で走っていたのだから。

つまり、この人は恐らく……勇者。


この人が30位だろうか。

立ち上がることすらままならないこの状況。

まいったな、絶体絶命だ。

次回、恭弥死す!(二回目)

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