16.王都2
コメント頂いてやる気が出てます_(:3」∠)_
ちょっと久しぶりすぎて各キャラクターの性格を忘れた作者と推敲の仕方を忘れた編集が迷走しながらの投稿がしばらく続きますが暖かい目で見守ってくださいm(__)m
寝返りをうとうとして体に走った痛みで目が覚める
「い゛…………っ!!」
かなり最悪の目覚めだ、人生ワースト10には入るね
うっすら目を開くとここ一ヶ月毎日見続けた天井
あれ?ベットまで移動した記憶が無いぞ……?
たしか俺はおばあさんを受け止めようとしてもろとも飛ばされて……そこから記憶が無い……ということはそこで気絶したのか……
この世界に来てから何度気絶しただろう、気絶慣れしそうだ……嫌だなそれは……
はっきりと目を開いて周りを見渡すとまず右手を握って心配そうに見つめているリゼリアと目が合う
「…………っ!」
するとリゼリアは恭弥が目覚めたことに気が付いたらしく握られた手がさらに強く握られる
その振動に再び鈍い痛みが走るがぐっと堪えて顔に出ないように気を付ける
更に辺りを見渡すと室内にはケイプウッドさんもいた
リゼリアが声を出さなかったから誰かいるのだろうとは思ったが……この人、店はどうしてるのだろう……
ケイプウッドも恭弥が目覚めたことに気が付くと声をかけてくる
「よぉ、お前も弱いくせに大概面白いことをするもんだな」
「ははは……」
言われた通り過ぎてなにも言い返せず笑うことしかできない
「まあお前のやったことは良いことだし、そういうやつは嫌いじゃない、あとはせめて受け止められる程度には体を鍛えてからやるんだな」
「精進します」
「治癒魔法使えるやつに身体は治してもらってある、治しても痛みはしばらく続くから今日一日は安静に寝てろ」
「そんなことまで……本当にいつもありがとうございます!!」
「気にすんなよ、お前には借りがあるしな」
「へ?ケイプウッドさんに借りならたくさんありますが貸しなんてひとつもないと思うんですが……」
「お前は知らなくて良いんだよ、可愛いお嬢さんの看病まで付いて羨ましいなぁ、俺なんて客共が休ませてもくれねぇよ」
「すごい慕われてますからね」
「おっさん共に慕われてもなぁ」
「女性だっていたじゃないですか」
「性格が男勝りなやつばっかだからなぁ……もっとお淑やかな娘に慕われたいもんだがそういう客は来ねぇんだよなぁ……」
そう言いつつケイプウッドは部屋を出ていく
それを見届け少し時間をおいてリゼリアが口を開く
「……大丈夫?身体痛む??」
「痛むけど寝ている分には平気だよ」
「そう?何か取ってほしい物とか有ったら言ってね」
リゼリアの過保護具合に苦笑する
「ありがとう、そう言えばここまでは誰が運んでくれたの??」
「えっと、近くにガイウスさんがちょうど居たみたいで運んでくれたよ」
「そっか、後でお礼を言わないとなぁ」
「そうだね、あと明日のお仕事はお休みにしようか」
「うーん、そうだね明日の朝までにどれくらい痛みが取れるのかもわからないし、ゴブリン相手とは言え万が一があったら怖いし」
こんなことが出来るのもケイプウッドさんが部屋代も飯代も無料にしてくれているお陰だ
そうでなければ働かないとその日の部屋代が払えない
改めて感謝の念を覚えつつ、借りとは何なのか気になった
先ほど本人にもいった通り借りなら数え切れないほどあるが貸した覚えなど全くない
そもそもこっちの世界に来て成したことが少なすぎて別の人と間違えているのではないかとすら思う
考えても仕方ないか……
動くこともできなければ特にすることもないわけで思考の海へと溺れていく
勇者の悪評は聞いていたが実際に目で見てみると酷いものだな……
百聞は一見にしかずとはこの事だ
いや、よく考えたら俺とリゼリアも一度勇者に捕まってたな……
あの勇者は目の前で首を飛ばされたところを見たこともあってどうも悪人という印象が薄れているが人拐いなんてすごい悪党だよな……
今まで見てきた勇者は人拐いと老婆を躊躇いなく吹っ飛ばすやつと……話に聞いただけだが大量殺人鬼か……
なるほど勇者にろくな人間はいなさそうだ
リゼリアを見てると魔族の方が全然マシな気がしてくるな……
コンコンと部屋のドアをノックする音で思考の海から浮上する
「晩飯持ってきたぜ」
「本当にいつもありがとうございます」
「だから気にすんなって、ここ置いとくぜ」
忙しいのか料理を置くとすぐに下へ戻っていく
そういえば下が賑やかな気がする
……いつもこの時間は賑やかだが……
部屋の机に移動するために身体を起こそうとするとリゼリアに制止される
どうしたのかと疑問に思っているとリゼリアが料理を持ってきてくれる
「ありがとう」
布団の上で食べるのは行儀が悪い気もしなくはないがここは異世界だし、深くは考えずにお礼を言って受け取ろうとするがリゼリアはどうやら渡す気は無いらしい
行動の意味がわからず首を捻っているとリゼリアが少し上擦った声で
「わ、私が食べさせてあげるからっ……」
何を言い出すのかとリゼリアを見ると白い肌が真っ赤になっていた
「大丈夫、自分で食べられるから……」
「身体痛むでしょ……!!」
やんわりと断ろうとすると半ば食い気味にしかもいつもより強い語調で言われる
おままごとのつもりなのか?いや見た目的に言えばリゼリアは14歳位だ今さらおままごとという年齢でもないように思われる
さすがに過保護過ぎるとしか言いようがない……
いくらなんでも少女に食べさせてもらうなんて……
ん?いやリゼリアは類を見ないくらいの美少女だし、これは悪くないのでは……??
いやいや、客観的に良いシチュエーションでも当事者としては恥ずかしすぎる!
せめてリゼリアがあと5歳ほど年を取っていれば両手を上げて喜べたんだけどな……
やっぱり断ろうとするがリゼリアの目は真剣でいつもより赤みすら増してるような気すらする
その目を見ると断らせない強い意思を感じて恭弥はまた折れることになるのを悟った
「ほ、ほら口開けて……」
言うや否やリゼリアはスプーンに料理を掬い近づけてくる
恭弥も諦めて素直に口を開くとそこに恐る恐るといった様子でスプーンが入ってくる
口を閉じて料理を口に納めるとスプーンは抜き去られていく
すげぇ食べにくいし、もどかしい……自分で食べたい……!!
そう強く思うがそんな様子はおくびも出さず
「美味しいよ」
と言って微笑む
するとリゼリアは非常に嬉しそうにいつものような可憐な笑顔ではなくエヘヘと少しだらしない溶けるような笑顔を浮かべる
これ作ったのケイプウッドさんだよなぁ……と思いつつも勿論口には出さない
一回やれば満足するかな?と思っていたのだがその後リゼリアは俄然やる気になって結局最後まで食べさせてもらうことになり、恥ずかしさともどかしさに精神を削られながら恭弥は何度目かの娘をもった父親の気分になるのだった
恭弥うらやまけしからん……!(ギリィ)