13.魔導率
がっつり〆切の一週間をオーバーしたぜ!
いや、私は水曜日に書き上げたんですよ?
他のメンバーによるチェックが遅かったんです!!
俺は悪くねぇ!!
序章のうちはしばらく説明臭くなってしまいます。
ファンタジーを書くに当たって世界観を固めるのは必要と考えますので退屈かもしれませんがお付き合い下さい
「えっ?魔導率もご存じないのですか??」
「すみません、大分山奥に住んでいたものでして……」
「はぁ………魔導率というのは体がどれだけ魔力を通しやすいかというものです。魔力量は努力次第で増やすことが可能ですが魔導率は生まれてから死ぬまで変わることはありません、魔法の才能の有無は実質魔導率によって決まることになります」
受付嬢は納得してはいないようだが説明をしてくれる
電気みたいだな………
「どうやって調べるんですか?」
「こちらの専用の測定器を使って調べることになります」
そう言って取り出したのは拳より少し大きい位の機械
機械からは左右に腕のように紐のようなものが伸びている
「ええと、もしかしてこの紐の両端を持って実際に魔力を流すって感じですか?」
「はい、その通りです」
魔力って体に流しても大丈夫なのか?
探索者になる者全員がやることみたいだし、大したことではないのだろう
だがはたして異世界から来た俺に対しても無害なのか?
「では、測りますので両手にそれぞれ紐の両端を掴んでください」
ここまできて断るわけにもいかず言われるがままに紐の両端を掴む
背中に冷たい汗が流れるのを感じる
もう流れてるのだろうか?
今のところは特になにも感じない
それとも突然バリッとくるのだろうか……
ドキドキというよりビクビクとしながら受付嬢の次の言葉を待つ
しかし、受付嬢はなかなか口を開かない、それどころか機械を覗き込んで首を傾げている
しばらくして顔をあげ、口を開く
「すみません、機械が壊れてるみたいでして申し訳有りませんが別の機械でもう一度やらせてください」
………俺の緊張を返してくれ
拍子抜けな結果に一気に緊張が緩む
だが、この後何度測定の機械を変えても結果は同じだった
何度やっても上手く測れないというのだ
そしてとうとうギルド長までが出てくる大事になってしまった
初めのうちはこれはよくあるチート展開で測れないほど適正が高いのではないかと期待をしたのだが、話を聞くとその逆で文字通り『測れない』つまり0と測定されるというのだ
それを聞かされた時、落胆もあったが同時に納得もしてしまった
生まれた時に確定して生涯変わらないものということはつまり遺伝的なものなのだろう
そして俺は魔法なんてものが無い世界から来たのだから俺の体は魔法なんてものに当然対応してるわけがないのだ
だがこの世界の人達は違う
誰もがその魔導率というのを少なからず持っているものだと思っている
だから実際こんな大事になっているのだろう
さてどうしたものか……
思えば異世界に来て苦労することは思いの外多い
言語は通じないし、考え方や常識は違うし、だからといって異世界から来ましたなんて信じてもらえないどころが笑い者になるだけだろう
ファンタジー小説のようにチート能力もらって無双して、ヒロインを助けて……
そんなものは所詮全て空想からなるものなんだなと痛感する
実際に与えられたものなんて辞書だけだ
せめてほんやくこんにゃく位のものは欲しかったよ……
「あの、キョウヤさんもしかして測定を阻害してしまうようなスキルをお持ちですか?」
ほらまた俺の知らないこの世界の常識が……
スキルってなんだよ!!
異世界から来たことを言わないで常識を知らない言い訳をするのが毎回毎回苦しすぎる
いい加減うんざりしてきたよ……
まぁ聞くしかないから聞くんだけどさ……
「すみません、スキルってなんですか?」
「え、あっはい、スキルというのはですね、生まれつき持っている特殊な能力のことです、それは特異体質であったり、特殊な魔法だったりと人によって様々です」
『あっはい』ってもう俺の無知を諦めてないかこの人……
「それは誰にでも一つあるものなんですか?」
「いえ、そんなことはありません、持ってない人の方が多いです、ただ持っていても気付かずにそのまま生涯を終える方も多いと聞きます」
いやこれ絶対に俺は持ってないだろ
そもそもこの世界の人間じゃ無いんだから……
でもスキルってことにしておいた方が話が進みそうだなぁ
でも今スキルについて聞いたばかりなのに「それスキルですー、生まれつき測れないんですー」なんて白々しいにもほどがある……
そもそも魔導率すら知らなかったんだから測った経験があるわけが無い
でもこれ以上、大事にして目立ちたくない!マジで!!
「あー、今まで測ったことなかったので気付きませんでしたがスキルなのかもしれないですねー、測れないなんて普通じゃあり得ないんでしょう?」
あ、ダメだどう頑張っても白々しい(笑)
「まぁそうですね……それ以外に考えられませんし……では測定不能ってことにしておきますね、ではこちらがキョウヤ様のタグになります」
おぉ一応は納得してくれた!
「ありがとうございます、これで登録は終わりでしょうか?」
「はい、これで登録完了となりますが、そちらのお嬢さんの登録はしなくてよろしいのですか?」
突然話題に出されたリゼリアの肩がびくりと跳ねる
……なん……だと……っ!?
まさかリゼリアの方に話題が向けられるとは……
いやまぁ、無言で佇んでるとはいえずっと側に居るわけなんだから当然と言えば当然なんだけど……
「お連れ様ですよね?身分証明にもなりますから登録だけでもしておいた方がいいと思いますよ?」
受付嬢の善意が痛い、これ測定とかの時に魔族ってバレるんじゃないか?
でも今後のことを考えると身分証明は是非とも欲しい
どうするべきだ……?!
悩んでいるとやや後ろにいたリゼリアがカウンターの前に進み出て口を開く
「登録……します……」
運動で言うところの魔力量がスタミナなら魔導率は運動神経みたいなものだと思ってください
それに加えて使う感覚を理解することで魔法は行使されると考えています
この感覚は運動で言う技術的な知識や感覚に値します