11.理不尽
先週のうちに書いてあったんだけど投稿するに当たってサブタイトルが思い付かなくて割りと悩んだ
序章のうちはしばらく説明臭くなってしまいます。
ファンタジーを書くに当たって世界観を固めるのは必要と考えますので退屈かもしれませんがお付き合い下さい
「そうだな……恭弥、お前は商才はあるか?」
「へ?いえ、商売はやったことないですけど………」
「じゃあダメだな、一つ目は色んな町を巡るついでに商売をするって方法だ、そこではありふれて大したことのない物でも別の街では高値で買い取ってもらえるかもしれねぇからな、そう言うものを見定めて買って別の街で売るんだ」
「あー、無理っぽいですね……」
「二つ目は探索者になる方法だな、これが一番多い、ギルドはどこの町でもあるからな」
「いやぁ……そんな腕っぷしに自信無いんですけども……」
「まぁ報酬も安くなっちまうが簡単なものもあるぜ?」
「……ちなみに三つめは?」
「三つめはまぁ悪いことをして儲けるか……物乞いでもするかだな、まぁことによっちゃあウチの店を出禁にするけどな」
「…………それが三つ目ですか??」
「そうだな」
え、八方ふさがりじゃないですか、やだー
「え~…………」
「まぁ俺は二つ目をオススメするね、一つ目は失敗すれば借金まみれで旅どころじゃなくなるぜ?三つめは言うまでもねぇな、何にしろ旅をするならある程度の腕がないと簡単に命を落とすぞ?」
もうほぼ一択みたいなものじゃんか………
「う~ん……ちなみに探索者になるにはギルドに行けばいいんですか?」
「そうだ、まぁ色に合った仕事しか受けられねぇようなシステムになってるし、見てくるだけでも行って来いよ」
気が進まないけどそうするしかなさそうだ……
小さくため息など落としていると突然、上の階からドタドタと大きな音がする
何事かと疑問に思っているとその騒音の正体が階段を駆け下りてくる
そしてそのままの勢いで恭弥にタックルをかました
「うげぇ………っ!」
恭弥はそれを受け止めきれるはずもなく椅子から転がり落ちる
いってぇ………さっき食ったチャーハンが喉の半ばまで逆流した………嘔吐寸前だよ………
恭弥は痛みに悶えながらもタックルしてきた正体を確かめる
それは見慣れた少女で…………つまりリゼリアだった
なんでタックルされたのか全く身に覚えがない
リゼリアは大人しいタイプの子だと思ってたのに意外すぎる……
てか、そろそろ俺の上からどいていただけないと動けないんですが…………
痛みを堪えながらどいてもらえるように目で訴えようとリゼリアのフードの中を覗き込むと目に一杯の涙を湛え、今にも泣きそうな表情が視界に飛び込んでくる
え、待って、何で泣いてるの?
え?え?本当に心当たりがないんだけど……
おいおい、今度はなんだ?何を俺はやらかしたんだ??
予想外の状況に恭弥の頭はフル回転するが全く心当たりがなければ何をどう謝ればいいのかもわからない
助けを求めるように周囲を見渡すと予想以上に周りの注目を集めていることに気が付く
あれ?これはリゼリアの角のことがバレる危険性もだが、一晩同じ部屋に泊まって女の子だけが朝に泣いているというのは大分危ない勘違いをされる危険性が……
いや、リゼリアはまだ子供じゃないかと否定したい所だが日本だって昔は十五歳位で結婚して普通だったらしいし、ここは異世界だから現代日本の常識を訴えても共感を得られるとは思えない……!!
こ、このままでは……死ぬ……っ!!(社会的に)
咄嗟に立ち上がるとリゼリアを脇に抱え、空いた手で角が露見しないようにフードを抑える
「一度、部屋に戻りますね!朝御飯ありがとうございましたっ!!」
そう言いながら階段を駆け上がり、廊下を駆け抜け部屋へ戻る
「はぁ……はぁ……ど、どうしたのリゼリア、突然タックルなんて……」
いやまぁ、突然抱えられて部屋まで連れてこられたリゼリアからしたらむしろお前がどうしたって話かもしれないが……
事実、さっきまで今にも泣きそうだった表情はきょとんとしている
「……起きたらキョウヤがいなかったから……昨日、私が無視したから怒って置いて行かれたんだと思って……」
話しながらまたその表情は悲しげに歪んでいく
可愛いなこいつ……
「もう随分一緒にいるんだよ?今さら置いていくわけないじゃないか、しかもこんな人間だらけの場所に……」
「う、うん……わかってる……わかってるんだけど不安で……次からはせめて一言かけて……」
……ここで『一言かけましたよ?』なんて言ったら不味いんだろうな……
「わかった、ごめんな不安にさせて」
なんで俺が謝ってるんだろう……まぁ相手は子供だし、俺が折れるのは当然なんだけども……
リゼリアに気付かれないようにこっそりとため息を一つ
まだ朝なのに……今日はあと何回ため息をつくことになるのだろう……
前途多難だ……
職業選択の自由なんて無かったんや……
頭突きにしようとしたけどそしたら角刺さるなって……
だからタックルにしました(暴露)