9.探索者
1話2000文字なんてチンタラやってるから説明ばっかでつまらなくなるんですよね……自覚はしてるんです←
ファンタジー物は世界観を固めなくてはならなくてどうしてもしばらくは説明ばかりになってしまいますがお付き合いくださると嬉しいです
序章のうちはしばらく説明臭くなってしまいます。
ファンタジーを書くに当たって世界観を固めるのは必要と考えますので退屈かもしれませんがお付き合い下さい
扉を開いて店の中へと踏み入れる
酒場と聞いていたのである程度の心構えをしていたのだが、中にはその想像を越えた光景が広がっていた
酒場と聞いて俺が想像していたのはおっさんたちが顔を赤くして大きな声で談笑してるような光景だった
だが実際はどうだろう
いや、おっさんたちが顔を赤くして大きな声で談笑してるのは予想通りなのだが……
足元に凶悪な形をした大きな鉞を立て掛けた筋骨隆々な巨漢や少し動く度にガシャガシャと音をならす全身甲冑、極めつけには「そんな装備で大丈夫か?」と思わず聞きたくなる防御性能に疑問を抱くような装備の女性までいる
明らかに場違いなことを強く自覚しながらも扉を開けてしまった以上入らないわけにはいかない
幸いカウンターの中にいる男性は比較的普通だ
ややうつむき加減にカウンターの前まで進む
「いらっしゃい、初めて見る顔だね。旅の方かい?」
「はい、あの……」
「ははは、そんなに緊張するなよ。ここにいるやつらは見た目こそ厳ついがいいやつらばかりだ。旅の方ってことは宿かな?」
「そうです、手持ちが少ないので安い部屋でお願いします」
「ふむ……城下町は初めてかい?」
「はい、田舎出身でして……」
「そっかそっか……可愛いお嬢さんも連れてるみたいだし、安い部屋は貸せねぇな」
「えっ?」
「二階の一番奥の部屋を使え、部屋代は無料でいい」
そう言って鍵を放る
一番奥とか角部屋って一番高い所なんじゃ……
「一番奥って……」
「良いんだよ、どうせ借りるやつなんていねぇんだから」
「あ、ありがとうございます!えっと……ウッドケイプさん?」
「お?なんだ俺の名前を知ってるのか」
「先ほど宿を探してるときに伺いまして」
「こんな小さな宿の経営者が随分と有名になったもんだな、毎日バカ騒ぎしてるからか?衛兵サマに目をつけられてねぇことを祈りたいもんだ」
そう言ってウッドケイプはおどけて見せる
店の扉が開き5人くらいの団体客が入ってくる
「お嬢様が退屈しちゃいけねぇな、部屋行ってこいよ」
顔見知りのようでウッドケイプは話を打ち切ると奥に何かを取りに入っていった
階段を上ろうとしていると一人の例に漏れずガタイの良い大男が近付いてくる
失礼な話ではあるが、大男が近寄ってくるというのはそれだけで怖い
リゼリアに鍵を渡して先にいくように促す
大男は目の前に来ると口を開く
「さっきウッドケイプさんは自分のことを小さな宿の経営者なんて言ってたが昔は大層有名な探索者だったって話だ、あの人が怒るところなんて見たこともねぇが怒らせることの無いように気を付けな、まぁ俺も初めてこの店に来たときに聞かされたってだけの話なんだけどな」
大男はガハハと大きな声で笑う
「あの……探索者って……?」
「ん?おいおいどれだけ辺境出身なんだよ……探索者を知らねぇのか?」
「お恥ずかしいことにさっぱり……」
「探索者ってのは元々各地にある珍しい鉱石や薬草なんかを取ってきて売るやつらのことを指す言葉だったんだけどよ、まぁそんなことをしてると危険な目に会うことも少なくないもんだから、腕が立つ奴が多かったわけだ。そんな探索者たちは次第に護衛や魔物の討伐なんてものが個人や村、しまいには王国から依頼されるようになった。今となっては依頼の数が多すぎるんでギルドってのが作られてそこで依頼の申請や受理の仲介が行われてる」
「えっとじゃあ皆さんも……?」
「ああ、色はバラバラだがこの店に今いるのは全員探索者だ」
「色?」
「おおっと、色の説明をしてなかったな。まぁランクみたいなものだ。依頼の数が増えると同時に探索者も増えたんだけどよ、自分の手に余る依頼を受けて命を落とす奴も増えたんだ。そこでギルドは探索者としての力量を示す物として色を使った。上から白、紫、青、緑、黄、橙、赤、黒だな。ちなみに俺は橙だ」
大男は首から下げてる橙色のドックタグのような物を指差す
「なるほど……勇者とは別ってことですね」
「勇者ってのは最近できた物だし、王国が直々に信託を受けたものを指名するんだ、まぁ探索者出身者が多いけどな。だが、俺達は……いや少なくとも俺は勇者なんてものより民の役に立ってる自信があるぜ。例えばそうだな……お前たちが通ってきた道の周りに魔物が住み着かないように定期的に討伐するのとかも探索者の仕事だ。それに比べて勇者サマは随分と好き勝手やってるからな……疲れてるところ長話しちまって悪かったな」
「いえ、色々と教えていただき本当にありがとうございます」
「良いってことよ、困ったことがあったらいつでも言いな」
大男はまたガハハと笑うと元いた席に戻っていった
ウッドケイプさんの言う通りここの人たちは良い人だったな……
ボーッとそんなことを考えながら階段を上って突き当たりの部屋の扉を開ける
疲れていたことや新しい知識がたくさん入ったことも有ったのだろう、不注意に、愚かにも、何も考えず、扉を開ける
中の様子が視界に入った時、部屋の豪華さとかは頭に入らなかった
ただ、すごい白いなと思った
何がって?肌が
冷静になったのは飛んできた荷物が直撃して廊下に倒れてからだった
いや、ノックしなかった俺も悪いけどさ……いやそもそもノックって概念があるのか知らないけども……
仮にも魔族で今まで角をひた隠しにしてきたのに扉開けてすぐ見える直線上で着替えないで下さいよリゼリアさん……
その日、寝るまでずっとリゼリアは口を利いてくれなかった
説明ばっかで退屈かなと苦手な茶番を最後にぶっ混んでみました
はい!ごめんなさい!!