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平和を求めた者たち 第二章   仲間  作者: 折り紙王者
プロローグ
3/5

第二節 故郷 パート1


    ●柚紀:江舞寺亭あとちにて

私たちは無残に焼け焦げた玄関の前に立っとった。

「ひどいもんやな」

「取り壊しすらされてないとは・・・」

その理由は江舞寺家の者から、取り壊しの依頼がない。それどころか捜査すらさせてもらえへんかったんや。当日、中に入った者は記憶を失ったかのように、中のことを覚えておらず。さらには数日後、恐ろしいものを見たと言って出てきた者もいた。周囲の者たちから化け物屋敷と称され、10年たった今でも放置されてきた。

「入るわよ」

「ああ」

私たちは立ち入り禁止の標識をまたぎ、焦げた門をくぐった。

    ●吉崎:屋敷内・廊下にて

木造なだけあって、中もボロボロに焼け焦げていた。ところどころ、床に穴が空いていて、その近くを歩くと、ギシギシとした音が鳴り、床が落ちそうで不安だ。坂本は階段の前でしゃがみこみ、何かを探していた

「何探してんだ?もう何も見付かんねぇだろ」

「いいえ、警察はこの家に入ってないのよ、きっと何か見つかるハズ」

たしかにそうだが、ここは金持ちの家。金めの物を目当てに侵入するやからがいないとは限らない。現に、いくつかの部屋は荒らされた形跡がある。それも火が消えた後だ。手がかりなんて、見つかるとは思えないが。

 坂本は屋敷の奥に向かって行った。俺も付いて行こうとしたが、階段の下の空間に何かが光るのが見えた。俺はそこを調べようとして、しゃがみこむと、すぐ横の廊下を何者かが通るのを感じた。すぐに振り返っても誰もいなかった。この世のものではないモノを見たようだ。俺はとても恐ろしくなり、柚紀の方に小走りで向かった。

    ●柚紀:焦げたドアの前

私は何となく廊下を進み、つきあたりの部屋の前にたどり着いた。焦げたドアを開けると、そこは書斎やった。棚や書物は無残に焼けただれとる。

私は一歩、足を踏み入れた。そのとたん、意識に何かがよぎる。前を見渡せば、そこには火が付けられる前の書斎の姿があり、横から魁人の祖父が現れ、棚の金庫を撫でるように触り、私の方を見つめた。

私が我に返ると、焼け焦げた書斎の姿が目に映る。私は彼が触っとった金庫を調べた。ダイアル式の金庫やが、はなから開く。中にはまだ新しい封筒が入っとった。今の幻覚が関係あるのんやろうか。そういえば、昔はこの家が怖かった。子供の頃の思い出や。何か人の住む場所ではない気がしたんや。それを思い出した瞬間、私の身に凄まじい恐怖が襲う。この封筒は開くべきなんやろうか。第一にさっきの幻覚はなんや。この場は別の世界やったんやろうか。ここにいてはいけへん。本能的に私の身は動く。ドアの方向を向いた瞬間に、ドアが開いた。終わったと思った。

そこに立っていたのは吉崎だった。拍子抜けとはこのことか。

「おい、ここ何か変だぞ」

そんなことは分かっとる。まったく空気を読まないやっちゃな。まあ、安心した。

「せやな」

私は封筒を開いた

「ん?なんだそれ?」

「そこの金庫に入っとった。新しいから最近になって入れたモノやろ」

中には文章の書かれたメモが入っとった。吉崎は私の横に来てそれを見る

私たち2人は言葉を失った

“魁人の友人とお見受けいたす。君たちが今でも彼を助けることを望んでいるならば、もう一度、仲間を集ってみろ。彼はもう、この国に来ている。出会うことも出来るかもしれないぞ。江舞寺の者より”

吉崎が言った

「なあ、みんながまだ昔のままでいてくれると思うか?」

その質問に戸惑う。みんなとは私のことを含んでいないんや。

「私はどうやと思う?」

吉崎がきょとんとした顔で答える

「何言ってんだ。お前、京都からわざわざリーダーの俺を訪ねて来たんだろ。しかもずっと、魁人たちのこと調べてたらしいじゃんか。お前は昔のままだよ」

せやな、私は昔と変わらない。はたして他の者たちはどうやろうか

「せやな、でも、みんながみんな変わってへんとは限らへんやろ。会ってみんと分からへんよ」

「じゃあよ、まず歩中に行こうぜ」

歩川中学。私たちの母校や。吉崎の親友がそこで教師をやっとる。みんなを招集する前に、会っておきたいようやな。けれどももう夕暮れや

「明日また来るけん。もう遅いやろ」

「そうだな」

私たちは外へ出た。その際に、書斎に違和感を感じつついた。

    書斎

そのようすを静かに見送る男の姿があった。

    ●吉崎:屋敷の玄関

 坂本の実家はここから近い、ここで別れるつもりだった

「吉崎、私実家に泊まりたくないやけど、そっちで泊めてくれへん?」

断れない、こいつは実家に住む母親と血が繋がっていないことを知って、京都の実の父のもとへ行ったのだ。俺みたいにただの片親というわけでもない、居心地が悪いのだろう。それに女子とお泊りなんてなかなか出来ないしな。

「いいよ、来いよ。俺んち母ちゃんしか居ねえからさ、そんな居心地悪くないと思うぜ」

坂本は笑顔で言った

「ありがとな、世話になるよ」

俺たちは家に向かった


    ●飾森:南原亭にて

俺たちは魁人のナビでここまで来た。車を敷地の中に停めると、使用人と思わしき人たちが出てきて、魁人と話しをしている

富田は留奈と共にあたりを見渡している。たしかにこの屋敷は広いな、江舞寺亭に匹敵するのではないのだろうか

「来て」

話を終えた魁人が俺たちを連れ、屋敷の中へ向かう

    屋敷内

玄関から使用人が早速でてきた

「おかえりなさいませ魁人様、長旅御苦労さまです。さあさ、ご友人様もお上がりください」

魁人が金持ちということがあらためて思う

    ●魁人:廊下にて

ここに着いてから、何となくだが大きな気を感じる。狂歌の十数倍はある力だ。角を曲がると、見知った女性が携帯をいじっていた。彼女は南原恵、ここの頭首である南原忠一は彼女の祖父であり、俺の母方の祖父だ。つまり彼女は従姉である。その前を通ると、彼女は俺に語りかける

「強大な力がこの屋敷に来ている。会ってみるといいわ」

「ああ、メグ姉さん」

メグ姉さんは一族でもとても希少な霊力質だ。だから、この凄まじい力の根源が何なのか分かるようだ。横を歩いただけでも、神秘的な霊力が俺に伝わる。これは生きている中で窮地に立った時、希に目覚める強大な霊力、神霊力というものだ。これを目覚めさせる人間はとても少なく、俺の知る中では彼女を含め、2人しかいない。もっとも、根の人間なら数人はいるのではないだろうか。そういえば、桜がずいぶん前にこれを目覚めさせたように感じたが、美弥が言うにはもっと強大な恐ろしい力だそうだ。あちらは神秘的というかまがまがしい力だからな。留奈ちゃんの霊力もこれに該当する。一緒にいると子供時代の桜と一緒にいる気分になる。

 そうこう考えていると、強い力の発せられている大堂に着いた。襖を開ける前に中から声が聞こえる

「分かっております、その為に1200年もの長い年月、守ってきたのですから」

「ええ、知っておる、ソナタたち代々の守護四亭頭首たちがどんな思いで紡いできたかということは」

忠一じいちゃんが敬語?いったい誰と話しているんだ。それにこの声は聞き覚えがある。

「ならなぜ、ここへ来たのですか?」

別の女性の声がした。おそらく叶恵おばさんだろう

「さっきも言ったであろう、妾はここで待っておるのだ。計画が少々狂う、もう君にも隠さずに伝えるべきじゃな、のお魁人君」

 俺は大堂の扉を開けた。そこに立っていたのは、やはり母だった。母から強大な霊力が放たれるのが見える。おそらくは母とは全く違うものだろう。

「あなたは一体、どなたですか?」

俺の問いに対して女は答えた

「妾の名は江舞寺舞、江舞寺家初代頭首・江舞寺真道の母じゃ」

ということは平安時代から生きている人だろうな。狂歌の言っていた江舞寺の神、花の筆頭とはこの人のことか。舞と名乗る女は続けて言う

「まず、何から話すか?いや、まず忠一に用があるはずじゃな」

当然か、この機密はこの人の命なのだろうな。しかし、俺が封筒を出すと

「君が読みなさい」

「え?」

驚いた。これは俺が見てはいけないもののはずだ。津川さんたちがそう言っていた。

「私はまだ見てはならないのではないのですか?」

恐る恐る聞くと、以外な答えが返ってきた

「その件は妾の命ではないのだ。津川と名乗る女性は葉の札を出したようだが、そんな人物は葉にはおらぬ。どうやったかは知る由もないが、歩札は偽りだろう。その情報はすでに妾の耳に届いておる。そこにいたもう一人の男、ソナタは根の者だと考えていたようだが、先の闘いで行方知れずとなっていた者だった。妾はそやつを信じた。彼らはこのことを君に伝えるのは早いと思っていたようだが、妾はそうは思わない。君に伝えることを説明しよう。十年前の襲撃の際、君は使命を破った。結果死ぬはずだった三名は命を保った。桜も無事に連れ去られた」

その言葉に疑問を持った。たしかに桜は引き渡すという計画だった。しかし、無事なのだろうか

「あいつは生きているのですか?」

「ああ、今はまだ生きておる。あの程度で死んだりするものか」

諦めかけていたことだった。とても大きな安心感に浸った。

「しかし、余計なことをしてくれた。智人といい、妾たちの計画が狂った」

どういうことだ?桜を無事に引き渡すだけが目的ではなかったのか?

「疑問を持った顔をしとるのぉ。何も損失が出ていない。そう思っているようじゃな。しかし、損失をしなければならないことも、中にはあるのだよ」

いやな予感がした。もし、俺が考えていることが当たっているのなら、俺は間違いを悔いる必要があるのだろうか

「君は死なせなければならなかった人物を生かした。それが君の犯した罪だ。そう、千秋を生かしたことがな・・・」

予感が的中した。ちぃの命はそれほど邪魔だったのだろうか?しかし、その後も守っていたのはなぜだ?

「君も会ったことがあるだろう、安部節乃。彼女は茎の人物だが、その使命は千秋の護衛ではない。真の使命は、千秋を殺しに来た奴らに引き渡すということ。何としても千秋は生かしておけなかったからな」

ひどいものだな。だが、謎がある

「なぜ、こちらで手を下さないのですか?」

「君に伝えておこう。彼女を殺すことができるのは奴らのボスだけなのだ。妾でも命を奪うことはできない。とは言っても、自分が死なないということを理解させるのはとても危険なこと。精神の崩壊を促す。ゆえに常人が死ぬほどの深手を負わせられなかったのだ」

千秋は体が弱く、よく体調を崩す。発熱、下痢、嘔吐、単純な目まいや頭痛。症状は様々だが周期的に千秋を襲う。とても死なないとは思えないものだが、それが事実なのだろう。

「千秋はどのように邪魔だと」

「君も知っての通り、奴はここ1200年の間、何度も姫の力を狙ってきた。当然、妾たちはそれを阻止してきた。しかし、それも10年前までのこと。期限が来たのだ。予言では来年の3月程で姫は覚醒し、破滅が起こる。それは妾たちもさけなければならない。その方法が千秋の死だった」

変だ、千秋は世界の破滅に関係が無いはずだが

「なぜ、千秋が。破滅を呼ぶのは桜のはずでは?」

「そうとも言うが、違うの。確かに桜の中には強大な破滅の力が眠っている。だが千秋の中にある力が引き金となる。だから、妾たちは千秋を殺し、その力を次の世代へと送り、破滅を防ぐつもりだった。まあ、最近になって、それが間違いであったと気付いたのだがな」

そうだろうな。夛眞おばさんがこれを見たとたんに血相を変えた。

「読んでみよ。忠一も聞くのだ」

俺は爺さん宛ての封筒を開くと、中には手紙と一緒に何枚かのレポートが折って入っていた。俺は手紙を読み始めた

「南原家頭首、南原忠一様へ。私は茎の筆頭、津川仁です。先の闘いで行方を眩ませてしまい、ご迷惑おかけいたしました。千秋様の引き渡しの件ですが、彼女は死なせてはなりません。彼女が死ねば、その力は次の世代に渡らずに、姫へと戻ります。その瞬間、姫の力は必ず破滅を呼びます。情報源はまだお教えできませんが、いずれ江舞寺に戻り、お教えいたします。また、この根拠は同封の智人様が以前より書かれた論文をお読みください。以上です」

これが内容か。つまり、オヤジはこのことを知っていた。そして津川先生に教えたようだな。

「なんと・・・」

忠一じいちゃんは驚いている。俺がレポートを読もうとすると

「それは読むな」

その文字は日本語ではなかった。なんだこの文字は。読むも何も、こんな言語は見たことがない

「予言では姫を奴らに渡し、千秋を殺す。それで世界の破滅は防げる。同時に奴らの目的は途絶える。しかしこれで成せるのは後の方のみ。結局は世界が壊れる。智人はいち早く気付き、手を打った。君はどうでもよい2人まで生かしたようだがな。江舞寺は今後、千秋を奴らから守り、破滅を防ぐ。どうやら奴らはこのことを知らんようじゃからな、とても危険なんじゃ。奴らは自身の目的も成せなくなることを知らんようじゃからな。困りものじゃな」

予言の続きをやっと聞けた。爺様から伝えられたことに、俺が10年前にすべきことが書かれていた。俺がそれに従っていたら世界が滅んでいたということが今分かった。桜をただで渡したのも千秋を潰せば問題ないということだな。やっとずっと考えてきた謎が解けた。もう一つ知りたいことがあった

「10年前、俺はなぜ見逃されたのですか?」

舞様は顔をしかめる。

「それも知りたいのか。君は知識欲だけはどうしようもないのお。本来これはまだ言えないのだが、知りたいのであれば一部を教えてしまおう。桜を渡す理由は分かったと思うが、続けて話そう。奴らは桜を奪い、その力を使う。しかし、すぐに使えるものではない。10年後、つまり姫の覚醒の時にのみ使えるのだ。そのために必要となるのは千秋の中の力、そして君の存在だ。奴は君を殺せなかった。君にしてもらわなければならないことがあった。としか言えんの。なおかつ、これは仮説にすぎん」

利用される為に生きながらえたか

「その用事は教えていただけないのですね」

「ああ、まだな。その一つはもう済んだ。だが奴らは次の用事のために君をさらいに来る。心せよ。今度は本気で来るだろう。支部長クラスにもなれば君に及ぶ程の妖術使いもいる。君のように本気で人を殺したいと思わない者では戦うのに苦しい者たちだ」

人を殺したことがないわけではないが、躊躇が未だにある。敵であれ、その者を愛する者、その者が守るべき者、そんな者たちに申し訳ないと思う。ただ、江舞寺に産まれ、なおかつ、この立場であれば、そんな私情は捨てなければならない。青甲という支部長は強かった。たしかに妖術を扱っていたな。すると舞様が言った

「実のところ、奴らのボスの力は弱い。平安時代に真道が奴の力を大幅に封じた。奴と二度会って、そう思わなかったか?」

たしかに奴の力は恐ろしく強い訳ではなかった。狂歌に及ばないほどだ。だが人としてみれば化け物なのは変わりがない力だ。なおかつ不死身の体だ。

「しかし向こうには狂歌の力を軽く超える者が1人おるのだ」

なんだと。あれ程の力を超える力など、この人しか検討がつかない。


    石川県の港

女がナイフを桜に付きたて、叫んだ。その横では中年男性が倒れていた。

「こないで!」

桜が女に指を向けると、桜の首に巻きついている蛇の眼が紫色に光り、女の持っていたナイフはグニャグニャになり、溶け落ちた

「うそ・・・」

そして、桜の体から闇のオーラがあふれ出す。

「さすが妖獣の力か・・・体中から力が溢れてくる・・・」

そのオーラは蛇の形で女に襲い掛かる。

「うわーー!」

女は腰を抜かした。


    南原亭

「彼女の名は明王微影(みょうおうそよかげ)、訳あって妾はソヤツに触れることができない。奴はとても強く、さらに頭もさえとる。ゆえに君の術は一切通じぬ。強引なその性格は奴らの中で最も脅威であろう。君は決して接触してはならない」


    石川県の港

桜のオーラを仮面の女が片手で止めた。彼女の名は、明王微影。

「何をしている。そこの女は死罪ではない。美弥が次代橙丁(とうちょう)に任命した」

桜は不満そうに微影に言う

「そんなに重要な存在?何か役に立つのかしら?」

「あなたに命じたのは先代橙丁の抹殺。それを果たせば、その副官のコイツにまで手を出す必要もないだろう。こいつにはまだ利用価値がある」

桜は微影を睨むと微影が言った

「あなた、まさか私に敵うとでも思っているのかしらね?愚かなことよ。たしかに邑巫の力を宿したのだろうが、私には敵わない」

桜はため息をつくと

「分かってるさ、アンタは神差の右腕だものね。人間ごときが、あなたのような化け物に敵うハズないものね・・・」

微影は気にせずに桜に言った。

「分かったらとっとと帰るのだ。真木が探していたぞ」

「そう、じゃあとっとと帰ろうかな」

桜はどこかうれしそうにその場を去った。微影は尻もちをついた女を見ると、見下しながら言った。

「小町、命を拾ったな。美弥がお前を次期支部長に選んだ。お前の頭脳を称したのだ。これからは副支部長ではなく、一支部長、橙丁として自覚を持つのだ」

「は、はい・・・ありがとうございます・・」

小町が怯えながら言うと、微影は小町に顔を近づけ

「橙丁、たしかにお前は私が育てた。だからといって、助けたのではない。覚えておけ。お前がもし、失態を犯すのであれば、今度は私がお前を殺しに行く。分かったな」

「は、はい!」

微影が言う

「全てが永久の月の目的が為、この国の真の平和の為だ」


    ●魁人:南原亭

「君のこの先のことはまた話す機会があるだろう。では妾は行くぞ」

彼女は部屋を出ようとする。俺が立ちつくしていると、彼女は俺の肩に手をかけた。その瞬間、大昔の記憶がよぎる。その一瞬のことはすぐ後には消えて無くなってしまった。が、とても古い記憶だった気がした。そう、それこそ何千年も昔の。燃えていた気がした。

    廊下の電話の前

俺は北澤家に電話を掛けた

「おばちゃん、魁人です」

「魁君、今どこじゃ」

「南原亭です」

「そうか、何よりじゃ、迎えに行くかのぅ」

「結構です、調べなきゃいけない事があるので」

「向日葵ちゃんに合わなくていいのかい?あの子は会いたがっているのに」

「向日葵はそっちに戻ればすぐ会えるでしょう。それより先ほど江舞寺舞という方に話しを聞きました。俺は何をすれば良いのでしょうか。もう道が分からない。頭首なんて向いているのでしょうか?」

とても空虚だ。何をすればいいのか分からない。

「魁君・・・」

おばちゃんも黙りこむ。俺の横には榊がいつの間にか立っていて、俺から電話を奪い取ると

「弥生で~す。切りま~す」

榊は通話を切った。そして立ち去る。俺は唖然として見ていた。

 寝室に戻ると楓と留奈が翔麻に枕を投げつけて遊んでいた

「楽しそうだなお前ら」

少し元気が出た気がした。


    ●桜:永久の月アジト 通路

 真木というのは五年前に江舞寺から来た男だ。電子情報局の局長で頭がとてもいいらしい。私の遊び相手でもある。先日、空いてる夜を教えろと伝えたところ当日に連絡か、多忙のアホだな。まあ、私を楽しませてくれるからよしとしよう

 電子情報局の前につくと、彼がちょうど出てきた。

「お嬢、お早いお帰りで」

「ただいま」

    ●真木

 俺は江舞寺にいたころ、根で美弥の下にいた。俺は特別な根の隊員だ。精神の束縛を一切されていなかった。知能を発揮するにはそれは邪魔だったのだ。江舞寺に刃を向ければ死ぬ呪いを受けていたが、すでに洗脳されていた俺はそんな意思はなかった。そのころから桜と付き合っていた。最初は任務だった。だが次第に俺の中の愛の感情が芽生えた。束縛をされなかったゆえであろう。

「ちょっとまだ出来そうにないから、私の部屋で待ってて」

「了解致しました」

準備をするのだな。

 俺は桜の部屋へ向かった。おそらく待つのは二時間と少しだな。シャワーをあびるのは二時間後でいいか。


都合により第二節は3つに分けます。18歳以下の方や危険なものを見たくない方はパート3から見てください


18歳以上の方へ

パート2は捜してください。その気になればすぐ見つかります。

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