我が鎖骨に宿りしは幾千の怨念
しまったと思ったときにはもう遅い。完全に真実を告白するタイミングを失った。それに鎖骨ってなんだよ鎖骨って。
「それは大変です!どうしたら力を取り戻せますか?できる限りのことはいたします」
「えっ…とぉ……友情と努力と勝利?」
「つまり…仲間を集めて大冒険、ですね!」
「う、うん、そぉ…だと思うよ?たぶん…」
ヤバイ、自分でも声が上擦っているのがわかる。どんどん悪い方向へと転がっていく。止まれ、いや、止めなければ。
「それなら私もついていきます!あ、自己紹介が遅れました」
タカヤが行動を起こす前に、ローブの人はローブを脱ぎ捨て、自己紹介を始めた。
「私は、ミミ国国王レオパルダスの後継ぎ、レイ・ドギアと申します。勇者様はお気軽にレイとお呼びくださいね」
彼女の長髪は白く輝き、夜風に流され煌めいていた。
ぺこりと一礼するその頭には三角形の動く物が2つ。耳だ。恐らく犬科の。それと、腰に見るからにモフモフしている尻尾がある。
「ああ、これは私たちの種族の特徴なんです」
驚いた顔をしていると、レイは耳と尻尾を撫でながら説明してくれた。
「ビスティアの特徴は主に2つです。まずはこの耳と尻尾、動物のものですね。みんな一様にこのような耳なのではなく、いくつもの種類があります」
「猫とか兎とか?」
「はい。他にも鹿や馬なども。2つ目は、その動物の種類特有の能力を使うことができます」
「へえ、便利なもんだな…」
感心してる場合じゃねぇ!と、心の中で自分にビンタを食らわせた!のだが。
「では勇者様、あなたの名前も教えてくださいませんか?」
「え?ああ、俺は神崎タカヤ」
「カンザキタカヤ様、ですね」
「様はいらねぇよ。それにタカヤでいい」
「な、なんか恥ずかしいです…」
「俺にとっちゃ様付けのほうが恥ずかしいけどな…」
笑ったり照れたり、レイはかなり表情豊かだ。見ていておもしろい。それに、
「かわいい」
「そっ、そんな!かわいいだなんて!うぅ…」
「っと、悪かった!いきなりこんなこと言っちゃって!気を悪くしたなら謝る!」
完全に無意識だった。3年前から人と直接話すことなんて滅多に無かったからだろうか。これは治さなければ。
「いえ!別に気を悪くなんて…むしろ憧れの勇者様にそんなことを言っていただいて舞い上がってるぐらいです!」
「うっ…そりゃどうも…」
ものすごくキラキラした目で言われたものだから、心がものすごくえぐられた。俺、ものすごく弱いのに。ものすごくがものすごくゲシュタルト崩壊しそう。
「では、タカヤ。これからよろしくお願いします」
レイがそう言うと、レイの右手の甲に光る紋章が表れた。
レイがその右手を差し出し握手を求めてきたので、タカヤはそれを握り返した。
「ん、まあ一応、よろしく」
タカヤはその握手をビスティア流の挨拶かと思っていたのだが、それが間違いだった。
「なっ!?」
握手をすると光が強くなり、レイの右手の甲の紋章が宙に浮き上がり2つに割れて、片方はレイの右手の甲に戻り、もう片方はタカヤの右手の甲に刻まれた。
「はい、これで契約完了です!」
「え、待って話が見えない」
どうも、肉付き骨です。
どんだけ放置してんだよ!と思う方が大多数だと思いますが…
実は原因不明の投稿不可能になっておりまして、この話だけ更新できない状態が続いていたのです。
ちょっと直してあげたらできちゃった☆というわけでして…
まことに申し訳ありませんでしたm(__)m




