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捨てられ勇者の奮闘記  作者: 肉付き骨
オーガの進攻
19/19

勇者、鬼との遭遇

 タカヤが到着した時には、既に戦いは始まっていた。

 相手のオーガは、桃太郎に出てくるような鬼と似ているものもいれば、もっと恐ろしい姿のものもいる。

 タカヤは戦況を把握するためにさらに近づく。

 ビスティア側からは火の魔法が飛んでいる。一方、オーガ側からは飛び道具などは飛んでこない。

 しかし、ビスティア陣営はじりじりと後退させられていた。


 問題は、相手の防御力と大きさだろう。


 オーガは盾のような身を守る道具を持っていないが、代わりに生半可な魔法は通さない強固な鎧を装備しているようだ。

 先程から見ている限り、火の魔法を食らっても表面が軽く焦げているだけだ。それとも火自体が効かないのだろうか。


 そしてあの大きさ。

 ビスティアの二倍。三、四メートルはあるだろう。

 その大きさが臆病なビスティアをより一層萎縮させているようだ。


「っと、冷静に分析してる場合じゃねぇだろ!助けなきゃ!」


 オーガ陣営とビスティア陣営の境目に滑り込んだタカヤは、魔法のイメージを急いで練った。


 イメージ。


 境界線。


 タカヤの足下から地割れのように電気が地を這い黒く焦がす。


 やっぱり稲妻出ちゃったよ。


「まっ、結果オーライ?」


 ビスティアは当然大きく後ろへ下がったが、オーガもさすがにこれには驚いたらしく、二歩三歩と後ずさった。

 戦況が硬直する中、タカヤは両者の中心と思われる場所まで走り、再びイメージを練る。


 イメージ。


 拡声。


『ま、待てーい!!』


 無数の視線がタカヤに集中する。

 別に目立ちたいとか、そういうわけではなく、これも作戦だ。


「勇者様だ!」


「みんな!勇者様が到着したぞ!」


 思惑通り、ビスティアの人々の表情が明るくなる。


『俺はタカヤ!ビスティアの勇者だ!』


 恥ずかしすぎて顔から火が出そうだ。脚が震えそうになるのを必死で堪えた。


「や、やばくねぇか…」


「勇者だってよ…」


 対するオーガは臆したのか

、じりじりと後退し始める。

 

 ただ一人を除いて。


「うろたえるな!馬鹿共がっ!」


「うおっ!なんだ!?」


 空気がビリビリと震える。

 声の出所を探していると、オーガ陣営の後方から一際大きな、二本角の黒いオーガが歩み出てきた。


「貴様らはこんなちっこいやつにびびってんのか!ふざけるのも大概にしやがれ!」


 黒いオーガが仲間に一喝し、地面にトゲ棍棒を叩きつけた。

 その雄々しき姿を見て戦意

取り戻したのか、再び武器を構えてこちらに一歩一歩進んでくる。


「行くぞ野郎共!」


「「オオォォォォォォ!」」


 やばい。予想に反して、ただの筋肉脳ではなかったようだ。こんな優秀な指揮官がいるとは。

 

「みんな守りを固めろ!できる限り俺が食い止めるけど、油断するな!」


「「はっ、はい!」」


 駄目だ。気勢が削がれてしまっている。ここは食い止めなければいけない。


 イメージ。


 壁。


 今度は上手くいった。

 先程の境界線から丈夫そうな岩の壁が出現した。

 向こう側からオーガの怒声が聞こえるが、壁はすぐに壊される心配は無さそうだ。


「今のうちに」


 イメージ。


 今度こそ雷。


 無数の青白い稲光が空気を引き裂き地を叩く。


「ギャッ!?」


「畜生!一時撤退だ!」


「覚えていろ、ビスティアの勇者!」


 オーガ陣営に雨のように降り注ぐ雷。今度は怒声の代わりに悲鳴が聞こえた。


「勝った…?」


「勝ったぞ!」


「勇者様万歳!」


 ワァァとはしゃぎ始めるミミ国兵士。しかしタカヤは素直に喜べなかった。


「あの捨て台詞、絶対また来るって…」



 どうも、随分間を開けてしまいました。

 一応生存報告のために更新しましたが、本格的に書けるのは三月末からになりそうです。

 ではでは。

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