戦場へ走る
「ぜぇ…俺はっ……馬鹿か…ぜぇ…」
スピリトが体に宿ったとはいえ、身体能力は向上していないようだ。全力疾走するんじゃなかった。
最初からクライマックスだぜ!
もちろん悪い意味で。
このままでは戦場に着く前に行き倒れてしまう。
「………ちょっと試してみようかな」
思いついたことをイメージしてみる。
空飛ぶ、ボード。
サーフボードのようなシルエットが目の前に浮かび上がる。
「お、できた!」
期待に胸踊らせそれに飛び乗った。が、まったく動く気配がない。
「ロボットができてこれができないとか…ほんと不安定だなおい…」
渋々ボードをスピリトに還元し、他の方法を考えた。
「あ、そうか、低いんなら上げちゃえばいいんじゃね?」
再びイメージし始める。
身体強化。
すると、急に力が湧きだして息切れが止まった。
「今度は成功か?」
早速戦場へ向かって走り出す。
「おっ、成功だろこれは!」
ヤバイ速い。気分はウサイン・ボルト。彼は長距離走ではなかったけど。
どんどん景色が後ろへ流れていく。こんなに気持ちいいなら、ちょっとは鍛えてみようかなと思う。
「待ってろよ!今行くぜ!」
テンション上がってきた。
これがランナーズ・ハイか。たぶん。