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捨てられ勇者の奮闘記  作者: 肉付き骨
ビスティアの国
16/19

晩餐と不安

「ようこそタカヤ!」


「ほんほおうひあへあい…(本当申し訳ない)」


 口いっぱいに食べ物をほおばりながら謝罪する。これじゃ謝罪になっていないか。

 正門に入ってすぐ、召し使いたちに促されるままレイのもとへたどり着いた。

 けっこう広かったが帰りは大丈夫だろうか。

 やはりちゃんとした料理は美味い。舌と胃袋が生き返るようだ。喉を通る果物のジュースが心地よい。

 今は物語で見るような長い食卓、ではなく、八人がけの円卓にいた。


「ようこそ、勇者タカヤ君」


「…えーと…」


 そしてそこには初めて見る顔があった。

 立派に蓄えた髭と、ボリュームのある髪。その姿はまさに、


「ライオン…?」


「はっはっはっは!やはりそう見えてしまうか!私はレオパルダスというものだ。以後よろしく頼む」


「ってことはあんたが国王の…」


「レイから話は聞いていたか。恥ずかしながら、全ビスティアの長もやらせてもらっているよ」


「こ、これは失礼つかまつりました…」


 まさかとは思っていたが、この髭だるm…ではなくこの人が国王だったとは。


「そんなにかしこまらないでくれ。君は勇者なんだ。もっと胸を張りなさい」


「じゃあ、お言葉に甘えて」


 レオパルダスがおおらかな心の持ち主で良かった。正直、丁寧な言葉遣いはとても苦手だ。


「二人とも、まず一ついいか?」


「どうしましたか?」


「なんでも言ってくれたまえ」


 第一の問題。それは、


「近い」


 八人がけの円卓なのに、二人とも何故かすぐ隣の席に座っている。


「ダメですか?」


「いや、ダメじゃないけどさ」


「これはすまない。久しぶりに人間を見たのでな」


「そうだったのか…ん?久しぶりって言ったか?」


 久しぶりに見たということは、ウォンデルに人間が来たことがあるということだ。それはとても興味深い。同じ境遇の者同士、是非話をしてみたいものだ。


「うむ、あれは五年ほど前のことだったか。エルフの国へ攻めこんだときに見かけたのだが、その人間に見事撃退されてしまったよ」


「そうだったんですか?私も見てみたかったです」


「他の国にも勇者がいるのか…」


 その人たちはやはり最初から強かったのだろうか。それとも、自分のようにただの民間人だったのだろうか。

 やはり、自分は、間違って、召喚されたのだろうか。


「俺は…本当にやっていけるのかな…」

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