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真実の中の虚構世界《フィクショニア》  作者: AKIRA SONJO
第1章【異世界との邂逅、あと女の子も】
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9話 【女の子の為なら頑張れる、美少女ならなおさらだ!】

走る、助けるために。

駆ける、護るために。

例え体力がなくても、怪我していても、

絶対に失わせはしない。


とっ、こんな風にカッコつけてみたは良いが。

実際問題、結構やばいねぇ。


現在、砦に急行中。

砦は今、盗賊団【ゴゥアフト】に襲われている。

しかし【ゴゥアフト】は魔人達に騙されている。

そして俺は左肩を負傷、左腕が動かない。

シンシアは、ダメージこそ無いものの、源子の残りが無い。

まともに戦えるのは、仲間になった親友の刃のみ。


「かぁー、かなりきつい状況だなおい」

「だけど燃える展開だぜー?」


シンシアの魔法、風による移動補助により多少速い。

但し、シンシアは源子エネルギー切れ。


「俺のシントウ流も、これじゃあ大して発揮できん。頼むぞジン!」

「まー、リョーガの肩撃ったのオレだしねー。【ゴゥアフト】のみんなも止めてぇし」

「簡潔に聞く。ジン、銃弾の種類と総弾数、装填数は?」

爆発弾(ボム⚫ブレッド)破壊弾(ブレイク⚫ブレッド)貫通弾(ペネトレイト⚫B)衝撃弾(インパクト⚫B)そんで通常弾(ノーマル⚫ブレッド)だ。総弾数は凡そ1000、1度に6発装填。弾によって消費量が違う。こんなところか」

「そのリボルバーは?」

「こいつはオレの魔法チカラで創った源定武装ってやつだ。今のオレじゃー、1度に一丁が限界だな。撃つときに反動はあるが源子の消費は殆どねーぜー」

「便利だなぁおい」


ゲンテイブソウ?武器を造り出すのか、有りがちだな。


「さっき撃ったのは爆発弾って訳か。そんでジン、【ゴゥアフト】の本来の目的は?」

「さっき言った通り、弱者を助け、卑怯なやつらをぶちのめすこと。そうだなー、義賊ってやつに近いかなー」

「なら、なおさら止めねぇとな!」

「おーよ!」


走りながら情報を貰う。今はこんなんで良い。

他のことは些事だ。後で聞く。


「ジン、俺は姫様達を最優先で助けに行く。ジンは【ゴゥアフト】達を、シンシアは」

「私、は魔人達を相手しよう。出来れば王女様方の方へ行きたいが、そんなこと言ってられる場合じゃない」

「おーけー、……よし、砦が見えた!」


一応、門番は残ってるようだな。

俺達、シンシアを見てほっとしてる。


「門番兵!私達が入ったらすぐに閉めろ!絶対に門をやらせるな!」

「了解しました近衛隊長!」


―――――――――


「よし、大して怪我人は居ないようだな」

「【ゴゥアフト】は好戦的じゃないしなー。多分奴隷だと思って攻撃どころか保護する気だろー」

「どいつが魔人なんだ!?見分けがつかん」

「女の子は全員違う、多分男は全員魔人だ!俺はみんなを気絶させる。魔人は任せた!」

「了解した!」


シンシアも少しは回復したか。

ジンはバンバン撃ってる。衝撃弾で怪我させずに治めるのだろう。

そして、魔人アブザーダ

なるほど、マジンか、モンスターを操る上の奴等か。

随分とまぁ分かりやすい敵がいるもんで。

俺は辺りの人に姫さん達のことを聞く。


「セリア様は何処かの前線で回復魔法士ヒーラーをやってるはずです。リネット様はハンナに連れられ姿をお隠しに」

「ですが、先ほど二人の男がそちらの方へっ!どうか王女様達を、私達はもうチカラが……」

「任せろ!」


実際には俺もきついんだけどね。

源子はまだまだあるみたいだが、疲労とダメージがやべぇ。

止血はしたが、まだ左腕を動かせねぇ。

それでも、


「シントウ流<瞬加>!!!」


瞬加は長距離どころか短距離すら向かない移動技だが、

これしかねぇ。

何処だ。姫さん達は何処に隠れた。

先に見付けねーと、っていったぁ!

なんだこれ、投石か?

どの方角からって、

そこには、無表情のハンナさんが居ましたとさ。


―――――――――


「良かった合流できて。無事で良かった」

「リョーガさんこそって、その左肩はっ!」

「大声出すな、現在ここは【ゴゥアフト】に襲われてる。それは良いな?」

「ええ、リョーガさんもご存じで」

「だけどこいつぁ、【ゴゥアフト】の意思じゃねえ。魔人、アブザーダ共が裏で操ってる」

「そんな、それでは狙いは」

「リネット様とセリア様の殺害、ですね」

「どういうことだ?」


ひそひそ話ながら、情報交換。

ハンナが表情を変えずに続ける。


「フェイクライナ王国の血筋、特に女性には強い力、魔法が備わるといいます。それも、補助系に関してとても強い力を持ち、モンスターや魔人達の侵攻を押し返していたそうです」

「だけど、今はモンスターの攻撃が激しい上に、強い人が少なくて。なにより私の力は役にたたないし」

「補助系統か、セリアは癒し。そういや姫さんはどんなんだ?」

「私のは、条件発動タイプです。条件を満たせば、魔法を発揮出来るのですが」

「条件?どんな?」

「えっ、えと、それは「キスでございます」ちょっとハンナ!?」


赤くなる姫さん。そっか、なんて使いづらそーな魔法だこと。


「それも口と口とのキッス。ディープなら効果ましましだそうです」

「ちょっ、ちょっとハンナ!何を言ってるの!リョーガさん!私は、あの、単に因子を確認してこんな魔法だと知っただけで、したことは無いですからね!?」

「あー、そうなの。でも、大声は出さないで欲しかったな」


え?と可愛らしく首を傾げるのは良いんだけどね?

問題は、


「ホウ、アッチニイタカ」

「ラッキーだな俺達」


「見付かっちゃったね、なんてこった」


お約束なのだろうか。

やっベーなこれ。


―――――――――


「「解放カイホウ!!!」」


こいつらもか。魔人ってのは【解放】をキーワードに変身するのか。この世界ではこれがスタンダードなのか?

カタカナ喋りの魔人はベイとかいう奴と似て、

牙やら爪やら、なんかフッサフサな紅い毛がモッサモサに。

もう一人の魔人は、えええええーーーーー。

イッツア巨大化。全長4メートルくらいか。

体色は浅黒く、筋肉モリモリ。

重力どうなってんの?


「ハンナ、戦え、ないよな?」

「すみません。私は魔物や魔人に対する魔法を持っておらず、戦うことは…」

「だろうな、ハンナは姫さんを守っててくれ。俺が奴等を倒す」

「了解しました。御武運を」

「リョーガさん!?」


「ふーん、戦うのはあのチビだけか。楽すぎんな俺達」

「ナラ、オレヒトリニヤラセロ。イイダロウ?」

「まぁ良いか。戦うのだるいし俺」


「戦うのは紅毛の魔人だけか。一対一タイマンは俺も望むところだ」

「フン、ニンゲン、ソレモテオイ、オレノテキジャナイ。セメテタノシマセロ」

「そのカタカタ喋り、うぜぇからさっさと倒させて貰うぞ」


―――――――――


「ニンゲン、ナマエハナンダ?」

「あん?名前なんて気にすんのか?」

「アア、クッタニンゲンノナマエクライ、シッテオキタイカラナ」

「そーかい、俺の名前はな」


瞬加蹴討!


「ニンゲン、ナンノマネダ!」

「なんつー反射神経だよ、魔人!」


奇襲失敗。右キックは左腕で止められた。

効いてない訳じゃねぇみたいだが、俺の最速技なのに。

獣系の魔人の能力といえば、


「オソイナ、ニンゲン」

「ぐっ!!!」


左蹴り、右手爪、左手爪、爪!爪!!爪!!!


「チョコマカトニゲルナ、モットウッテコイ」

「ったく、ならやってやるよ。シントウ流<毛砕貫モウサイカン>!」

「ホウ、ヤレバデキルジャナイカ。オレノコウモウ(紅 毛)ノヨロイヲツラヌクトハ」

「はっ、てめぇみたいなモサモサ野郎は体毛が硬ぇと相場が決まってんだよ!」


毛砕貫は読んで字の如く、毛を壊し貫く為のもの。

俺のシントウ流はあらゆる局面を想像モウソウし、対応するために技を無数に造っている。

まさか、実現出来るとは思わなかったがな。

厨二がここまで役にたつとはね。


「マダダ、モットミセテミロ!」

「ふん、ならこれでどうだ。シントウ流<貫倒拳カントウケン>!」


ありったけの源子を込める。

右手を強く握り締め、正拳をお見舞いする!!!


「グッ、ガッ、アッ。グゥゥゥ、ヤルジャナイカニンゲン。ヤハリナマエヲキイテオコウ」

「つえぇな、ほんとに。良いだろう、俺の名前は新藤リョーガ。お前を倒す名前だ。覚えときな」

「リョーガカ、オボエタゾ。オマエナラ、ホンキヲダシテモイイダロウ」


マ⚫ジ⚫か。

貫倒拳は、防御を無視し、威力を相手の芯に直接与える技。

シントウ流の技の中でも、高位の技なんだがな。

元々、俺はあいつが油断してる間に倒す算段だったんだが。

だからこその貫倒拳、そして大量の源子を込めたってのに。

倒しきれないとはな。

しかも本気出すとか、最悪だね。


「クラウ、ソシテクラエ。<狂獣砲豪(クレイジー⚫ヴォイス)>!!!」

「んなっ、がぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


魔人の咆哮。

周囲の空気を、いや源子を大量に取り込み、

大砲が如く打ち出してくる。

その速度は、


「速すぎんだろ、それ。しかもなんつー威力だよ」


くそ、なんてダメージだ。瞬加で避けきれなかった分、

すさまじいダメージを貰った。

内臓、は大丈夫。だけど、右足をやられたか。


「コレハオレノ、ユイイツノワザニシテ、サイコウノイチゲキダ。タイキチュウノゲンシヲトリコムコトデ、ゲンカイイジョウノイリョクヲタタキダセル」

「か、はっ、全く、カタカナ喋りはわかりづれぇな」


成る程ね、辺りから源子を、限界を超えて取り込めるのか。

だからあれだけの威力。

唯一にして、最高の攻撃を自称するだけのことはある。


「コレデキメテヤロウ。ヒサシブリ二、イイコウヨウカンヲエラレタ。ナニ、イタミヲカンジルヒマモナク、ケシテヤロウ」


だからこそ(⚫ ⚫ ⚫ ⚫ ⚫)、勝機がある。


「はっ、俺のシントウ流は無限だ。消されんのはてめぇだよ!」

「ハハァッ!<狂獣砲豪>!!!」


さっきと同じ、いやそれ以上に源子を吸い込む。

そして、俺には避けることが出来ない速度で迫る。


「だがな、避けられねぇんなら、避けなきゃ良いんだよ!!!シントウ流<空転>!!!!!」


残った右手を前に出し、廻すようにヴォイスを掴み逸らす。

180度でな!


「俺の力で倒せねえなら、てめぇの力を使ってやるよ!確か、限界を超えて撃てるんだよなぁ!」

「ハッ、ハハッ、ハハハハハハ!!!!!」


魔人は笑いながら、自分のヴォイスを食らう!

そして、消えていく。

でもこれは、


「てめぇも本国とやらに戻るのか」

「ヨクシッテルナ、ハハハッ!リョーガ、キニイッタゾ。オマエハオレガタオス。オレノナハ【アズメィア】。アズィトデモオボエトイテモライタイモノダ」

「ああ、覚えておこう、アズィ。てめぇ、なんか悪いやつな感じしねぇな」


なんか熱い友情が生まれた俺達。

でも、そんな簡単に話は進まない。


「覚えておく必要はねぇぞ?殺すからな俺が」

「…………ガァァァァ!!!!」


しまったっ。わすれてたぜもう一人居たこと。

そのでっかい豪腕で殴り飛ばされた。

まずい、本格的にやべぇ。

ビジターだからか、身体は丈夫らしいが、

それでも限界はあるよな。

ここで限界を迎えて欲しくなかったがな。


「ガイザという名前の俺だが、覚えなくて良い。ここで死ぬからなお前、いやお前らか」

「ぐっ、ガハッ、ふん、死ぬかよ畜生が!」


左肩、右足、そして身体全体をやられた。

それでも、


「戦ってやるよ。俺のシントウ流は、簡単にやられるほど、柔じゃねぇんでなぁ!」

「はっ!すぐに殺してやるよチビ助が!」


―――――――――


「これでゴゥアフトのメンバー全員終わったかー。総弾数ギリギリだ」

「確か刃とか言われてたな、魔人は全員倒したぞ。まぁ戻っただけのようだがな」

「そうかー。よし、リョーガを助けに行く。あんたは?」

「聞くまでもない。行くに決まっている!」

「オレもあんたも疲れきってるがな。ふん、あんたもリョーガのことが心配なのか?」

「!?…そんなわけあるか!リネット様が心配なだけだ。さっさと行くぞ!」


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