表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真実の中の虚構世界《フィクショニア》  作者: AKIRA SONJO
第1章【異世界との邂逅、あと女の子も】
6/54

6話【依頼内容のご確認です】

決闘は終了。

シンシアが目を覚ました。

落ちてたのは1分もなかったな。


「わた、しは。負けたのか」

「これで、文句は無いわね?」


セリアが手当しながら聞く。

つーか、立場逆じゃねーかなー。


「ええ、勿論です。あんなに強いとは。それも、怪我を負わさずに一撃で。少し、手加減されていた気もしますが」


こちらを見てくるシンシア。

まさか、手加減なんかしてねーよ。


「ありゃ俺が現在いま出せる全力だ。手加減出来る相手でもねーしな」

「だが、女子を殴れないという、フェミニスト染みた印象を受けたのだが」

「そっちこそ、本気だが、全力を出してねーだろ。本気マジなら俺は死んでるはずだろ?」

「なっ、なに!?」


いかにも図星を突かれましたって感じだな。


「殺しの為の業を、魔法を人間相手に使わない。それはあんたの優しさだ。良いと思うぜ?そういうのはな」

「!…うっ、うるさい!黙れ!」


おやおや、赤くなってますよ?

褒められることに慣れてないのか。

或いは単なるツンデレなのか。

後者だと良いなぁ。デレは無いけど。

赤くなってると、スゲー可愛くなるな。


「とりあえず、移動しましょうか。この後の話は、会議場で軽食を摂りながらにしましょう」


セリアに従い、まずは移動だ。



―――――――――


「うめーなこれ。クッキーってこんな旨かったのな」

「それはハンナの作ったものですよ。ハンナは料理がとても上手なんです」


姫さんが補足する。ハンナ?

ちょい無愛想な侍女さんが一礼した。

あの人、ハンナさんっていうのか。


「さてと、これで俺は正式にこのフェイクライナに力を貸すことになったんだが、具体的に何をすれば良いんだ?」

「そうですねー」


セリアが小首を傾げて考える。

なんか、仕草が可愛らしいな。

組んだ腕の上が、不思議な弾力をもって歪んでいるがな。

有らん限りの意思力で目が行かないように制御中だ。


「当面リョーガさんは戦力として、お力添え頂くわけですが。まず、関所を通り抜けたモンスター、及び野良モンスターの警戒、討伐でしょうか」

「そいつは分かりやすくて良いね。ぶっ倒せば良いわけだ」

「それと……、盗賊団ですね」

「盗賊団?そんなのが居んのか」

「本人達は、【ゴゥアフト】盗賊団傘下と名乗っています。大陸で大きく幅を利かせていて、そのしたっぱがこの近辺にいるそうなんです」

「なるほどね、この砦にゃあ女子供が多いし、王女が二人居るし、宝物もあんだろ。狙われる、つーか狙わない理由がねぇ」

「ええ、それに盗賊団は強力な魔法行使者ユーザーも何人か居るらしく、モンスターを寄せ付けないそうです」

「へぇ、それはそれは」


何処にでも、そんなのは居るんだな。

いや、寧ろ当然か。人が居る限り、その類いは無くならない。

それは異世界でも同じなんだな。


「でも、私から言うのもなんですが、良いんですか?」

「ん?何が?」

「貴方は【ビジター】。異世界から来た者。なら、元の世界に帰りたいのでは?ご家族や、友人方も。そもそも、貴方にはメリットがありませんし」

「あー、そういうこと」


はぁ、そんなことどうでも良いんだけどねぇ。

自分から頼んで、了承したのに心配してるし。

セリアだけじゃなく、姫さんも憂慮した顔してるし。優しいねぇ、王族のイメージ変わっちゃうな。

シンシアは、別にどうでも良さげな顔してるが、気にしてるの丸わかり。

無表情型侍女ハンナさんは、うん、無愛想だな。

その他は気にしない。

まっ、しゃーないか。


「元の世界ね。俺はあまり心残りは無いな。親はどこでも生きていけるように俺を教育したし。妹は、ちょい気になるけど、大丈夫だ。何より、俺はあの世界に嫌気が差してた。ずっとつまらなかったんだ。でも、この世界は面白そうだ」


本当に、夢みたいな世界だ。

憧れた、最高の世界。


「だから、帰りたいとかはあまり無い。第一、戻る方法知らないしな。それはどうにかなんだろうけど」


この世界に連れてこられたんだ。なら戻る方法もあるだろう。

…………ん?何故俺は連れて(⚫ ⚫ ⚫)こられた(⚫ ⚫ ⚫ ⚫)なんて表現したんだ?

まぁ良いか。


「それと、理由だったか。それはな」

「それ、は?」

「それは、【そうしたかった】からだ!」

「えっ………えっ?それだけ?」

「ああ、そうだ」


厨二の考え方みたいだがな。

俺は、決めていることがある。

自分に嘘をつかないことだ。

だから、したいと思ったことはする。

出来ないなら、それは俺が弱かった。それだけのこと。


「俺にとって、それ(⚫ ⚫)は行動するだけの理由には充分過ぎんだよ」


呆気にとられてんな。それもそうだろ。

こんな厨二思考、そうそう理解できねぇよ。


「ふっ、面白いな。それは良い」


いきなりシンシアが笑いだした。


「貴様のことは、はっきり言って怪しんでいた。だが。貴様の言葉を聞いて安心したよ。貴様、バカだろう?」

「へっ、ほっとけ」

「良いだろう。これで完全に承諾できた。改めて、シンシア⚫ミルワードだ。シンシアと呼んでくれ」

「そうか、んじゃ俺も。新藤リョウガだ。リョーガと呼んでくれると嬉しいね」

「名前、苗字が先なのだな」

「ああ、俺が居た世界。その国ではそれが当たり前だったんだ」

「そう、か。改めて宜しくだリョーガ」

「おう!シンシア」


にこりと、軍人っぽいが確かな笑顔を向けてくれる。

……可愛いじゃねえかこんちくしょう。


「それでは、今日はもうお開きにしましょうか。もうすぐ日没です。リョーガさんには部屋を用意します。ささやかなものですが、夕食もご用意させますので」


「有り難いね。それと、風呂はどうかな。うちの国では、毎日入ってたんだ」

「公共浴場ならありますよ。後で、ハンナに案内させましょう」

「おう、それで全然良いぜ」


そんなわけで、俺の異世界初日は、ようやく終わりを迎える。

かなり濃い一日だった。

でも、充分していた。

あっちの世界とは、比べ物にならねぇな!



――――――――――――


「これが、魔法。良いね、特にオレにも使えるのがなー。しかもこんなタイプとは。最っ高だね。ホント、あんたたちには世話になりっぱなしだなー。オレも力を貸したくなる。全力をなー。さてと、計画を聞かせてくれ。さぁ、砦の襲撃は何時なんだ」










評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ