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真実の中の虚構世界《フィクショニア》  作者: AKIRA SONJO
第2章【首都奪還プロジェクト、女の子が最優先です】
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50話【ようやく出れた。ならば色々とやってやろうfromUnknown】

どいつもこいつもメタに走りやがって。

ん? 視点はオレ、ジンなのか?


何故かは知らんが、それならそれで進ませてもらおうか。


現状整理。


リョーガとリアトリス、そしてオレの3人。リョーガ主導のもと、現在使える力などの確認作業を終えようとしたとき、問題発生。

何故か眠ってしまったリアトリス。

そして顕れた、女神的な存在。


〔女神ではない、がその呼び方は悪くない〕


思考を読み、リョーガとのアイコンタクトさえ筒抜けにする謎の存在。自称ガイド。チュートリアルクリアの為のガイドなどと言っていた。

そして、やたらとメタ形質で、裏で暗躍している感を出していた。


〔実際そうだからな〕


突っ込まない。突っ込んでやるものか。

そして、全ての対応をリョーガに任せるオレなのであった。


(ヲイ!)


〔別に構わないが、話は聞いておいた方がいいぞ〕


「じゃー任せた。オレより、リョーガの方が良いだろ。実際」

「そういう風に任せるなよな。確かに適正は俺だろうけどさ」


ベッドに座っているリョーガ。その膝、正しくは太股の上に頭を乗せて眠る(眠らされている)リアトリス。部屋の備品のイスに座るオレ。

そして、ガイドはオレとリョーガの等直線上の壁際に、浮かんでいる。

いや正しくないな。存在している、といった方がしっくり来る。

浮いている、なんて簡単には表せない。


「それで、何が目的なんだ? 敵意も殺意もないし、友好的には見えるが、監視されてたのも事実だ。また接触してきたのは理由があるんだろ?」


同感だ。前回は性急に居なくなったし、気にはかけていた。本当は忘れていたけど。


〔勿論目的はある。そして、前回は隣で風呂イベントがあったのでな。覗いていた〕


また読まれてるし。


「てめぇ! 何覗いてやがる! まだ俺もそのイベント未消化なんだぞ!」


そしてリョーガの的外れな指摘。


「女神、女性形質みたいだからまだ許せるが、男だったら記憶が飛ぶまで殴ってるぞ」

〔敵わないと分かっていてもやる。難儀なものだな〕

「それだけ風呂イベントは重要だろうが!」

〔厨二病とは、難儀なものだ〕


同感。


〔ジンも厨二病だろう。リョーガには及ばないにしても〕

「ふざけんな! 一緒にするな!」

「そうだ! ジンは俺並みに厨二病だ!」


(アア゛)

(んだよ)


〔仲が良いのは変わらないようだが、本題に入りたい。が、先に別のことを指摘してもいいかな〕

「なんだ。まだオレを厨二病と言いたいのか」

〔リョーガの方だ〕

「俺? 色々おかしいのは自覚してるが」


だろうな。

だが、ガイドの指摘はそんなものではなかった。



───〔リョーガ、君には、【恋愛感情】がないだろう?〕───



「………………は? そんなわけねーだろ。なぁ、リョー……?」


何故黙ってる?


〔自覚はあったようだな〕


自覚? 恋愛感情がないことを? あのリョーガが?

厨二病満載のリョーガがか?


そんな伏線も何もねーのに、何をぶちこんでやがる。


〔伏線はあったはずだ〕

「なに!?」

〔他でもない、ジン。君が張っていたはずだ〕

「オレが? オレがか!? 一体のなんの……」

〔セクハラについてだ。リョーガは時折セクハラをするだろう?〕

「ああ。ただ、それはセクハラすることで良くしようとすることで、下心はない…………。下心がない? 一切?」

〔気付いたか。恋愛感情、その根源ともいえる本能の1つ、性欲。ジン、君もそれがあまりないだろう? だが0ではない。人間には絶対あるはずのソレが、リョーガには、ない〕


リョーガは黙りっぱなしだ。任せたのに。

リョーガの表情を、アイコンタクトが効かない。

あの感じ、マジで図星なのか?


「ただ単に、枯れてるとかじゃないのか?」

〔それにしては薄すぎるだろう?〕

「リョーガと下ネタを話したこともあるぞ」

〔それについても、下心を。明確な性欲を感じたか?〕

「…………ッ。口先しかねぇな」

〔それだけじゃない。人の持つ高度な感情は性欲に由来とすると、ワタシは考えていてな。性欲がなければ、高次の感情は、きちんとあるのかな?〕

「おいリョーガ」

「……………」


「リョーガ! はっきりしてくれ! じゃないと、じゃないと今までの全てがひっくり返るぞ!」


一体なんなんだ。さっきまであんなにギャグ展開で進んでただろう! なんでいきなりシリアス展開だ!

変わりすぎだ。頭が回らない。追い付かない。でも、高次な感情がないのなら、ないとしたら、


「…………………はぁ。心配するなジン。俺に欠けてるのは恋愛感情だけだ。友情や親愛はきちんとある。俺はジンのことを、親友だと思っているし、感じてもいる。だから落ち着けよ」

「落ち着けガフゥ!?」


単純なエネルギー弾!?

オレの思考を読んで、必要な情報をくれたのか。

ったく、恥ずかしいことを真面目な顔して言いやがって。


「ドーモアリガトヨ。あとで1発殴らせろ。今のじゃねぇ。それを隠してのだ」

「避けたり防いだりは?」

「当然ダメだ」

「しゃーねーな。1発本気で殴り飛ばせ。ソレでチャラにしてくれるなら軽いもんだ」

「おう。全力の全開でぶっ飛ばしてやっかんなー」


リョーガの表情が戻った。さっきまで読めなかったが、しかし恋愛感情がない? 一体どういうことだ。


あれ? 確か精神にも封印がかかってるって。


「ソレが当たりだろうな。前から俺も違和感があったんだ。性欲と、恋愛感情がないってな。それがおかしいのは分かってたから、多少の演技と、厨二病に混ぜてたんだ。黙ってたのは悪かったよ」


〔ほう。封印か〕


「青春邪魔するな」

〔そう言うな。流石に待ちきれない。ワタシも忙しいのでな。だが面白くはあった。いいカップリングだな〕

「言い方考えろや!」


なんか、元の世界の文学部の女の子と言い方被るなぁ。

しかし、


「よく気付いたなー。オレにも気付かなかったのに」

〔精神を読めるからな。精神構造も見える〕

「随分とステキな視覚してるな。記憶とかも読めるのか」

〔フッ。確かに女神よりも更に上の領域のワタシだが、今は君のように封印中だ。精神の表層くらいしか読めない〕


意外だな。そんなことまで話すなんて。


〔君ならともかく、リョーガの洞察力は高い。既に感付かれいることを隠す意味は薄い〕


丁寧にどうも!

しかし、恋愛感情がない。性欲がない、か。

あれ? 確か皆が記憶から消したあの夜、あの時はリョーガから性欲に近しいものを感じたような……。

ってなんだ? 今読まれちゃいけないことを読まれたような。

ガイドの表情は、読めない。だが、勘が告げた。今のはアウトだと。


「んで? 気付いて、それで指摘した理由は? 自分でも異常とは思う。それがそんなにも重要なのか?」

〔そうだとも。この世界では特に、な〕


この世界、では?


〔魔法。この世界では異能は全て魔法にカテゴライズされる。そして魔法はファンタジーな存在だが、かなりロジカルな現象でもある〕


ロジカル?


〔魔法は源子という万能なエネルギーを、因子によって加工し、世界に発現するものだ。それは何でも出来るわけではない。明確な法則もあれば、物理法則にも影響を受ける。理論として確立出来るのだよジン君〕


オレ単体か。リョーガは、ああ理解してやがるこの厨二病が!


〔にも関わらず、魔法は感情の影響を受ける。非常にロジカルなのに、その威力は規模は成功率は、感情によって左右される〕

「そして、特に強く作用する感情がある。だろ?」

「強く作用する感情?」

「人には、生物には三大欲求があるのは知ってるよな?」

「あっ、ああ。睡眠欲。食欲。性欲、だろ?」

〔感情は本能に、欲求に由来する高次なものだ。その中でも、魔法に強く作用する感情は限定される〕

「睡眠欲は自己保存。食欲は自己成長と自己生存。そして、性欲は自己増殖。人と繋がるための欲求」

「……! 性欲が、性欲に由来する感情が強く作用すると言いたいのか!?」

〔君もその発想に至っていたのか〕

「半信半疑の解だけどな。厨二病をナメるなよ」

〔ならば、ワタシの言いたいことは解るか?〕

「……魔法に強く作用する。つまりはこの世界で強くなるために必要な恋愛感情のない俺が特殊ってことか? 恋愛感情のないのに、強くなっている俺が」

〔君を選んだ理由に、それはあるよ。恋愛感情がないのに、とても強い精神力。見るからにアンバランス。だからこそ君を選んだ。他の理由もあるけれどね〕

「だからこそ、だと?」


あれ? あれあれ? オレっち完全おいてけぼり。


〔リョーガ。君はいうなれば、オールドRPGの主人公に近い。頼まれれば引き受ける。だけど自分からは動かない。女の子を助けると口でいいながら、その実恋愛感情を探している。その口実を見付ければ、君は動いてくれる〕

「考えすぎだ。俺はそんな人間じゃねぇ。女の子なら助けたいと思うのは、恋愛感情あるなし関係ねぇよ」

〔君は面白い。そして面白くて、ワタシの願いも叶えてくれそうな人材。だからこそ、選んだんだよ君を〕


こいつら、2人(?)の世界に入りすぎて、思考が飛躍しすぎて( ゜д゜)ポカーンなんだけど。


〔さて、前置きはいいかな〕

「全部前置きだったのか!? えっ!? リョーガも納得済み!? !?←これさっきから使いまくってんなぁオレ!」

「ジン、メタだぞ」

「テメェだけに言われたくねぇなぁ! あとでじゃねぇ。今殴らせろ。ああ殴らせろ」

「リアが危ないからダメだ」

「畜生正論かよー!」


もういやコイツら。


〔ワタシを入れないでくれ〕

「俺を入れるな」


(ノ`△´)ノ┻━┻。


「メタ度を上げるな。幾ら読まれたくないからって」


―――――


「それで、いい加減進めてくれよ。忙しいんだろ?」

〔再び顕れた直接の理由は、その娘にある〕

「リアに? レーギャルンの匣たる少女だからか?」

〔そうだ。君も薄々気付いているだろう? おかしいと。自分の知っている神話とは違うと〕

「それの説明をしてくれると? 前に世界の真実を解き明かせとか言ってなかったか?」

〔それには抵触しない範囲でだ。そろそろネタバレも必要だとも思ってな〕


うーん。メタだな。

ん? 俺に視点が移った?


〔さて、それじゃ話せることを話そう。その間は視点固定するから、話しかけても無駄だぞ〕


何!? 視点固定て、何に干渉してるんだ!?


―――――


この世界は君達のいる世界とは異なる世界。

そして、君達の世界が元となって出来た世界だ。

正しくは、君達の想像が創造となり生まれた世界。

神話や童話、寓話。日々の生活すらも、思い想う。

その思念が元になって形となった世界。

ゆえに、君達の世界の想像が全て通じるし、神話がある程度共通している。

だが、元になっただけでなく君達の世界にも影響を与えている。

例えばエルフなどがそうだ。

エルフの偶像は君達の世界に逆輸入されている。

ああ、この世界の共通言語は日本語だ。

理由は簡単。日本人の創造力が逞しいからだよ。他の国を圧倒するほどに。

この世界で君達ビジターと呼ばれる異世界人が強いのはこういう理由のためだ。

この世界の存在は、夢から生まれた。

大作RPGのⅥとは違うぞ。きちんと存在がある。

肉体もある。モンスターが光になって消えるのは、 実体がないからだ。

それでも、その存在は夢想から出来ているから、創造力を持つ側の君達より弱いんだ。

この世界に来ることで、君達は強化される。

創造力が、そのまま力となるからな。

さっきも言ったが、日本人の創造力ゆえに、ビジターは日本人が多い。

君達のように連れてかれた場合以外にも、神隠しのように異世界に、この世界に来ることもある。

繋がっているからだ。

召喚される。ゲートが開く。ルートが繋がる。

さまざまな方法で来る可能性がある。

特に、創造力、妄想力が強い者がな。


………。


……………。


…………………。


以上だが?


―――


「ハァ!? そこで切る!?」


あっ、視点が戻った。


〔現状出せるネタバレはここまでだ〕

「確かにネタバレはあったが唐突過ぎるだろ」

〔本来は君達自身に知ってもらうべき情報だ、なにより時間がなくなった〕

「時間?」


ん? リアが少し動いた。ネムリ状態から戻り始めてるのか?

それだけじゃない。ドアの外から気配が近付いてくる。


〔また会おう。もっと世界の真実に近付いたらな〕

「あっ、ちょっ!?」


消えた。煙のように、とか。一瞬にとかではない。

正しく消えた。


「どうなってやがる」

「オレももう混乱だ」


1つ分かっていることは、


ドバンッ!


「リョーガ君! お昼だよ!」

「ジン、行こう!」


女の子達が来て、応対しなければならないということだ。


ん?


(ちゃんと覚えてろよ)

(ああ、午後な。きっちりやろう)


そんなわけで午後にgo!


「はぇ?」


リアがまだ寝てたの忘れてた。

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