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真実の中の虚構世界《フィクショニア》  作者: AKIRA SONJO
第2章【首都奪還プロジェクト、女の子が最優先です】
53/54

49話【俺の力の現状把握。そして何かが】

さあて、視点は勿論俺。

俺の物語の主人公は俺だもの。俺以外に誰がやるというんだ。


「いや、そこはオレでもよくねーかー?」

「だって俺主人公!」

「いやそんなグッ! とやられてもよー。つか厨二悪化してんなぁ」

「この世界は厨二病であればあるほど強い気がするしな!」

「実際にそれで結果出てる訳だから突っ込めねーよなー」


「厨、二?」

「ああ。リアには解らないか」

「いや、主の知識、主の言い方ならデータベースを探ることで意味は解る。だが、主はその厨二なのか?」

「バリバリそうだが」

「んーーーー。んん? んーーーー」

「何か、違和感があるのか?」

「んーー。うむ。だが、言い表せない。整理できたら、話す」

「そうか。違和感を見付けて、それが何か重要なファクターとか伏線になるとかあっから、そういうのを気にするのは良いことだ。ゆっくりでいいからな」


―――


「さて。俺自身。俺が俺の情報を知り、その情報を深化させるのは1人だけでは難しい。なので、他者からの、特に俺を見ていて、俺自身が知り得ない俺の情報を持っているジンの力を、視点を借りる訳だ」

「んじゃ何か。オレの戦力確認はついでってわけで、そっちがメインってか?」

「そうでもない。戦力確認がメインだから、どっちもメインだ。ジンの存在理由はそうだけども」

「何を付け足した何を。それは心に留めとけ」

「まぁ視線会話(アイコンタクト)で筒抜けになるけど」

「それもそうだな」


「さてと、バカな話をしてると時間も文字数も食い潰しちまう」

「さて、リョーガの場合、オレより面倒だ。何処から始める?」

「それは決めてる。ジンはジンからの視点を。リア、リアは俺自身と繋がってるし、記憶も探れる。俺の内面を、リアの視点から見てくれ」

「承知した。適宜補足する」


―――


「よし。まずは俺自身の、シントウ流に因らない力を考える」


「俺自身のスペック。ビジターとしての身体能力。具体的には、筋力の上昇。これはパワー、スピードどちらとも。応じて耐久力も。持久力も上がってる。何より技力。テクニックが上がっている」


「そして精神力。どういうわけか、精神干渉を弾くことが出来る。あとは、度重なる戦闘で痛覚に強くなってることか」


「そして、源子操作。シントウ流とは関係ない、源子そのものの技術力。源子を操作することで、身体能力上昇。遠距離技使用可能。他人への源子供給。源子の放射による魔法の妨害。こんくらいか」


「さて、後は何かあるか? 俺ではない視点で」

「そうだなー。前から、この世界に来る前から頭脳知力は高かったと思うが、来てから更に磨かれている気がする。状況判断や作戦立案。先を読む力。相手の能力の看破及び対策が一番感じるかな」

「その辺は俺の厨二力だな。シントウ流と被ってるとこもあるけど」


「リアはどうだ?」

「そのシントウ流を除く、という部分だと、判断が難しい。主の、主にとってのシントウ流は、主の根幹を成すほどに深い。故に、シントウ流ではないものを探すのは難しい」

「まぁ、あらゆる全てをシントウ流に組み込んできたからな。そりゃ、寧ろじゃないものを探すのは今更おかしいか」

「それでもよーリョーガ。必要なんだろ? あえてシントウ流【ではない】ものを探すのは」

「ああ。そこをきちんと探っておかないとな。今後の、俺の成長性やらなんやらが分からなくなってくる」

「それだ」

「? 何かあるのかリア」

「シントウ流に因るかは分からないが、主の成長スピードは早すぎる。記憶を探ってみたが、すさまじい速度。成長ではなく、飛躍のような。そんな感じをうける」

「そうかな。修行とか訓練もやってるんだが」

「記憶の探れない領域にあるのだが、師匠という存在が大きいのだと思う」

「師匠が? まぁ師匠だしな」

「殆ど探れる記憶がないのだが、主の成長は師匠が関わっている。主の成長が必要なシーン、ターニングポイントで、成長に必要な経験値がその師匠から既に受け取っている。戦っているときに、師匠とやらの修行が役に立ったことがあるだろう?」

「あー。あるというか、ありすぎるというか。ないことの方がないというか」

「恐らく、先に刻み込まれた経験値が、戦闘時に解放されていく。んー。これだ。レベルキャップ解放の度に、既に必要経験値が貯まっている? ということなのか」


(どんな記憶を探らせてやがる!)

(知らねーよ! つーか、記憶を探り出してからリアの発言にメタやゲーム用語が混ざり始めてる。理解しやすくなるのは良いにしても、なんか穢してしまいそうで怖い!)

(そこは記憶を探らせないようにきちんとプロテクトしておけよー!)

(無茶いうな! 無意識的にとも言ってたんだからな!)


「そんで、あとリョーガのことなら、源子。そのよくわかんねーエネルギー量だなー」

「そうだな。それが最も、シントウ流に因らない俺の力だな。そーいや、リアはどうなんだ? 源子量は」

「妾か? 普通の人間よりは相当に多いと思う。本来なら、無限に近い筈だが、封印の影響で源子量にも制限があるにしても」

「無限に近い、ってのは?」

「そう、だな。………1度に扱える源子量には限度がある。だが、エネルギーはまず尽きない。不死身に準じて、源子量もまた無限に近い。無限ではないが」

「その源子量は、何処から捻り出してるんだ? まぁ、どういう原理で源子を扱ってるのか、どう回復していくのかも俺は理解しきれてないのだが」

「妾の場合、世界から、世界そのものの源から引き出している。いや、引き出していた、という方がいい。神域にいるもの達は皆、世界そのものから力を引き出す術を知っている。故に強い」

「神域ってのも、きちんと理解しきれてないけどな。んで、今は?」

「単純に、この身体から生み出せる源子のみになる。主とは繋がっている故に、主とのエネルギー受け渡しは容易ではあるが」

「源子ってのは、身体から生み出してるのか?」

「妾も、言葉で説明するのは難しい。主の記憶を借りても、だ。これは………、そう。何故呼吸しているのか、何故心臓が動いていて動かすことが出来て、それでどうやって生きているのか。そんな、当たり前であり、当たり前過ぎることを説明することに近い。どうやら、この例えにはある程度の理論的説明がなされてるようではあるが」

「当たり前過ぎて寧ろ理論的にはわからない、か。なら、それも解明するしかないってか。エティさんの力を借りるか。貸してくれそうだし」

「あの者は苦手だ」

「オレも同意」

「そーか? 話し方がゆっくり過ぎるのと時折マッドになるのを除けばいい人だと思うけど」

「マッドが一番問題だろーよ……!」


「話を戻す。俺の源子について」


「結論からいって、俺の源子量は無限じゃない。きちんと上限がある。人よりも、比較出来ないレベルではあるものの」

「んじゃあ、オレが100で、リョーガが無量大数くらいだから無限に見える、みたいな解釈かー?」

「それだと足りないんだ。最初は俺もそう思ってた。無量大数だから、10だの100だのの源子量を使っても減った気がしないだけだとな。取り合えず、話ながら理解を深めていくとする」


「まず、レーヴァテインを抜剣したときに気付いた。レーヴァテインそのものは後にするが、抜剣時には万能感があってな。俺自身の

力の理解が進んだみてーなんだ」


「抜剣して、俺の源子量の最大値、保有限界値が理解できた。そして、レーヴァテインを振るうために莫大な源子量を消費する。それは普段の俺が消費していく源子量の何千倍、何万倍だ。これだけだと、さっき言ったみたいにただ量が多すぎて無限に感じるレベルでしかない」


「第一に、最大値が高い。これは終わった。第二に、回復速度が早い。これはシンシアのような特殊体質ではなく、最大値が高いゆえに、回復量が多いということだ」


「回復割合は一般人よりも多少いい程度だろう。だが、最大値が多いため、回復するまでの時間は一般人と変わらないが、一回の回復量が凄まじく多い」


「今までは、消費に対して回復する分がかなり上回っていたから、擬似的な無限だったんだ」


「だけど、消費が上回れば、それはただ最大値が多いだけになる」


「ここで第三、これが一番重要で最後だ」


「源子を使えば使うほど、源子の保有限界量は増えていく。微量だが成長していく」


「そして、この時源子が何処からか追加されているんだ。まるで、レベルアップしたときに、最大値の増加分だけ、保有量も増えるように」


「レベル1、HP1/15→レベル2、HP4/18→~→レベル100、HP240/254みたいにな」


「そして俺は、その増加が早いようだ。源子の最大値が伸びる、増加する速度が異様に早い」


「そして、増加した分、そのときに保有している源子量も増える」


「つまり、回復する分に加えて、増加する分が多いから無限に感じるってわけだ。そもそも、成長自体無限みたいなもんだけどな」


「加えて、俺の成長、源子量の増加の仕方は、どーも精神に依存している」


「感情が昂れば昂るほどに、源子量も爆発的に増えていく」


「てな具合だな」

「ズルくね? いやズルくねーかそれ。つまりはさ、テンションが上がれば上がるほどエネルギー生み出せるとか。戦えば戦うほどに増えていくとか。何処の戦闘民族じゃー!」

「知らんて。体質じゃねーの? それに主人公が特別な力持つなんてとーぜんじゃないか」

「うっせー厨二病。エネルギーほぼ無限でしかも増えていくなんて、それなんて無理ゲーだよ!」

「主人公だからいいんだよ!」


「いや、主よ。そんな滅茶苦茶な体質、妾達の長い記憶の中にもないのだが」

「いいじゃないかオンリーワン」

「回復が早い、最大値が高い、位ならままある。だが、成長が早い。それも、戦闘中に大きな影響を与えるほどに。それは、主の記憶にあるまんがやあにめ、らのべの主人公達のようではないか」

「改めて言われると照れるな」

「照れるなよ主人公さんよ。いや厨二病さんよー」

「テメーならともかく、可愛い女の子に言われるのは少し照れるのだよ!」

「めんどくせーなー!」


「(うん? 一体どういう。妾との邂逅は関係ない資質。異世界人故? だがビジターの記憶もあるが、類似はない。成長が早い程度ならともかく、ここまでのこれは1種の特質だ。ならば、ならばならばならば───)」

「どーした、リア」

「(─────しかし、それだと結論は、だがあり得ないこれは、こんなものは)っと、済まない主。考え事をしていた」

「そか」


―――――


「さて、それでは俺の本質でもある、シントウ流に話を移そう。源子量の件はどーにも結論が出なそうだ」

「主人公補正でいいんじゃねー?」

「いやいや、マジレスすると駄目だろ。かなり物語に食い込んできそうなネタだし」

「マジレスになってないなってない。まだまだ厨二病抜けてない」


「シントウ流とは。一言なら、【俺を表すもの】だ。俺の力、俺の望み、俺の思考、俺の生き様、俺の歴史、俺の全てを。俺が俺を表し、俺が俺を掴むために、俺が俺を成すために。俺が作り上げてきた集大成」


「流とはいってるが、受け継いできたものではない。言うなら我流だ。誰からも受け継いだ訳ではなく、誰かに受け継がせることもない、俺だけの、俺の為だけの流派」


「シントウ流はあらゆる全てのもの。武術や戦闘術としての面が強く出ているが、それは一端に過ぎない。言ってしまえば、勉強も、ゲームも、家事すらもシントウ流に含まれるし、シントウ流は全てを飲み込んで進化する」


「シントウ流は言葉を重視する。この辺は厨二だと思ってくれればいい。同音異義語、多義語、誤変換、主に漢字を用い、カタカナは基本的にネタ扱いだ」


「シントウ流が、シントウ、カタカナで表記しているのはネタではなく、あらゆる漢字を当てはめるため。シンと、トウと。あえてカタカナにすることで、あらゆる意味と、あらゆるブラフを持たせる」


「シントウ流は進化する。他人の技を見て、感じて、奪い盗み吸収し。それを分解し、または合成し、派生し、技のバリエーションを増やし、進化して深化していく」


「ここからは全体的な意味ではなく、狭義の意味。戦闘、戦うためのシントウ流を話す」


「シントウ流は先述した通り言葉を重視する。言葉の持つ意味が、技の効果となる。そして、多義語や同音異義語を組み合わせることで、技そのもののバリエーションを、応用力を高めている」


「技の発現には、幾つかの上限がある。1つ、技自体の想像が、明確なイメージがあること。イメージがない、或いは弱い場合、技は絶対に発現しない」


「2つ、技を使うことが出来る最低限の力量があること。つまりはレベルだ。技に必要レベルがあり、強力な、難しい技は必要なレベルが高くなり、レベルが低いと発現する確率が落ちる」


「3つ、状況が必要だ。その技がなければ窮地に陥る。その技がなければ助けられない。その技がなければ死んでもおかしくない。言い換えれば、逆境において発現する。ただ、これは必要な場合と必要ではない場合とがある」


「簡単な技。既存の技の組み合わせ。その程度なら何時でも発現出来る。だが、新たな領域。炎だったり、刀剣の創造だったり、その発現には、それ相応の逆境が必要となる」


「後出しジャンケンに近い、俺の技の発現だが、正しくは先読みだ。技の発現ルールその1、イメージが必要。先にあらゆる事態、あらゆる戦況を想定し、どんな技が必要か、どんな技なら勝てるか。そんな風に想像、もとい妄想している。まぁ、マンガやアニメのIFを考えるのが一番楽だ。ここがこうなら、俺ならこうするみたいにな」


「故に、俺の技は無制限に発現出来ないし、御都合主義ってほどでもないわけだ」


「これは覚醒にも繋がる理論だけどな。シントウ流の技の発現については、殆ど理解が進んでいると考えてよさそうだ」


「そして、重要な点が他にある。シントウ流は、何処からが魔法で、何処までが純粋な技術なのか」


「俺が特に気に入っていて、常用している技、空転。この技の基礎は【掴んで捻る】ただそれだけだ」


「合気道のように、相手の流れを掴むことで捻り上げたり、投げ飛ばすことが可能となる」


「だが、風を掴んで、大気を掴んでみたり。エネルギー、源子を掴んでみたり、それこそジンの銃弾や、ドラゴンのブレスだったりな」


「合気道レベルであれば、魔法による補正はなくても使えるだろう。補正があった方が良いにしても、だ」


「だが、大気は? 腕を振ることで微風を起こすことは出来る。たが実用レベルじゃない。だが、俺は掌で掴むことが出来るし、捻ることで風を生むことが出来る。実用レベルで、実戦レベルでな」


「これは、あらゆる物を、技術を飲み込み進化するシントウ流の性質ゆえのものだが、魔法か技術か、どこで線引きしていいのか曖昧なままになってしまう」


「これがどういう問題になるかというと、これからの俺の成長性だ」


「魔法として伸ばすか、技術として伸ばすか。或いは魔法と言う技術として伸ばすか。まぁ、結論としてシントウ流として伸ばすで良いのではないか、となるわけだが」


「それじゃ、それを聞かされたオレ達の存在理由を再度問う」

「聞いてもらうことが重要なのさ。それに、これにはまだ問題があってな。【魔法を打ち消す魔法】だとか、【魔法を無効化するふしぎなみぎて】だとかの場合、俺は何が通じて、何が通じないとかな」

「逆に言えば、魔法しか聞かないモンスターだとか、か。本当にゲームの話になってくるなー。それこそ、実地研修しかなくないか?」

「それはそうだ。だからこそ、後でケンカしようと言ってるわけだし。ただ、その前に、俺のシントウ流の技を見て、何かを感じなかったか、ということだ」


「んー、オレには良くわかんねーな。オレの銃やらなんやらも、魔法なんだろーが、操銃技術は魔法に由来しなかったり、かといって飛ばしてる銃からの発砲は魔法だと思うし。悪いな、オレにゃあわかんねー」

「大丈夫だ、期待してない」

「ケンカ早めない? ねぇ、早くケンカしない?」

「まだ疲労抜けてねーだろ。それで、リアはどうだ?」

「うむ。幾つかある」

「おっ、どんどん言ってくれ」


「妾達の記憶によるものだが、ビジターに遭遇した記憶、情報はある。それによると、ビジターは魔法か技術か、曖昧な者が多かったようだ。絶対的な遭遇例は少ないにしても」


「故に、ビジター達は、魔法と技術の区別が曖昧。或いは、区別しない傾向にあると推定できる」


「その上で、主に関してはある程度推察出来る」


「所謂、魔法らしいこと。炎を操ることはほぼ魔法だが、体術に類する技は基礎に技術を、強化に魔法を用いてると思う。主の技は、魔法と技術がそもそも混同、区別できない状態にあると言える」


「その上で、魔法か技術か分けたいのなら、源子を使わずに技を放つことを提案できる。もう慣れてしまってると思うが、あえて源子を使わないことで、何らかの新しい発見があるかもしれない」


「といったものなのだが、どうだろう主」

「おう。最高だ。どこぞのトリガーハッピーとはものが違うな」

「ちょっとまて。ものが違うについては構わないが、トリガーハッピーについては認めねぇぞ!」

「そっちは良いのかよ。えー、でも銃使いとか普通にトリガーハッピーじゃねーの?」

「偏見スゲーなおい。つーかゲームならリョーガもよくガン使ってたろ。寧ろオレよりトリガーハッピーじゃねーかよー」

「しかし、リアは俺とは違う着眼点を持ってるな。ジンとはなまじ近すぎるから、これはかなりいいぞ」

「うむ。ならば主、撫でてくれ」

「それは構わねーけど、撫でるでいいのか?」

「うむ。それがいい」

「それでは遠慮なく」


「(なでなでなでなでなでなでなで)」

「(はにゃーーーーーーー)」

「なんだ!? 何処からか強い邪念が飛んできやがる!」

「いやもう分かりきってねーか?」


―――


「それじゃあ、今回の本題の本題の本題。レーヴァテインについての話だな」


「まずは、レーヴァテインとは何か。そこからなんだが、リア、説明できる範囲で構わないから、教えてくれ」


「うむ。レーヴァテインは先述した戦神の振るっていた武器であり、妾達の記憶には、【一振りで神を9柱、世界を9つ滅ぼす力を持つ】とある」


「明確な形はない。そして、勝利の権能を持つ。加えて、焔の力を、全てを滅ぼす焔と、全てを照らす命の焔を」


「残念ながら、【レーヴァテインの使い方】の記憶、情報は有るのだが、【レーヴァテインそのもの】の記憶、情報が殆どない。役に立てなくて済まない、主」

「そのものの記憶はない、か。そして戦神についても、か。それだと俺の持ってる情報と合わせらんねぇなぁ」

「? やはり、情報不足か?」

「そんな強く考えなくていいよ。仕方ないことだし、こんな神とか重要というか秘匿されてそうなことを、さっさと知っちまうのは、寧ろ面白くねぇしなぁ」

「それと主、先に言っておくことがある」

「ん? なんだ?」

「2度とレーヴァテインを使わないで欲しい」

「………? それじゃあ、力を手に入れた意味が、そうか。代償か、さっきの神話にあった代償、寿命を削っていくということか」

「うむ。神の無限とも言える寿命を喰らい尽くす神剣、それ故に魔剣とも称されたが、使えば使うほどに寿命を削る。主はヒューマン、人間だ。ビジターとはいえ、寿命は変わらないだろう。妾は主に死んでほしくないし、より長く一緒に居たいと思っている」

「唐突なプロポーズはともかく、使わないって選択肢はねぇな。使う頻度は減らすことは出来ても」

「今の出力ならそんなに寿命を削るほどじゃない。だが、それでも寿命は削れていく。それでもか? 主よ」

「それでも、だ。俺だって早死にはイヤだけどさ。そうじゃないんだ。もしもコイツを使ってなにかを変えられるのなら。誰かを助けられるなら、俺は使うさ。使わずに後悔して、死にたくなるのは御免だからな」

「そう、か。主は、そういう人間、そういう人格か。そうでもなければ、妾も心を動かされはしないのか」

「それで、今のところどれくらい削れてるんだ? 元の寿命とかはわかんねーけどさ。初回でどんだけ減ったのか、とか」

「初回は特典で減らないぞ」

「んだそのDVDBlu-rayみたいなのは。それで、使ったらどれくらいいく?」

「今の出力なら、限界まで使って数時間か、1日程度」

「その程度なのか? それなら煙草とかの方がよっぽど減るだろ」

「今のまま、だ。現時点で主の振るえるレーヴァテインの割合なら、その程度。だが、主が成長、覚醒していけば振るえる割合も増えていく。そうなれば」

「削れていく、代償となる寿命の量は上がっていく、って訳か」

「うむ。強ければ強いほどに早死にする。殆ど情報がないが、初代と絆を結んだ者は、やはり若くして亡くなったらしい。だから主」

「それでも、俺は使うよ。言ったろ? 俺はさ、寿命が無くなるよりも、後悔して、心が亡くなっちまう方が嫌なんでね。だから使うだろう。まっ、控えるけどさ。俺も、リアと一緒に居たいってのはあるしな」

「主………」

「それでさ。俺は今レーヴァテインをどれくらい掌握出来てるんだ? 割合っていってたが。俺は割合については感覚が無くてな。本来なら神の寿命を吹っ飛ばす位だから、精々1%、いや0,01%くらいか?」

「もっとだ」

「もっと? ってそりゃ下方修正か。なんか言い方が相当だな。一体、どれくらいなんだ?」

「そう、だな。……………主が掌握しているのは、全体の」

「全体の?」

「一つまみ分程?」

「…………………エ゛?」

「主の記憶情報の中に……………。あった。【とうきょうどーむの中に、とらっく1台分】? という例えになる、のか?」


「………いや、東京ドームって結構イメージしやすいかと思いきやわかりづらいというアレか。つーか、空間含めたら一体何台入るんだアレ。ゴルフボールとかだったら流石に泣くけど」

「原子1個分じゃあなー。流石に凹むだろー」

「寧ろそれでバレスの大鎌を折れるかよ」

「つーかあの鎌重いんだけど、どんな材質で出来るんだ一体よー」

「エティさんが調べてんだろ? あの人に大分仕事押し付けちまってるな、後で手伝いに行かねーと」

「エティさんもそうだが、ハンナもよくわかんねーなー。ウチの女性陣は一体どうなってんだか」

「気にしたら消されるんじゃね?」

「かもなー」


「「………………」」


「話戻すか」

「そだなー」


「しかし、まるで掌握出来てないんだな。良くもまぁそれでバレスの大鎌を折れたものだ」

「割合が低くとも、歴とした神剣であり魔剣だ。剣ではないけれど。相当な武器だったようだが、それでも対抗は出来たのだろう。主の力があってのものだが」

「レーヴァテイン抜剣時に、身体能力が上がったんだよな。アレも、俺の感覚だけじゃ掴めなかった。何かわかるか?」

「恐らく、だが」

「言ってみてくれ」


「主には封印が掛かっている。主の封印は精神と肉体、両方に。そして、レーヴァテインを封印している妾、レーギャルンの匣」


「主には、レーギャルンの匣を開く【鍵】を手に入れている。妾が主を認め、主のモノになったときに出来たものだ。その【鍵】が、レーヴァテインを使うための文字通り鍵となる」


「ここからは妾の想像だが、そのレーギャルンの匣に合う【鍵】が、主に掛けられている封印にも一部合うのではないか」


「鍵そのものに形の概念はない。故に、封印を開けるための鍵として、主の封印にも作用したのではないか」


「つまり、レーヴァテインの作用ではなく、主自身の作用によるもの。と妾は想像している」

「………うん。悪くないな。感覚的な部分が多いから、確定は出来ないけど、なんとなく合ってる気もする。勘になるけど」

「そうか。それなら良かった」

「しかし、リアは頭脳派なんだな。さっきから結構核心突いてそうだし」

「そ、そうか? 頭脳というなら、主の方が余程高いと思うのだが」

「俺の頭脳なんて、単なる厨二病でしかねーよ。それに、うちのパーティーには頭脳派が欠けててなぁ。なんかそういうのを全部俺の担当になるし。それは良いんだけど」

「みんな、リョーガのことを信用してんだよ。実際、頭は良いと思うぜー? 厨二病だろーが、きちんと結果になってんだからさー」

「だからってなぁ。頭脳役は一人だと不味いんだよ。多すぎても困るけどさ」

「オレは勘重視だしなぁ。他のみんなも、頭良いはずだけど、司令塔ってタイプは少ないしな」

「リアが頭脳役だと、色々と楽になるんだ。その辺も頼む」

「頭脳についてはあまり期待してもらっても困るが、了承した」


「レーヴァテインの能力について話を移す」


「現在、といっても1回しか使ってないが把握している能力を確認する」


「まず強大な力。神域と呼ばれる、領域の違う力。これについては良くわかってないが、とにかくつえーでいい」


「武器としての力。俺自身の知識では、レーヴァテインの形に対する言及は少なく、解釈がバラバラ。だから俺は、4つに分類することにした」


「近接としての【剣】遠距離としての【槍】魔法としての【杖】純粋なエネルギーとしての【力】といった具合に。そして実際に、そんな風に力が出た」


「形も自由に変えられるし、想像通りの能力にもなる。そして、それぞれの役割の力が強化されていた」


「また、焔の回復魔法? が使えるようで、自己回復だけじゃなく、他人も回復出来る。自分だけなら、かなり強引に治せる。ほぼ不死身クラスでな」


「そんくらいかな。リアに聞きたいのは、武器が何故あーなるかだ」

「主の記憶と照合したが、これは主の創造性が良い方に出ていると言える」

「というと?」

「レーヴァテインに明確な形はない。形は装備者が強く想像することで決めることが出来る。主のように、細部まで最初から想定出来ていればこそ、初戦から巧く扱うことが出来た」

「想像力がここまで役にたつのかよ。それなら好都合でもあるか」

「勿論、出来ないこともあるし、そもそも主はまだ扱えていないのだから、完全ではないが」

「結構言ってくれるなぁ。全然いいけど。振るってるときに、ブレるってか、存在が不安定になったんだが、これも扱えてないからか?」

「それもあるが、理由は別にある。レーヴァテインには明確な形がない。故に、媒介があると安定する」

「媒介? 剣とかに力を流すのか?」

「うむ。相当なモノでないと無理、そして伝説的なものでも不可だ。【ランクは高いが、神話伝説ではない武器】になる」

「随分と限定的だな。強くないとダメだが伝説はダメか。俺のこの幾重咲きとかの剣は?」

「ダメだと思う」

「早いな。やっぱ媒介に出来るほどじゃないか」

「そうではない。主のソレは源子からなっているだろう? 源素で出来たモノではないと媒介には出来ない」

「ゲンソ? 元素じゃないよな。知ってるかリョーガ」

「エティさんに軽く聞いたことがある。物質的なのが【源素】エネルギー的なのが【源子】だが、源子は物質的なふるまいも出来るから、混同しちまうらしい。ようは、エネルギーで出来た武器はダメってことだな」

「それに主のソレは、剣だけではない。もっと、別の何かだと思う」

「更に謎を放り込んできたな。しかし、媒介にたる武器か」

「バレスの持ってた武器、大鎌はどうだ? 柄が壊れてるけど」

「そうだな! 確かエティさんに診てもらってるんだっけか?」

「ああ。あとで確かめてみればいいだろ。寿命に関わらない程度でなー」


「魔法については、かなりの自由度があった。想像通りというか、出来ると思った範囲ならほぼ出来る。焔の魔法はかなり出来そうだ。通常時でも、相当に小規模になるが、炎魔法が使えそうだ」


「同じく、回復魔法についても、自己回復なら大分使えるが、他人への回復はそんなに使えない。ってところか」

「魔法が使えるかー。いいなぁ」

「銃バリバリの見た目科学が何を言う」

「魔法は憧れるんだよ! 銃の方が憧れは強かったけどさー」

「これで俺も回復持ち。この世界ではヒール能力はそこそこレアらしいから、有用だな」

「その割りにはパーティー内に使える娘多いけどなー」

「お約束だお約束」


「そうだリア。リアには確か、嘘を見抜く能力があったよな」

「有るには有るが、今の妾には使えないのだ。故に先程は言わなかったが、アレは神性がベースにある。故に今は使えない」

「俺に通じなかったよな。アレはどういう理屈だ?」

「妾もそれについては考えていた。その後に使った、断罪の焔、嘘を付く、つまり裏切り者だけに攻撃を加える焔が発動出来た故に、不自然な防御とかではない。何らかの手段で防ごうとした場合、それが裏切りにあたるからな」

「だとすると、精神そのものがガードした、ってことか」

「何か心当たりがあるのか? 妾には探れないし、プライバシーにもあえて探ることもしたくはない」

「ああ。前にも、精神支配や、凍りを弾いたことがある。俺に精神系は効かない体質でもあんのかな」

「もしくは、精神にかけられた封印の作用かもしれない」

「そういう線もあるか。これも要研究だな。あっ、断罪の焔ってさ、俺にも使えるかな」

「多分使えるようになるはずだ。アレはレーヴァテインの力をベースに使っていたから」

「こういう、味方だけをすり抜けて敵を攻撃出来る技は必要になるからな。是非とも習得してーな」


―――


「大体の話は終わったかな。あとは実際にヤろうか」

「ああ。回復も終わったし、ヤろうか」

「ヤるって、戦うのか? 主達は」

「ああ。それが一番だし、修行にもなる」

「んじゃ、行こうぜー、リョーガ。そろそろ怒りとかをぶつけさせろ」

「まー待て。リア、準備は、ってどうした?」

「ファァ、ねむ、い? (パタン)」

「リア!? いや、寝てるだけか? いや待て、かなり話し込んでいたとはいえ、寝起きだぞ? すぐに寝るか?」

「確かに、不自然だな」

「睡眠系の魔法? 何が目的かは知らねーが、だとしたらもう近くに」


〔来ているとも〕


「!?」

「お前は!」


〔やあ久し振りだな。本当に久し振りだ、自称ガイドさん。神よりも上位の存在だ〕


「どうやってここに!」

「それを聞いても無駄だジン。リアを眠らせたのは?」


〔無論ワタシだ〕


「なら良い。大方、話を聞かれたくないとか、そういうものだろ。そういう場合は、身体に害はない」


〔良い理解力だ。成長しているようで何より。だが、ワタシに気づかなかったのはまだまだだな。先程から地の文が一切無いのに気付かなかったのか〕


「気付くかそんなもん!」

「そういやアンタもメタ側だったな!」


〔心配しなくても、地の文がないときは誰かが覗いてる、と言うわけではない。精々5割くらいだ〕


「随分と覗かれてるじゃねーか!」

「プライバシーはどこいった!」


〔ダブルツッコミはありがたいが〕


「なんだ!」

「ようやく本題か!」


〔本題に入ることなく次回へ続く!〕


「んなッ!?」

「テメーもそれやんのかよォォォォォォォ!!!!!」


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