表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真実の中の虚構世界《フィクショニア》  作者: AKIRA SONJO
第2章【首都奪還プロジェクト、女の子が最優先です】
44/54

40話【出番が少ないからなー。しっかり活躍しておかねーとfromジン】

{どーも、ジンです。

リョーガと行動を共にしてないのでオレに視点が移りました。

ここまで読んでくれた読者であれば分かってくださるだろう。

オレに視点が移ると言うことは、リョーガの補足する回だと。}


って、なんだこれ。何故こんな立て札が山道に?

つい読んでしまった。


「なぁティー。この立て札はなんだー?」

「どうしたの?ジン。立て札など何処にもないけど」

「あれ!?」


どういうことだ?

まぁ気にしても仕方ない。きっと何処かの作者のアホな描写だろう。

ガツン!


「ってぇ!」

「ジン!大丈夫?」

「いや、なんとか平気だが」


何故いきなり落石が。

山道だからとはいえ、崖沿いでもねーのに。

しかも警戒してたのに。


「取り合えず、はい薬。塗った方が良いよ」

「ありがとなティー」


――――――


ティーがチラチラと後ろを見ている。

他の女の子達も、同様だ。いや、シンシアは何か考え事して、ふと後ろを見る感じか。


「大丈夫だ。リョーガは気負いとかもない、ラフな状態だった。なら、大丈夫だ。寧ろサシで戦いたいんだろう」

「ジンは、リョーガさんのことを良く理解してるんだね」

「まー、なっがい付き合いだからなー」


むっ、霧がどんどん濃くなっている。


「急ごう。リョーガが追い付く前に、他の邪魔な奴を払うぞ」


全員頷く。


「フォーメーションを確認しておくぜー。オレが後衛からの射撃及び指揮。ティーは遊撃、オレと主に組んでくれ。シンシアは前衛、守備重視。マーヴェルは中衛、使役精霊で攻防を、マーヴェル本人はサポート重視。ルイ君は前衛、攻撃重視。ハンナさんはすぐに何処かに逃げるか隠れるかしてくれ」


全員また頷く。

大体こんな感じ良いはずだ。

リョーガ不在時には臨時で俺が指揮を執ることになる。

あまり得意じゃないんだがな、上の立場って。

それに幾つかの心配事がある。

シンシアの様子が少し変だ。リョーガも気にかけてたし、何もないなら良いんだが、集中力を欠いてるしな。

そして、一番の心配事が、ルイだ。

オレはまだ、ルイのことを信用出来てない。

リョーガは実際に戦って、語りあってたから、信頼出来る何かを見つけているようだが、オレはまだだな。

この劇団や宝塚にいそうなカッコよさげなところは良いんだが、何か違和感があるというか。

何なんだろう。

気にしても、分かるわけではないが、気になっちまうな。


「しかし霧が濃いな。あまり標高も高くないってのに」

「この濃さは確かにおかしい。けど、ないと言うわけじゃないからね」


ティーはこの辺の地理を総括して把握している。

濃すぎるが、異常かどうかは微妙なのか。

霧と靄の違いは1㎞先が見えるかどうからしいのだが、30mも見渡せねーぞ。


「……騒いでる」

「マーヴェルちゃん、どうかしたのか?」

「精霊達が、騒いでる。何かが起きようと、いや起き始めてる」

「?この霧は、精霊が関係してるのか?」

「(こくんっ)」


精霊族エルフのマーヴェルは精霊と話せるらしい。

基本的にリョーガにしか心を開いておらず、オレ達他のメンバーには、多少開いてる程度だ。

しかし、霧に関係有るとはな。精霊は万物に宿るものらしいから、それも当然、なのか?

一般人(んなわけない)のオレにはよくわからないな。

エティさんは研究職だから何か知ってるかもしれないし、リョーガは何か分かってるみたいだし。今度聞いてみるかな。


少し早足で山頂に急ぐ。標高はあまり高くないが、道は整備されてないし霧が濃いしで中々進めない。

霧と地面、そして落石に気を付けるため上方にも。

全方位警戒と言えば聞こえは良いが、実際には難しく全体的に集中力を欠いてしまう。

それでも、勘が反応した。

リョーガがオレの勘はかなり優れていると、野性的な勘が研ぎ澄まされていると言っていた。


(なんだ?何か、居るのか……………!?)


だけど、勘だけでは足りないとも言われたっけな。


最初に気付いたのはマーヴェルだった。


「…!?敵襲!」

「気を付けろ!」


次に気付いたのはシンシア、ぼけーっとしてるように見えてきちんと警戒していたようだ。

全員が、マーヴェルの指差す前方上空を凝視、す、る!?


「<風精は楯となりて我らを守護する>!」

「<風は渦を巻き我らに堅固なる防壁を与える>!」


マーヴェルが風の精霊を使役して風の盾をパーティー全体を護るように幾つも張り出す。

シンシアが攻撃を弾き、敵を寄せ付けない風のヴェールを展開する。

霧を弾け飛ばしながら、それ(・ ・)は、放たれた。


「グヴゥゥ、ガァァァァァアアアア!!!!!」


―――――


マーヴェルの張った風の楯は、一瞬それ(・ ・)を止めたものの、粉々に。

シンシアの展開する風のヴェールも、一瞬抗したが、消し飛んでしまう。

一瞬と一瞬、合わせて二瞬。


「<カミカゼ>!」


その間にルイが動き、あらゆる攻撃を払うというカミカゼを使用。

なんとかそれ(・ ・)を防ぐ。

それそれ言ってたそれ。

それは、


「グギャアアアアア!!!」


「竜、だと……!!!」


竜の代表的な技、吐息ブレス

竜種の殆どが使えるという衝撃生む吐息(インパクト・ブレス)

その威力は、竜とは高次の存在であると頷けるほど。


「翼、飛竜!?なんでこんなところに飛竜が居るの!?」


大きさは小型飛行機程。一狩り行こうぜで狩りに行くと会えそうな感じ。

形は西洋竜、トカゲから進化したタイプ。体色は赤黒い。

どういうわけだか、完全にオレ達に敵意むき出し。誰だヘイト値上げたの。

とにかく、


「フォーメーションを取れ!防御、回避を主体。ハンナさんは逃げるか隠れるかしてくれ!」

「もういないぞ!」

「はやっ!」


オレはガンズ・カーニバルを発動。

狙撃銃を造りだし構える。宙空に16丁の拳銃を待機させる。

ティーはベルトから柄を取りだし、武器部分を生成する。

造り出すのは弓、持ち手を中心とし上下に源子が伸び形を形成する。

ティーは柄、或いは媒介となる持ち手があれば、様々な武器の形に出来る。

それは近接武器に止まらない。銃は無理なようだが、弓くらいなら造れるし、矢は源子のみで形成出来る。

それぞれの武器の練度や硬度、強さはそこそこなものの、多様な武器を造り出せるというのは結構使い勝手が良い。

マーヴェルの回りに精霊達が形を成し、集まり始める。

種類は様々だな。オレが見たことあるのは炎、水、電気の精霊だけだが、もっともっと種類があるらしい。

形は騎士型だな。マーヴェルは人型か獣型をとらせるのが透きだとリョーガが言っていた。

シンシアは愛用のレイピアを構える。

なんだか、構えがリョーガに似てきたな。

ルイは構えるだけだが、技のレパートリーが多いし元々無手だしな。


地形は、よし。運が良いのかな。

山だが、ここはぽっかり広くなっていて、回りは土の壁。崖はないから落ちる心配はない。

逆に言えば囲まれて逃げ場が後ろか前しかないが、この飛竜は倒す、逃げる道はない。


飛竜、翼は大きく、はためく度に霧が動く。

牙がきらめくアギト。ぶっとい腕と凶悪なる爪。

その尾は柔軟にして強靭。鱗は赤黒く、光沢を持ち、その硬度を主張する。

そして両の眼窩に収まる、蹂躙者たる凶暴な眼。

濃い霧の中でも、その双眸は光を失うことはない。


ファーストアタックは取られちまった。いきなりおそいかかってきた、ってやつだな。だがそれは無効化した。

さぁ、始めようか。反撃、開始!


ドォォォンンンン!!!!!


―――――


開幕の号砲代わりに狙撃銃からレールガンを放つ。

狙撃銃は銃身が長いから、加速距離を長く持てる。故に、電磁による加速力は通常の拳銃より二乗倍だ。

バツンッンンン!!!

額にぶち当たったが、大したダメージなし。

ってあれ?ヘイト値上がっちゃった?

飛竜がアギトを大きく開け、霧ごと大気を吸い…、


「散開!」

「ガァァァァァアアアア!(バアァァァ)」


オレはティーを抱えつつ、爆発弾を使って爆裂ダッシュ。

他の皆もそれぞれの技でダッシュし散開。

さっきまでオレ達が居た場所に、業火がちらついている。


「炎のブレスだと」

燃え上がる吐息(バーニング・ブレス)だよジン。あの飛竜、多分鱗からして炎属性だ」


ティーはオレに抱えられつつ、矢を射放つ。

しかし矢は鱗に通じず、弾かれる。少し鱗を削れた程度だ。


「鱗の色って。そのまんまじゃねーかよー」


宙空の16丁が火を吹き、オレが今使える属性の弾丸を浴びせる。

マーヴェルは精霊騎士を突撃させる。半分を攻撃に、半分を護衛に残している。数体をオレ達皆の盾として配置。

シンシアは風魔法で攻撃。遠距離魔法は不得手らしいが、それでも風の砲弾や斬撃を放つ。

ルイもまた、遠距離技で攻撃。多様な属性で攻撃する。

全員に意図が伝わってるな。こいつには、どの属性が効くのかという意図が。

空を自在に飛んでいるから、攻撃も中々当たらない。

しかし何故かあまり高くは飛ばないので、射程そのものは届いている。

放ってくるブレス、インパクトとバーニングを時には避け、時には防ぎ、時にはしのぎ、チャンスを探す。

不意打ちだったから防御が甘くなっただけで、きちんと対応すれば防御は出来るようだ。

真正面から受けず角度を作り受け流したり、ブレスの瞬間に強攻撃で攻撃を逸らしたり。

しかしキツいな。飛竜の攻撃は現在、上空からのブレス、バーニングとインパクトのみ。きちんと対応すれば被弾はしない。

しかし、防御力が高すぎる。

赤黒い鱗が攻撃を殆ど防いでしまう。

打撃点を集中して、なんとか通るくらいだ。

目だとか、飛膜も狙ってみたが、どうも防性フィールドが張ってあるようで全て燃え落ちてしまう。

飛竜の属性は炎だが、炎に絶対的に強いわけではないようだ。

全般的に対属性値はあり、どれもそこそこ以下の効果。

上空からブレスを放つだけだが、避けるのが上手く、また隙が小さく大技を放てない。

防御に人材を割かなければいけない分、攻撃役も減る。

主に攻撃をオレとティーが。

マーヴェルとシンシアが防御を担当し、ルイが遊撃。

ルイは飛行能力を持つが、飛行時間に限りがあるし、飛行中は使える技が少なくなるため、勝機を見いだすまでは使わない。

まだまだ限界は来ないが、リョーガの源子供給が無いのはかなりキツいな。

修行・訓練の時に、源子供給をしないメニューの方が多かったのはこれが狙いか。


さて、何かないか。何か変化が。

いや、待つんじゃない。起こすんだ、変化を。

探せ、変化点を。変化させる始点を。

スコープを造る。スコープを覗くのではない。スコープから通る光を、映像を、直接頭に繋げる。

スコープを覗く余裕などない。スコープから得られる視覚情報を、直接頭に送る。そして、スコープは宙空で展開している銃にも。

視覚情報もフィードバック。

グゥゥゥ、頭が、割れそうだ。

これはキツすぎる。処理能力がまるで足りないな。


(だが、1つ見えたぞ。飛竜、この戦いの変化点を)


「ティー、数秒任せた」

「分かった!」


ティーが弓に矢をつかえ、思いきり引き絞る。

源子を全力で籠めたパワーショット。

ぶっとい左腕に被弾。

ダメージはあまり無いが、気を引くことは出来る。

それを見たルイも攻撃を放つ。

手に、源子を黄色く彩りながら集束し形を造っていく。

あれ?構えが、あれは撃つのではなく、投げる?


「<ブル・ショット>!」


黄色の軌跡を描きながら、飛竜に迫る。

あれは、ダーツの矢か?名称的に。いや、錐?

高速で迫り、左腕に突き刺さる。鱗を貫通している!

しかも、凍り始めた!範囲は広くないが、深く刺さり、ガッチリ凍っている。

何故?ブルショットでなんであんな効果が。

(リョーガ's厨二データベース。

ダーツ用語では、ど真ん中のブルのみを当て続けるルール。

カクテルとしては、酒とスープを混ぜた異色中の異色のカクテルで、シェイクし氷の入ったグラスに入れたりする。

また航空機、Tu-22のコードネーム、その形状から別名シーラ、錐と呼ばれている。

合わせて考えると、命中精度の高い、フリーズの追加効果のある錐/ダーツといったところだろう)

なんだろう。何も知らないのに分からないのに、分かった気がしてきた。


さて、一瞬の時間は稼げたかな。


構える。64倍式狙撃銃。

通常時よりも、銃身は長く太く、そして強く。

思いきり力を注ぎ込んだ弾丸を籠める。

そして、電磁をありったけ。電磁の力はこれからのオレに確実に必要になると思って、集中的に修行した。

スコープを直接覗きこむ。直接頭に送るキャパなんて残ってない。

狙う。狙う。狙う。

シンシアが不得手ながらも、大風を起こし、飛竜の動きをほんの僅かでも絡めとる。

マーヴェルが飛竜の顔面、目玉付近で電気精霊をスパークさせ視界を眩ませる。

狙う。狙う。狙う。


「<電磁加速式(レールスナイプ)炎弾狙撃(verフラム)>」


音を置き去りにした弾丸は、飛竜の左腕に、今まで攻撃を集中したその場所に吸い込まれる。

凍りついた腕に、劫火の炎弾が直撃する。

温度差が生まれ、脆くなった腕は血飛沫すら出ず破壊される。

破壊範囲は狭いが、かなりのダメージだろう。


眼の色を変えて、燃え上がる吐息をオレに狙い定めて飛竜は放つ。

大技直後で硬直中。だが、それは読んでいる。たとえ大ダメージでも、竜をうたうならば怯むどころか凶暴性を増すだろうと。


ティーの武器を弓から鞭状に変形させ、オレの腰に巻かせてある。

それを引っ張ることで即脱出。

ついでに靴裏に仕込んでおいた指向性爆発弾を起爆させ更に加速。

ふぅ、なんとか避けられた。

だけど、オレの狙いは左腕を壊すことじゃない。

狙撃銃に電磁をリチャージ。

さっきの1発で疲労が来始めてるが、気合いでねじ伏せる。


完全にオレを最大目標に定めた飛竜はブレスを放ちまくる。

くっ、避けるのに集中しなくちゃならないし、狙撃銃に創造リソースを割いてるから銃は造れない。

ティーが飛竜に睨まれない程度に、しかし確実にオレを振り回し安全圏に退避させる。

指向性爆発弾の爆風で加速と姿勢制御。

だが、リチャージ速度がかなり遅くなる。

焦っている内心を悟られたか、執拗にオレを狙ってくる。

シンシアが風で攻撃を加えたり、ブレスを逸らしたりしているがまるで気にかけてない。

マーヴェルもスピリチュアル・ドミニオン、槍を持つ多属性な騎兵隊を突撃させて、赤黒の鱗を貫通に到ってるが、それでもオレ狙いは変わらない。


ブレス。避ける。ブレス。避ける。ブレス!避ける!!!


「グガァァァ!!!」


業を煮やした飛竜が、範囲を広げた火炎ブレス。


「くっ」


避けきれない!爆風による弾幕を張り、少しでも防御を図る。

チャンスと見た飛竜は大きく息を吸い込み、集中型のブレスを放とうとする。

そう、放とうと、した。


「<スカイ・ダイビング>・キィーーーーーック!!!!!」

「グギャァァァアアア!!!」


ルイが先に攻撃してなければ、な。

オレを狙わせて、その隙に霧に乗じてホワイトウイングで離陸。

上空からスカイダイビングで急速落下、青い軌跡が槍のように飛竜の背中に激突、

まるで予期しておらず、またルイのフルパワー、かなりの大ダメージ。

こればかりは飛竜もルイに狙いを変更。

飛竜がダメージから立ち直る一瞬の間に、ルイは白い翼をはためかせ上空へ。

おい飛竜、そんな上を向いたら、喉元ががら空きだぜ。


狙撃銃に電磁をリチャージ。

本来ならまだ時間がかかる。

危機を感じ取ったか、飛竜がオレに向き直る。

でも遅い、既にリチャージ済み。

狙いも、既に定めている。

連チャンはキツいが、やってやるさ。


「<電磁加速式(レールスナイプ・)貫通爆破狙撃(verペネトレイト+)>」


長い銃身を進むごとに、電磁によって加速を繰り返す弾丸。

放たれた時、音を置き去りに、空気すら貫通し、飛竜の喉元。

そう、竜に必ず存在するもの。

それは、


「逆鱗ってのは、弱点でもあるよなー?」


触れればキレる逆鱗。しかし、何故キレるのか。前にリョーガは考察を重ねていた。

神聖の高い龍はともかく、粗暴な竜の逆鱗は弱点になる。

何故触るだけで殺すほどキレるのか。

それは、そこに神経が集中しているからではないのか、と。

結果はこうだ。


逆鱗に触れ、即粉砕しながら貫通し、強靭な飛竜の身体さえも突き通る。

そして、貫通した端から爆発し続ける。

ペネトレイト+。ようやく、複数の属性の弾丸が実用レベルに達したんだ。

一瞬、飛竜はビクンッと仰け反る。

直後、翼の動きはなくなり、ゆっくりと、そして加速しながら地面に向かう。

それは下降ではなく落下。

地表に、激突。

竜は、動かない。その瞳は開かれていた。

強烈な圧迫感を与える双眸。光は、消えていた。


―――――


ドクンドクンと、心臓が脈を打つ。

やった、のか。


「やった、やったよジン!」

「ふぅ、やったねジン君。見事な狙撃だったよ」

「やるじゃないか、ジン」

「………(こくっ)」


皆が、寄ってくる。

竜に変化はない。ほんとに、やったみたいだな。


「皆、ありがとなー。あんな適当な指示を聞いてくれて」

「あれで正しいと思ったからね。実際に上手くいったし、ジン君、君にも指揮の才能はあるみたいだね」

「ジンの言うことなら、勿論聞くよ!」

「まぁ、少し詰めの甘いところもあったが結果オーライだろう」

「………」


シンシアは少しキツいな。それも仕方ないか、実際にギリギリだったし。

マーヴェルは、シンシアに同意みたいだな。

ティーの意見はあまり参考にならない。

ルイは褒めてくれてるみたいだけど、オレは信頼して貰ってるのかな?されてると良いな。信頼しやすくなるし、貴重な男友達だし…?あれ何か引っ掛かる、なんだろ。


この戦闘の中で一番活躍したのはマーヴェルだ。

パーティーの中で、オレの指示を精霊を通じて届けたり、全員のバックアップをしていた。

オレの狙撃銃の電磁リチャージを早めたのも、マーヴェルのお陰だ。電気精霊を投入して、強引に電磁をリチャージした。

マーヴェルは攻撃に精力を傾ければ、相当な攻撃力を発揮しただろうけど、今回はサポートに回ってもらった。

サポート力もかなり高いからな。被弾時のヒールも来たし。


「ねぇジン」

「どうかしたかー?ティー」

「なんで警戒を解いてないの?」

「ここは戦場だぜー?気は抜けねーさ」

「でも、気が入りすぎじゃない?狙撃銃もそのままだし」

「あれ?ほんとだ。なんで?」

「いや、アタシに聞かれても」


―――――


霧に紛れている。

誰も、気づかない。

エルフであり、知覚力が高く、尚且つ精霊に情報を貰っているマーヴェルでさえ気付かない程に紛れている。

それは、その影は、その人影は、魔人だった。

杖を持った、魔人だった。

一瞬、杖が光った。

魔人は、倒れた。まるで、命の全てを使いきったが如く。


―――――


(なんでオレは、オレの身体は警戒を、最大級の警戒を解いてない。何故、ここまでオレは嫌な予感を感じている…!?)


もう一度、飛竜に目を向ける。

変わっていない。圧迫感のある、その双眸にも変化はない。

変化はない?なら何故、……何故、


「なんで光が輝いてんだよ!」


狙撃銃を向け、通常弾でもなんでもいい、とにかく放つ。

ドン!

額に、埋まる。埋まる!?何故埋まる!固いはずだろう!

なんで血が吹き出ているんだ!


「どうしたのジン!飛竜はもう……!!?」


額から、銃弾が出てくる。まるで再生のため異物が弾かれたが如く。


「そん、な」


額から血が流れていたはずなのに、血さえ止まっている。いや、傷すらなくなっているじゃないか!


「飛竜が、甦った!?」


「GIIIiiiii、GYAAAAAAAAAAAAA!!!!!」


まだ、竜の驚異は、去っていない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ