38話【俺ハ、帰ッテキタゾ。リョーガ!fromアズメィア】
春の3月、3の日。
元の世界なら、そろそろ黄金週間かな。(元世界時間5月3日)
えーと、地図が無いから分かりにくいと思うが。
それは作者に文句言ってくれ。何時か作らせるから。
俺達は今、五つある大陸、東西南北中央のうち、西大陸に居る。
西大陸の中でも、西の西。そこにフェイクライナがある。
西大陸は、扇形をイメージしてくれ。
西側に開くような感じ。
( ←この記号みたいなみたいな感じで、西の端は弓なりに。
〕 ←西大陸の東端は、こんな感じにな。
んで、本来、フェイクライナの首都は、(〕←これの丁度中央辺りにあるんたが、モンスター、魔人どもの襲撃で、乗っ取られている。
この首都を取り返すことが、俺が今進めているプロジェクトだ。
首都から真西に大分行ったところに、俺達が関所と呼称する4つの城が固まった場所がある。
関所←俺達今ここ。
更に真西に行くと、砦と呼ぶ城がある。
関所には主に戦闘する男性が。
砦には、主に戦えない女性が。
正しく、関所を抜けると、砦まで何もなく、砦が落ちれば、フェイクライナという国は崩壊する。
砦から真西に行くと、(←に達してしまう。つまり海しかない。
しかも、この世界は球状がどうか分からないが、海を進んでも島ひとつ無いとか。
加えて、海は険しく、狂暴な海性生物やモンスターで、どうにもならないらしい。
まぁ、航行技術とか、造船技術とかは、あまりフェイクライナは得意としてないらしいからな。
機械産業は、東大陸が得意だとか。
話が逸れたな。
関所から南、正しくは南南西かな。
その方向に、山脈が有る。
山脈の天頂に、リバティの少女は住んでいる。
遠目にだが、調査に出たゴゥアフトメンバーが確認している。
つーか、ゴゥアフトメンバーが、完全に俺の斥候になっとるな。
現在時刻は昼の1時。
朝から出発。結構険しい山脈らしいので、きちんと準備した。
その他武装も揃えた。
まぁ、武器は俺は幾重咲きで、ジンはガンズ・カーニバルで造り出せるから、防具だな。
戦闘服と化した、ブレザー。
材質とかが全く違うから、防御力を底上げしてるらしい。
ぬののふく、より、相当マシらしい。
ついでに、俺のブレザーにはポケット、収納を一杯作ってあって、暗器とかを仕込めるようになっている。
ジンの方には、ホルスターとかが内蔵されてる。
ハンナが作ってくれた。同じのが何着もある。
理由としては、服装描写がめんどい作者の都合だ。
まぁ、固定服ってのは良いと思うけどさ。
パーティーは、
俺!リーダー。主近接戦闘。エネルギーバッテリー替わり。
ジン。主遠距離戦闘。サブリーダーも兼ねる。
ヴェル。精霊使役によるサモナー。ヒーラー。結界による、モンスターとの戦闘率低下。
リネット。俺単体の強化回復。ついてくんなって言った。
シンシア。主近接戦闘。主近接防御。リネットの主防御も兼ねる。
ティー。主近接戦闘。主にジンのサポート。案内役も兼ねる。
ハンナ。その他雑用全て。非戦闘要員?
そして追加メンバー、ルイ。
全距離対応。短時間飛行可能。弱ヒーラー。
単体ユニットとして、かなり有用だな。
因みに服は、俺やジンと同じブレザーに変わっている。
普通に似合う。俺達のような魔改造はしてない。
今回は8人。ホントは7人のはずだったんだが、もういいや。説得無理だった。
馬は使ってない。山脈険しいマジ止めてほしい。
RPGの山って、スゲー楽そうに越えるけど、実質どうなってんのかねー。
―――
「この制服。動きやすいな、良いねリョーガ君」
ルイが回し蹴りで狗型モンスターを蹴っ飛ばしながら話し掛けて
くる。
「元々、ウチのブレザー動きやすくてな。更にある程度、戦闘服として使えるようにしてあるからな」
猿型モンスターを切り払いながら、俺が返す。
「確か、レジャーとかしやすいようにだっけかー?ウチの学校アウトドアだしなー」
ジンが鳥型モンスターを、狙撃銃で狙い撃ちながら補足する。
「って、なんだこの吉備団子で仲間になりそうなモンスター共は!」
ヴェルのお陰で、遭遇率は下がっているものの、山脈はそもそも道数が少ないからか、ちょくちょく遭遇する。
「ふぅ。弱いけど、やたらと数が多い。一々蹴散らすのが手間だな」
「ティー、今どのくらいまで来てるんだー?」
「半分くらい、かな。人数を絞ったお陰で、早く動けてる」
今回のパーティーは8人。
主戦闘員は4人。サポートが2人。非戦闘員が2人。
馬車に丁度入る人数だが、馬連れてこれねーし。
セリアは連れてこなかった。元々王族だしな。
全体回復は、かなり使えるんだが、立場あるし。
ヒールはヴェルもある程度出来るし、軽傷ぐらいならルイも治せる。
「ここから更に険しくなるから、気をつけた方が良い。ある程度越えたら、傾斜はともかく、道が楽になるから、そこまで行けば休憩出来ると思う」
「よし。んじゃ、そこまで頑張るか」
フェイクライナの南に有る山脈。ラッゾ山脈というらしいが、覚える必要はねーな。
ラッゾ山脈には、動物系のモンスターが多い。
ハイ・ウルフ。カポエラ・モンキー。プラズマ・バード。
名前、なんか適当だな。
つーか、鳥系は邪魔だ。
遭遇率は一番低いんだが、飛んでるから攻撃あたんねぇ。
ルイは飛ぶことも出来るが、消費が大きいから控えている。
まぁ、ジンが居るしな。対空射撃。
「む?少し霧が出てきたな」
「この辺は霧がかかりやすいと、情報が」
「ジン、空を警戒頼む。リネットは俺の側に来てくれ」
「了解」
「?どうしたのリョーガ君」
リネットの手を掴む。
「えっ!?」
「「「!?」」」
「この辺は足場が悪い。ちゃんと掴まっててくれ」
「う、うん。ありがとリョーガ君♪」
何か視線を感じるが、気のせい………じゃない!
「そこだ!」
ナイフを創造、投擲。
刺さったのは、木?
「あれ?気のせいだったのか?」
「いいえ。気のせいでは有りませんよ、リョーガ様」
「この木、動いてる。リョーガ、これは外獣だ。投擲して正解だ」
「ガイジュウ?害のある獣か?」
「それは害獣だ。規格外とか、外れたとかの、外で、外獣だ」
「ん?それは、モンスターとは違うのか?光になって消えたりしないし」
「ああ。魔物、モンスターは光になって消える。外獣は死んでも形が残る。なんでも、成り立ちがまるで異なるらしい」
「魔物は、【動物や神話をベース】に創られたもの。外獣は【動植物から進化】したもの。とお考え頂ければ」
「ほーう」
「外獣から捕れる素材は、武具に活用出来る場合が多く、リョーガ様たちの制服も、外獣の素材を使っております」
なんか、端材が出そうな感じだな。
「この木の外獣、なんか使える?」
「いえ、この外獣は、使い道が無いでしょう」
「んじゃー、ぶっ飛ばしていいな。お前ら、離れるなよ」
「「「「!?」」」」
「既に囲まれてる。木の外獣にな」
「リョーガ。オレに任せろ。後、エネルギー供給してくれ」
「あいよ。んで、何か勝算が?」
「勿論。オレの新銃火器を見せてやる!」
む?霧が少しずつ濃くなってきてるな。
さて、ジンに源子を飛ばしつつ、見せてもらおうか。
一応、ライターに指かけてるし、ルイも炎系の魔法を用意してるし。
ジンの右腕に、源子が集中していく。
あの形状、長さは腕と同じくらい。
成る程、そういうことか。
「行くぜ!<火炎放射器>!」
木の外獣、めんどいな、仮称お化けツリーで良いや。
枝が腕に、幹が胴体に、根が脚に。
こちらに近付いて来るお化けツリー達を、
「おらぁぁぁぁぁ!!!」
炎が、蹂躙していく。
って、銃じゃなくて、火器なら良いのかよ!
しかし便利だなおい。
両腕にスローアーをセット。
持ち手のスイッチを押せば、放射する炎が大気を焦がす。
「渦炎放射!及び、爆炎砲弾!」
ほう!既に技も有るのか!
渦を巻く炎、普通に放射するより威力が上がってるな。
消費は上がるけど、威力も上がるから最終的な効率は良さそうだ。
砲弾は、噴射口手前で加圧して、炎弾を放つ。
スローアーは中距離殲滅に向いている。放射器という形上、遠距離は苦手だ。でも、これなら遠距離に対応できるし、しかも炎が爆発して、攻撃範囲も広い。
じゃかじゃかお化けツリーを燃やしていく。
これなら俺達の出番は必要ないな。
ルイに目配せ。……頷きを返してくれる。
「てめぇで最後だー!」
ボアァァァァ!!!!!殲滅完了。
「お疲れー」
「ふん。良い慣らし運転が出来たぜー!」
「んで、他には何が出来そうだ?」
「取り合えず、思い付く銃火器類を試してるが、中々上手くはいかねーよ。水鉄砲は出来たけど」
「それはそれで使えそうだな」
ふうむ。火炎放射器か。相手にしたときはめんどそうだな。
どう対応するか。
「いや、オレの技の対応は良いから。先に進もうぜー」
「そうだな。皆、進もう」
しかし、この頃情報がどんどん追加されてくな。
大丈夫か?こんなに増やしちゃって。扱いきれるのか?
―――――
「確かに、道が良くなってるな。これは、自然のものか。なんにせよ、少し休んでおこう」
霧が更に濃くなっている。
やーな兆候だ。こういうパターンは、敵と遭遇するんだよな。
警戒は怠らないようにしねーとな。
あれから、ちょくちょくモンスターに加えて外獣も襲ってきた。
お化けツリーも、仮称リビングロールとかも。(生きている岩)
鉱物まで外獣化するのかよ。なんでもありか!
何でもありだった!
休憩中の様子。
ハンナがせっせと休憩のサポートを。
具体的には、椅子とかお茶とか。椅子?まぁ良いや、ハンナだし。
リネットとヴェルは俺の近くに。
俺に何かをしようとしているのだが、ハンナが全てやってるため、何もすることがなく、ちょっぴり悲しんでる。
なので撫でてみた。
2人とも喜んでいるみたいだから、良しとしよう。
ジンから来る視線なんて、気にしない。
ジンはティーとイチャついてる。
ルイは俺の方を見て、少し苦笑してる。
ん?シンシアが、あれ?少し離れてる。
そういや、神属性の話が出たときから少し様子がおかしいような。
何か、有るのか?
いや詮索は止めておこう。隠したいことかもしれないしな。
「しかし霧が濃いな。晴れる様子もないし」
「リョーガ、何か技はないかー?霧払いとか」
「使えると思うが、無駄だな。使っても、束の間晴れるだけで、効果は無いと思う。元々、煙幕対策の技だから。ルイはどうだ?」
「カミカゼのことかい?それなら、リョーガ君と同じだよ。一時的に効果はあっても、払いきれないね」
「霧が更に濃くなった場合は、間隔を狭めるぞ。はぐれたりしたら、ヤバイからな」
皆、頷く。一人を除いて。
「おいシンシア、聞いてるのか?おーい」
「……………」
「シントウ流奥技<デコピン>!」
「あいたぁ!何をする!」
「考え込んでるお前が悪い。ったく、何悩んでんのかは知らねーし、聞かないけど、今は集中してくれ。霧が濃くなってる。モンスターや外獣もいるし、危険度は高いんだからな」
「むっ。………そうだな、悪い。(パシッ!)よし、大丈夫だ」
「さて、これ以上霧が濃くならないうちに、先に進もう。休憩終了だ」
―――――
(なぁ、リョーガ)
(なんだジン。きちんと警戒してくれ。アイコンタクトしてないで)
(それはわかってんだけどよー。気になることがあってな)
(なんだ?手短かにな)
(リョーガ、前に不死について相当調べてただろ?厨二的なことはよくあったけど、不死についての調べ方は異様だったぜ)
(…………よく見てんなぁ。まぁな。不死については、思うところがあってよ。今回の件とは関係ないから、気にしないでくれ)
(そうかー。リョーガがそう言うんなら、良いけどよー)
(ああ、ありがとなジン………!?)
「<幾重咲き>!」
「<ガンズ・カーニバル>!」
幾重咲きによる、二十重の刃の壁。
ガンズ・カーニバルによる、64の銃の壁。
物理的な壁を、衝撃波が突き破る。
「<空転>!」
ぐっ、おおおおおおおお!
なんて密度だ。逸らすだけで、精一杯。
「はぁ、はぁ、はぁ。この技、受けたことがある。これは」
「ソウ。俺ノ狂獣砲豪ダ。覚エテイタヨウダナ」
「まぁな。お前のことは覚えているさ。覚えているに決まってんだろ。紅毛の魔人、アズィ!」
―――
ジンとのアイコンタクト、そして濃くなった霧で発見が遅れた。
クレイジーヴォイスが霧を飛ばしながら来たから、物凄いスピードでも、防御が間に合った。
間に合ったけど、防ぎきれなかった。
急ぎで防御力も高くなかったとはいえ、前より威力が上がってやがる。
しかも、空転で逸らすとき、方向を決める余裕も無かった。
密度が桁違いだ。前とは比べものにならないくらい強くなってると見るべきだな。
(リョーガ、こいつは?知り合いだよな)
(砦が襲われた時(注:9話参照)に居た魔人、アズメィアだ。こいつ自身はあまり悪意を感じない、戦闘狂タイプだ)
(あの時か。何故今現れたんだ)
(探るさ)
「何故ここに居る、アズィ。戦いに来たのは何となく分かるが、何故このタイミングだ」
「上カラノ指令ガアッタ。リョーガト遭遇シタノハ偶然ダ」
偶然、ねぇ。
「指令ってのは、山頂に居るリバティの少女を連れ去ることか?」
「ソウダ。ソシテ、リョーガ達ガ邪魔ヲスルコトモ分カッテイル」
「お前は足止めで、他の奴が向かってるのか!」
(ジン、先に行け)
(大丈夫か?)
(一本道だから、はぐれることはねーよ)
(そういう意味じゃねーんだが、まぁ良いか。それより、通してくれるかどうか)
「皆、先に行け。アズィは俺が相手をする」
「通スト思ッテイルノカ?」
「ああ。お前なら通す。俺とガチで戦いたいだろ?その為には、仲間達を通した方が良い。それに、俺を足止め出来るってことは、そっちのメリットだ。俺が言うのもなんだが、一番厄介なのは俺だしな」
「フム。………ソレモソウダナ」
「よし、皆行け!」
(危険は?)
(無い。後ろから奇襲とかは、この戦闘狂なら、考えにくい)
ルイ、ハンナ、ティー、ジン、ヴェル、シンシアが警戒しながらも先に行く。
「で、何故残ったバカ姫」
「バカって何!?リョーガ君!」
「あいつ相手に、守る余裕は無い。皆と先に行って欲しかったんだが」
「リョーガ君は、私を守ってくれないの?」
「!……守るに決まってるがな」
「それに、私の魔法はリョーガ君の強化だけ。一緒に行っても、完全な足手纏いになる」
「全く。しょうがねぇな。リネット、お前は俺が守る。だからお前は、俺の背中を見ててくれ」
「うん♪」
―――
「ラブコメハモウイイノカ?」
「ああ。アズィ、リネットが出来るのは俺の強化だけだ。サシに手を出せる力は無いし、何より居た方が強い俺と戦えるぜ」
「フッ。サァ、戦ロウカ」
「勿論だ!」