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真実の中の虚構世界《フィクショニア》  作者: AKIRA SONJO
第2章【首都奪還プロジェクト、女の子が最優先です】
40/54

36話【情報は、きちんと裏付け捜査しましょう。鵜呑みにするのは言語道断です】

春の2月、26の日。


情報屋からの、情報を閲覧。

この辺にいる、新キャラ枠、5名。

内訳、男1人、女4人。

見た目内訳、女5人。


…………………なめとんのかあの野郎。

なんだこれは、最高じゃないか!間違えた。

男ほぼ居ないじゃん!

なんなんだもう。俺は、女の子は好きだ。でもさ、女の子だけじゃダメなのさ。

つかいすt、おっといけにe、おっとやられても心が痛まない男キャラが欲しいんだよ。

それに、人気のある作品には、魅力ある男キャラが多い。

主人公の周りが女ばっかでも、男キャラも数えたら結構居るよね?みたいな方が結局良いことを俺は知っている。

どうすっかなー。まずはこの情報を、ゴゥアフトのメンバーに精査してもらおう。

そして今は、修行しよう。俺じゃなく、皆を。


―――――


「それで、近衛隊を集めたというわけか」

「ああ。俺やジン、ルイが一騎当千で相手の首級と対峙するにしても、1人1人がある程度以上の力量レベルがないと、そもそも戦いにならない」

「だが、一気には出来んぞ?都合もあるし」

「4つに隊を分けて、修行訓練、復興作業、近衛隊任務、休息、だ。でも俺の訓練は参加自由だけどな。強制は絶対しない」

「それなら心配は要らない。皆、向上心が強い。この頃は特にその傾向が強くなっている」

「元々そんなメンバーを選んだんだろ?」

「確かにな」


この国、或いは俺の周りに居る人員の中で、俺、ジン、ルイは相手の幹部や首級と相対出来るレベルを持つ。

まぁ、ラターニャのレベルにはまるで達してはいないけどさ。

だけど、俺たちの中でトップクラスは俺達だからな。

ヴェルは精霊使役による、文字通り一騎当千。

ここに居るシンシアも、飛び抜けた力を持っている。

最近は、俺の剣術を少しずつ盗んでいるようで、正道過ぎる剣術に変化が生まれてきている。

邪道、と言うほどでもなく。やはり正道は正道だが、堅苦しさは無くなってきた。


だが、その次に強い奴も、少しは居る。

でも、少ししか居ない。そして、その下となると一気に落ちる。

その上、平均レベルがまだ低いんだ。

これでは、歩兵戦を展開できない。

まずは、そこそこ仲が良い近衛隊の女の子達から鍛える。

師匠から受けた訓練メニューは、うんダメだ。ちゃんと考えよう。

ついでに、俺も技術を皆から盗む。

魔法系統の技術を、もっと身に付けたいからな。


―――――


結論から言おう。マジきつい。

女の子って、あんなアグレッシブだったか?

向上心が有るのは大歓迎だ。

でもさー、激しくない?やたらと抱き着いてくるし。

技や魔法を見せてくれるのは有り難いんだが、何故魔法が暴発して俺の方に飛んでくるかな。

そりゃー怪我しないよう、きっちり受け止めるけどさ。

そしたらまたガッツリくっついてるし。

シンシアからは蹴られるし。

あー、もう。全然進まねー!


―――


「シンシアさんよ、どうしてこんな状況に」

「私に聞くな。お前が悪い」


少しぐらい、ノッてくれよ。


「まぁいい。ここに居る全員の力量はある程度把握出来たし。適性も多少分かった」

「何?この短時間。しかも、まともにやっていたのは小数だと言うのに。もう把握したのか!」

「それわかってんなら止めてくれよ。……把握したのは本当だ。力量把握は、必須技術だぞ?」

「経験則に近いだろうそれは」

「俺の場合はなぁ。習得しないと死ぬ状況だったしな。これからも戦いは続くから、シンシアも徐々に習得していくだろ」

「私も、実践経験はあまり無い。格下のモンスターばかりだったからな」

「そのわりには、かなり強いだろ。この国の中なら、間違いなくトップクラス。それもかけ離れた」

「まぁ。でもリョーガの方が圧倒的に強いだろう。私の力など、些末なものだ」


少し、誤魔化したな。もしかしたら、何か理由があるのかもな。

詮索する気はあまり無いが、


「自分の力を卑下するな。自信過剰は慢心と油断を生むが、過小評価は必要以上の恐怖を生む。自分の力は、正確に把握しておくものだぜ。どんなに嫌な理由があろうともな」

「!。そうだな。自己評価はきちんとしなければな」

「おお。騎士然とした雰囲気に戻ったな」

「なんだそれは。しかし、今の言葉は、師匠とやらから聞いたのか?リョーガぽくないんだが」

「うぐっ。流石にパクリはバレるか。確かに、今のは師匠の言葉だよ」

「ちょくちょく師匠という存在が出てくるが、どんな人なんだ?」

「あー。それは話せねぇんだ」

「話すとここに現れるから?」

「それもあるけど。師匠のことはあまり話したくないんだ。だって」

「?」

「トラウマパネェのよ。マジで」

「トラウマって。そんな大袈裟な」

「8才のガキに、木刀持たせて熊や猪の居る山で1週間生き抜け、だぞ」

「うわぁ」

「起きたら無人島に居て、自力で脱出しろだぞ。10才に」

「わー」

「12才じゃ、長刀を納刀状態で、ただひたすらに殴ってくんだぞ?」

「リョーガ。お前どんな少年時代を送ってきたんだ」

「まー、良い人なんだよ師匠」

「さっきのを聞いて、その評価は幾らなんでも信じられないな」


師匠はなー。不思議な人だったからなー。

しかし、中学生になってからは、会えなくなった。

元々は父さんの知り合いらしくて、自我も無い頃から面識があったらしいし。

今は、何してんのかね。

あの人ことだから、何処かで人助けしてるだろうけど。

そういやあの人、なんで、


「リョーガ。それで、訓練はどうするんだ?」

「おっと。そうだな。まずは個別にメニューを組む。魔法が得意なら、魔法に重点を。武術が得意なら、武術に重点を。といった具合にな」

「私の場合は、魔法剣がベースだからな。剣術をもっと磨きたい。リョーガ、手合わせを願うぞ」

「あまりシンシアに邪剣は教えたくないんだがな」

「最初に教えたのはお前だろう」

「やたらと吸収が早かったのが計算外だ。シンシアの正道剣術を、必要以上に崩したくないんだ」

「だが、習得したお陰で、対応出来る場面が飛躍的に増えたぞ?」

「だけどなぁ。シンシアの剣術は綺麗だからな。俺のを加えて、壊したくないんだ」

「きっ、綺麗って!?」

「んー?文字通りだが。型をなぞってるが、スムーズで滑らか。何よりも、シンシア自身が輝いてるから、剣術も美しく見える」

「あ、なっ、ちょ、(シューーー)」

「だけど、俺の剣は型そのものが無いからな。習得しちまうと、シンシアの美しさに淀みが生まれてしまいそうでな」

「(シューーー!!!)」

「出来れば、正道で、美しいまま上達して欲しいんだ。シンシアには」

「(ドバン!)」


ん?シンシアがいきなり爆発した。

俺何か変なこと言ったか?

うーん。しかしどうするか。シンシアに邪剣は確実に必要になる。

でも、教えたくない。壊したくない。

…………そうだ!手取り足取り、きっちり根本から教え込めば、壊れそうになる端から守っていけば、より美しくなるかもしれないな!


「よし、手合わせするぞシンシア!俺が、身体の芯まで剣術を教えてやる。もっと輝けるようにな!(ガシッ!)」

「はわわわわ!!?(ババババン!)」


―――


それを端から見ていた、或いは見せつけられていた近衛隊の少女騎士達は思った。


イチャイチャしやがって。と。


でも言葉には出さなかった。

言わない方が、此方にもチャンスがあるかもしれないと思ったからだ。


―――


「リョーガの奴。今頃武術でも教えてるかねー」

「ジン。リョーガは、人に教えることも出来るの?」

「ああ。あいつ、ゲーオタだけじゃなく、武術オタに近くてな。武術、武道について、理解がかなり深い。その理解を、他人にも教えることが出来る。たまに武道系の部活から、助っ人頼まれてたな。あのバカは、オレのついでだと思ってたようだけど」

「2人とも、とてもレベルが高いし。一体どんな修行すればあれだけ動けるのか」

「単なるゲーム勘だよオレは。リョーガは、本物の武道家だ。あいつは否定するだろうがな」


―――


へっくし。とはならない。

どこぞの親友バカが俺の設定開示してる気がしたが、気のせいかな。


えー、現在の状況はと言うと。

逃げてます。ええ、全速力のマジダッシュで。

何故か近衛隊の女の子達が血相変えて飛び掛かってくるし。

シンシアは真っ赤な顔でレイピアを振り回し、突き抜いてくる。

仕方ない。修行も兼ねて、いなすか。


「お前ら、よーく聞いとけ!どーせ聞いてないだろうがな。これから俺は全力でお前らをいなしていく。その動きを、記憶領域に焼き付けろ。剣術や体術に適性が無い娘も、覚えるだけ覚えておけ。俺の動きを覚えて、俺を捉えろ。そして、自分自身の動きにフィードバックしろ。んじゃ、行くぜ!」


右手に長刀、左手に短刀。勿論刃は落としてある。

その分、刀じゃ有り得ないくらいの厚さで造ってあるから、耐久力はかなり高くしてある。

そして瞬加を制限。今回は瞬加を使わない。

速度ではなく、技術のみで、いなしきる。

つーか、瞬加使ったら俺の動きを覚えるも何もねーし。

変わりに、風を起動。

俺の属性は炎と風。炎は発火は出来ず操作のみ。しかも反動つき。

風の場合は、刀や剣によって強引に生み出したり、空転等で掴み、捻り、擬似的に操作する。

シンシアの風魔法は、見る限り魔法、源子を使って風を、気流を作り出し、或いは操作する。

俺のは魔法とは呼べるかどうか。

でも、始まりや過程は異なっても、結果・現象は近似する。

一刃乃風シリーズも、基本的に技術力で発動する。

源子を使ってる感もあるが、やはりあくまで技術。

俺はそれを魔法とは呼称しない。

呼称する必要はない。

俺自身の流派。俺という存在そのものを表す流派。

シントウ流<操体気流(ソウタイキリュウ)>。

変則二刀流と、気流操作で相手をしてやる。


―――


この中で最も速く、尚且つやたらと攻撃力を発揮してくるシンシアと対峙する。

顔も赤く、恥ずかしがっているのに、動きは正確で、むしろ普段より速くねーか?

切り刻むと言うセリフとは裏腹に、突き技を主体とするシンシアの剣撃。

風を全身に纏わせ加速。刀身に纏わせパワーアップ。

からの牙連突。牙の数は六。

前に俺に対して使ったときより、数は少ないが速度と、

キレ・技力がかなり上がっている。

牙連突はシントウ流の、【牙】のシリーズ。

その中でも、特に俺が気に入ってる技だ。

自分の技が、仲間の武器になるってのは、結構嬉しいんだな。

俺に向けられている点を除けば、だが。

おっと、牙が迫ってくる。

牙には牙で、対抗する。

こちらの牙もまた六。しかし、速度はあまりない。

牙連突は、突撃技。助走が必要になる。

シンシアは適切な助走距離から、風で加速し更に威力を高めている。

対しては俺はその場を動かない。

ならどうやって初速を稼ぐのか。

んなもん簡単だ。上体のバネと筋力、そして気流かぜで稼ぐ。

そして肝心なのが技力。

向かってくる牙を見極め、こちらの牙を、軌道にそえる。

それだけで、シンシアの繰り出す牙は逸れて、俺には当たらない。


「!?」

「おいおい、牙連突は俺の技だぞ?弱点や弱所は心得ている」


実際にはシンシアのアレンジが入っているから、俺と全く同じではない。同じではなくとも、基本は変わらない。


「あと防がれたぐらいで思考を手放すな」


牙連突を使ったのは、右手に持つ長刀。

左手の短刀を、至近距離に居るシンシアに向けて、突き出す。

刃は落としても、先端、いや尖端は尖っている。

怪我なんてさせるわけもない。

短刀に気流を纏わせる。それを、空転を応用し回転。

剣先を当てるではなく、風の圧力で一気に吹っ飛ばす!


―――


(くっ、やられた!)


私、シンシアは結構な勢いで飛ばされながらも、風の魔法を発動。

風の膜を幾重か張り、通過しながら速度を落とす。

速度が落ちれば、重力に従って地に向かう。

次は風の圧力を地面に、抉らない程度に叩き付ける。

落下速度を相殺、怪我をしないように着地。


シンシアの頭は茹だっていた。

最初はもう、感情のままに攻撃を加えていた。

感情だけでは、動きのキレや精密さが無くなるはずだが、何故か何時もより巧く、強く動けていた。

しかし、リョーガが逃げるのを止め、向かってきたときに、少し熱が引いた。

だが、止まらなかった。止める気もなかった。

褒められていたとは思うのだが、ああまで言われると照れる。

照れるというか、恥ずかしさが全開だ。

とにかく、紛らわすためにリョーガに当たっていた。

何度も使っていくうちに、リョーガの牙連突という技の特性は分かってきた。

前よりも、確実に当てられる自信があった。

避けようとしても、追撃するつもりだった。

でもリョーガは避けようとしない。

寧ろ、長刀と短刀を手に、迎撃態勢。

なら、全力で突きに行く。

リョーガも、突き返してくる。

何時もの速度がない。リョーガがよく使う、シュンカという走法。

あれを使っていない。

速度が低いなら、押しきれる。

放つ牙は六。現状の私が、最高且つ最巧の力を出せる数。

狙いは胴体。

何やら言っていたが、耳には入ってこない。

とにかく、押しきる。


そして結果は、効かなかった。

牙を、逸らされた。

速度も遅く、威力も確実に私より弱い。

でも、圧倒的に巧い。


フリーズした頭に、漸く声が届く。

それはそうだ。元々はリョーガの技。

見破れるに決まっている。

でも、フリーズから解けるのが遅かった。

牙連突による突撃は、逸らされただけで、続いていた。

至近に迫ったリョーガは、短刀を向けてくる!

まずい、刺される。避けられない。魔法も間に合わない。

覚悟を決めたが、必要なかった。

リョーガが、こちらを傷付けることなど、考えにくい。(その時に気付かなかったが)

風が、渦巻いている。捻りながら突き出す短刀には、風が纏わりついている。

胴体の中心、胸骨に先端、いや風が直撃する。

止まらない身体。しかし、風が跳ねるように、私を跳ね飛ばした。


最初に思ったのは、またパクったなあの男、だ。

風の発条は、私も好んで使う魔法。

技名は知らないが、確実にあれは発条だ。(シントウ流<発条突き(ハネツキ)>)

私の技や魔法を、どんどんと自分のものにするなんて。

私も盗んでいるから、おあいこな気もするが。

簡単に使われると、頭に来るな。

しかし、リョーガは風を、斬撃でしか使えなかったはず。

何時の間に使えるようになった?

あのレベルではもう、


(疑似なんてものじゃない。あれは完全に、魔法だ!)


魔法のプロセスは、意識することから始まる。

世界の全ては、源子によって構成されていると言う。

源子には性質や種類がある。

人間の身体を構成する、高密度な源子体は、世界に現象を起こす、魔法の元となる、源子との相性が良い。(正しくは、源子以外にも、【源素】が存在する。物体を構築するのは、殆どが源素であるが、源子と混同される)

人間には、魔法を使う元の源子を保有し、魔法の種類を決める因子を持っている。

まずは、身体の内側に、精神の中心に、意識を向ける。

体内の、精神の源子を強く意識する。(肉体からか、精神からかは、意見が別れている)

それを、肉体・精神に刻み込まれた因子に通す。(肉体、精神のどちらか以下略)

後は、発動するだけ。

しかし、何だろうか。私達と、ビジター、異世界から来たと言うリョーガ達の魔法プロセスには、大きな隔たりがある気がする。

単なる勘でしか無い。でも、違うという確信がある。

この辺は、エティさんの領域になる。

今度、聞いてみよう。


考察を進めている間にも、リョーガには攻撃が加わっている。

剣や槍といった攻撃を、足さばき(ステップ)で避け、両手の刀でいなしている。……?

何故あんな回りくどいことを?

あれなら、私にも習得出来る気がしてくる。

あまり速くないのに、寧ろ遅いのに、まるで攻撃が通用しない。

右手の長刀で槍を弾き、左手の短刀から風を打ち出し、少女騎士を弾き飛ばす。

ダメージは、やはり無い。でも、体力を持ってかれる。

私も肺をうたれて、息を整えるのに時間がかかっている。

右手の短刀(・ ・)で剣を受け止め、左手の長刀・ ・で、刀身を相手の身体に密着させてかち上げる。

って、何時の間に持ち替えた!?

刀を伸縮させた訳じゃない、はず。

刀を右手左手、時には持たず、素手で跳ね返す。

奇術師顔負けのジャグリング。

あっ、短刀を投げた!投剣術を持っているのは知ってたけど、あんなに鋭いのか。

短刀を投げた隙に、刀を持っていない左手側から突撃魔法。

短刀が、巻き戻すように戻ってくる。

あれは、柄紐!刀だけじゃなく、紐を単体で創造出来るのか。

そういえば、私を縛った時のロープは………、止めよう。

やろうと思えば、刀を新たに造ったり、幾重咲きという技で戻すことも可能なはず。

あれは、訓練も兼ねてるのか。

さっきから、紐に足を取られたり、武器に絡まったりしている。

あの強度、紐というよりワイヤーだな。

紐や糸を使った武術、があるのかは知らないがそんなものまで習得しているのか、シントウ流は。


あっ、爆発が起きた。あれは副隊長レニーの爆発魔法か。

私の場合、風ごと吹き飛ばされるから、相性が悪い。

リョーガは咄嗟に、空転と呼ぶ技で凌いでいた。

あの技、強すぎないか?銃弾を跳ね返したり、質量体をいなすのはともかく、爆風をいなしきるなんて。

風を操つれると言っても、爆風の攻撃面積は広い。

あれではもう、手に触れた部分だけじゃない。

名の通り、空が転ばされているようだ。

しかし、よく爆発に反応出来たな。

レニーの爆発魔法は、空中の一点に、源子を集中させ、爆弾とするらしい。

特筆すべきは、威力よりも速度。

小規模な爆発でも、速い上、連射も効く。

幾つか弱点もあるが、初見で対応出来るものか?

観察する。……………………!

体表に、気流が巡っている?

違う、体表で、気流を生み出し操っているんだ。

レニーの爆発は速くても、予兆は生じる。

それを、気流で感じ取ってるのか。

リョーガの感覚器官は、やたらと優れている。

五感に限らず、第六感も。なんなんだあいつ。なんでもありか。

しかし成る程、参考になる。私の風は、遠距離には使いづらい。

でも、纏わせたりすることにかけては、かなりの自由度がある。

リョーガの風魔法。最初は私のパクりだが、今は参考になる。

さぁ、息も整った。もう一度突撃して、学びとってこよう。


―――


その後、凡そ20分。

リョーガは、いなしきった。そして、何かを教えられたという実感があった。

少女騎士達は、ぐったりして座り込んでいる。

体力、源子切れだろう。

最後まで頑張っていたシンシアも、リョーガにもたれ掛かっている。

リョーガもバテバテだが、修行になりまくったので、気持ちは晴れている。

シンシアが途中から、見るからに動きが変わってきた。

この模擬戦闘で、リョーガは特にシンシアに対して動きを教授していた。

リョーガは、ある技を行使していた。

シントウ流<流舞(ナガレマイ)>。

準奥技クラスの、四大舞闘の1つ。

名の通り、流れるように動くことで、無駄を無くし、尚且つ相手の流れを操り優位に立ち、戦場の流れを掌握する。

流れ、という言葉の意味を体現する舞。

四大舞闘の中で、最も地味ながら、最も強いとも言える。

4つの舞の中で、最も無傷でいられ、最も勝利を掴むことが出来る。

更に、感覚系を総動員し、あらゆる全てに気を配っていた。

(元々、流舞ではデフォで感覚が上がる為、同時使用ではない)

気流の通る場所以外にも、知覚範囲は広がっている。

気を感じとる的なイメージでも構わない。

リョーガは技術立てて、探査領域サーチと名付けているもの。

元の世界では、勿論ただの厨二。

だが、この世界では効果を表し、更に着実にレベルアップしていた。


彼を捉えることが出来るほど、高性能には到達していなかったが。


―――


レゼルはこの修行を、遠くから視ていた。

情報屋として、情報を収集していた。

彼の魔法は擬態。視線すら、擬態させることも可能。

少し力を出せば、現状のリョーガを欺くことさえ、造作もない。


(ふぅむ。平均レベルの底上げか。新キャラ枠も与えた。どう戦局は進んでいくかな)


手持ちの情報を整理する。


(しかし、急いだ方が良かったんだがな。新キャラ枠の5人に危険が迫っている)


整理する。


(恐らく、彼の情報屋を兼ねる、この地方のゴゥアフトは漸くその情報を手に入れることが出た頃か)


そしてまた、収集する。


(既に四人。情報が途切れた。あと1人。俺が君に引き合わせたかった彼女)


彼の仕事を果たすために。


(シグナル・コードに記されし、悲しき少女)


彼の望みとは、異なるとしても。


(リョーガ、お前なら助けるよな。お前の性格なら)


彼は仕事に、手を抜かない。

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