4話【砦is……女の子!】
ゴブリン以降、またオーク×4の小隊に出くわした。
源子操作の練習台代わりにぶっ飛ばした。
やっぱ魔法の使い方は全くわかんねーなー。
姫さんに聞いても、具体的に説明出来ないって言うし。
砦に、教えるの上手い人が居るらしいから、その人に教わると良いって。早く砦につかないかねぇ。
「リネット様、リョーガ様、もうすぐ砦に到着致します。御準備をお願い申し上げます」
「おっ、ようやくか」
馬車から外を見る。
森を抜けるのか。ん?あれは………城壁か?
つーことは、あれが砦か。
「向こうに見える城壁が砦、正式名称【ハルクァース城】でございます。砦と言うのは、1種の符丁です」
符丁、つーかあれお城なのか。
「首都が陥落した場合、避難基地として目された場所であり、散り散りになったフェイクライナ民の集合場所でもあります」
ふーん、この侍女さんも説明好きかな。
まぁ、ありがたいから良いけどね。
この侍女さんも綺麗だし。ちょっと愛想ないけど。
「城壁が開きます。馬車でこのまま中の城まで行きますので。内部は城下町と、城を併せた造りになっております」
周りをぐるりと囲って、モンスター達から守るのか。
って中に入っても先に城壁があるな。
あれが城本体か。
「ん?なんかやけに女性が多いような」
「元々、モンスターとの戦闘で男手は出払っておりますし、モンスター達に連れ去られた者も多いのです。ここに居る男性は、戦闘系の魔法、能力の無い者。年端もいかない幼子。老人。他には、何らかの理由がある者位でしょう」
「おいおい、警備や防備は平気なのか?」
「女性の衛士や騎士、魔法士も居ります。ただ、男性に劣るものが多いのですが。男性は前線基地である、通称関所に集まっているでしょう」
ん?てことは、ここは女の子ばっか。
つまり、
(ハーレムじゃね!!!!?)
とまぁアホな考えは置いといて。
「さて、お降り下さい。リネット様、リョーガ様。中に第一王女セリア⚫コル⚫フェイクライナ様が居られるそうです」
「!姉上はもう到着していたのですね!さぁ急ぎましょう皆さん!リョーガさん!」
姉上ね、妹のリネット姫さんがこんなに美少女なんだから、姉のセリアさん?もスゲー美少女だろうか、だといいなぁ。
城の中に入ると、騎士っぽい女性や、侍女っぽい女の子が姫さんに、よくぞ御無事で!みたいな反応してた。
ついでになんだこの男は、ん?【ビジター】か?みたいな反応もされた。なんか突き刺さる視線もあった。
ちょっと悲しいッス俺。姫様助けたの俺デスヨ?
2階に上がる。イッツ王座!じゃねーな。
執務室?をでっかくした感じだ。高級感はあるが。
「リネット!無事で良かったわ!供とはぐれたと聞いてとても心配していたのよ?」
「姉上こそ!無事で良かったです。私は、ここに居るリョーガさんに、危ういところを助けて貰いました。あの【ビジター】の方ですよ!とても強かったです」
「なんと!あの【ビジター】ですか!実在するとは。……リョーガさん、でしたね。妹を救って下さり、心より感謝致します」
「!いや、別に礼を言われることじゃないですよ。それにこの世界のことを教わったり、ここまで運んで貰いましたし」
ひゃー、スゲー美人だな。つかデケェ!女性の象徴的なあれが超デケェよ。F?G?くそ、全くわからん!!
姫さんもセリアさんも、ロングヘアのシルバー。そして姫さんは快活な美少女、セリアさんは優しげな美人と言ったところか。
でも瞳の色が違うんだな。姫さんは薄く澄んだスカイブルー、セリアさんはエメラルドグリーンと言ったところか。
おっと、見とれている場合じゃない。
「そんな!リョーガさんはここまで護衛してくれました。お礼をさせて下さい!」
「そうね、恩人にはきちんとお礼をしたいのですが」
「?姉上?」
「無礼を承知で、お願いします。この砦を、このフェイクライナを護って貰えないでしょうか?」
「!?」
「この国、この砦には戦力が足りません。正規兵は皆関所にて警戒。さらに労働力としてモンスター達に拐われている。戦える者が少ないのです。あまりお礼も出来ません。貴方に利は無いでしょう。それでも私は貴方に助力を求めます」
「いや、あの、……お礼とかは良いんですが。俺、見ず知らずですよ?こんな部外者にそんなこと頼んで良いんですか?」
こちらとしては、ここに居る理由も出来るし、美少女達が周りに居るから良いんだけどさ。
そりゃ、まだこの世界のことはわかんねぇ。
元の世界とかもちょっぴり気になる。
でもな。美少女な姫様(!)も居るし、この人も美人だ。
可愛いは正義。やっぱ真実だな。
だがこれは俺の話。
普通、そんなこと頼むか?
普通じゃない状況だろうけど。
それでも、怪しい?男に頼むこととは思えねぇ。
「リョーガさんと、呼んでよろしいですか?」
「勿論、構いませんよ」
クスッと、意外と可愛らしく笑う。失礼だなこの表現。
「ため口で構いませんよ。妹にもそう話してたそうですし」
「へっ?でも良いなら、ため口で話しますよ、楽ですし」
「それで、理由でしたね。簡単です、妹が、リネットが護衛として選んだ。それだけです」
「え?そんだけ?」
「はい、それだけです。あの子はすぐに人を信じる性格ではないのです。「ちょっ、姉上!?」その子が信じた人なら、私は信じられます。納得頂けましたか?」
「…………マジか」
いやいや、全くスゲー理由だな。
まさかの妹全面信頼とは、姫さん赤くなってるし。
「俺で、…良いんだな?」
「ええ、貴方だから、頼めるのです」
「………よし、わかっ
「待ってください!!!!!!」
えーーー」
なんだ、スゲー張りのある声。
てか、芯はあるけどめちゃ綺麗な声だな。声優か?
いかんいかん、混乱してる。
「どうかしました?シンシアさん」
「私は反対です!こんな素性も分からぬ男を。防備を任せられません!」
「近衛隊長さん!リョーガさんは強いですよ!オークやゴブリンを一撃で倒しましたし」
「その程度の低級モンスター、私でも一撃で倒せます。それ以前にこんな品性の無い男をっ………」
ちょっと、いや結構ムカッときた。
このシンシアとか言う女の子。俺と同い年くらいか?
そんで近衛隊長か。さぞかしお強いんでしょうねー。
可愛くなけりゃ、即蹴っ飛ばしたぞ。
「うーん、王女権限使っても良いのだけれど。そうね、では、決闘しなさい!」
「「えっ?」」
奇しくもかぶった。
「シンシア、貴女とリョーガさんが決闘し、リョーガさんが勝てば彼を迎え入れる。それで良いわね?」
「はい、分かりました。ご命令に従います」
「すみませんリョーガさん、こんなことになってしまいましたが」
えー、マジでー。騎士と戦うのー。
そりゃないわー。
んで、
「勿論構わねーよ。俺の力を見せてやる」
ぶっちゃけ、生意気な女の子を懲らしめたいだけである。
鼻っ柱叩き折ってやる。
姫さんが話しかけてくる。
「気を付けて下さいリョーガさん。近衛隊長は、剣術、体術に長け。魔法の練度もかなりのものです。この国の女性で、彼女に敵うものは、数少ないでしょう」
えー、きいてないよー。
いや、マジで!
いやぁー、めっさ睨んでくる。
(キ⚫リ⚫キ⚫ザ⚫ム)
口は動いてない!あんなこと言ってない!俺は聴こえない!
つーかマジこえーよ。やめよかな。
「リョーガさん、私の魔法は治癒系統でそこそこのものと自負しています。怪我させても、多少なら構いませんよ?」
「がっ、頑張って下さい、リョーガさん!」
セリアさんに姫さんが応援してくる。
(ダメだ、逃げらんねぇぇぇ!!!)
「では、決闘スペースに案内しますね。こんな場所でやるわけにもいきませんし」
ちくしょう。
もう、どうにでもなれやぁぁぁ!!!
――――――――――――
「えっ、ここ異世界?【フィクショニア】?マジで、つーか魔法もあんのかよ。スゲーなー。リョーガもこっちに飛ばされたんかねー、会えたら良いなー」