34話【カクテルか、ノンアルなら飲んだことあるな。魔法にするとどうなるんだ?】
場所は移りて、ここは北城の裏手。
きちんと結界内だけど、人気もなく、良い感じだ。
ここに居るのは、バトる俺とルイ。
ジンは辺り警戒。
ヴェルとセリアは回復担当。
リネットは観戦、或いは応援。
エティは研究したいからと勝手にいる。
ハンナも勿論、気配を薄くしつつ居る
準備運動は済ませたし、いざバトル!
ん?
(ジン)
(なんだバカヤロー、アイコンタクトしやがって)
(ジンっていう酒あったよな、まさかお前)
(ちげぇよ!つーかそのネタは結構まずいって!)
(そーだよなー、お前の名前って、結構厨二的意味があるからな)
(それはリョーガの方が大概だアホー!)
―――
「ルイ、優秀なヒーラーも居るし、俺は防御や回避は得意だ。全力で掛かってきてくれ。俺も全力で潰しに行く」
「ははは、そんな本気でも困るけどね」
「カクテルの名前が技名、魔法名だっつーのなら、強力そうなのがゴロゴロしてやがる。油断は出来ねーさ」
「確かに。でもボクが使える魔法、技はまだ少ないよ。……負ける気は無いけどね!」
ルイがダッと駆けてくる。
速さはそこそこ。あの制服、動きにくくないのか。
動きから見て、武術経験は無いな。
だけど、モンスターと戦った経験があるからか。
動かし方は多少心得てるな。
まずは素手で対応する。幾重咲きで剣を造り出すのは、技を見てからだ。
「見せてあげるよ、ボクの魔法を!<スクリュー・ドライバー>!」
橙黄色の波動を回流させながら突撃してくる。
なんともまぁ、想像通り。あの色は、そのままスクリュードライバーか。
名前ネタな部分もあるが、技としては中々だな。
右手から始まり、源子が回流して身体を覆っている。
攻防一体、更に、回流する源子の波動、攻撃性だな?
避けても、多少なりともダメージが来る仕組み。
ふん、なめるなよ?
こちらも突撃。
少し驚き、だが進んでくるドライバー。
どんどん近付く。激突直前、急にバック!
手のひらを、掌壁で覆う。
そして、突き込んでくる右手を掴む!
ギリギリいってるが、大丈夫だな。
それを、空転で逆回転。スクリューを止める。
空転はいなしたり、跳ね返すだけの技じゃない。
応用力が高くて、使い勝手の良い技なんだ。
「流石だね。噂通り、いや噂以上だよ。ボクのスクリュードライバーを力ずくで止めるなんて」
「どうする?俺の握力は結構強いぜ?簡単には外せねぇよ?」
「なら、強引にでも外させて貰うよ。<スレンジハンマー>!」
「!」
左腕を振りかぶって、俺の、今もホールドを続ける右腕に攻撃!
の前に後ろに飛びすさる。
ドォォォン。地面にクレーターが。
「スレンジハンマー。強力なハンマー攻撃か。まさか、ハンマーまで造り出せるとはな」
「いやいや。これは発動時だけしか形にならないよ。今は、ね。しかし、すぐに気付くとは」
「分かりやすいからな。名前で。俺もカクテルは好きだから、そこそこ知ってるぜ」
現在、作者がえらい勢いでカクテルのことを調べてるだろうな。
ぺディアで。
「君の幾重咲きという、剣を沢山造り出すのとは違って、瞬間的にしか効果がない。でも、中々強いよ?」
技名は知られてる、か。まっ、知られても困る技じゃない。
「そんな攻撃力があるんじゃな、俺も武器を使わせて貰おうか」
幾重咲きで、一振り造り出す。今回は、バスタードソードだ。
「良いね。剣を持つと、一層映える」
「そりゃどーも」
ドンッと、駆け出す。
ルイはスクリュードライバーと、スレンジハンマーで攻撃してくる。
俺は剣でいなしたり、素手で空転したり、主に防御で対応。
「攻撃しないのかい……!」
「ルイの技をもっと見たいからな!」
「だから斬れないと?なら刃を潰せば良いじゃないか!」
「そしたらハンマに対応出来ねーんだよ!」
俺は今回、ハンマを切り裂くことで、対処している。
これは、修行も兼ねてる。だからこそ、刃を潰してない。
だからってな。
「斬らずに斬ることぐらい、出来るっての!シントウ流<無血斬撃>!」
「ぐぅっ……!刃で斬られたのに、斬れてない。打撃技?」
「おっと、打撃じゃない。あくまで斬撃。斬らないテクニックだ」
「達人かい、君は」
「達人なんて呼ばれるほど、強くないさ。それは師匠クラスじゃないと」
「へぇ、師匠が居るのかい」
「ああ、厳密には違うけどな」
腹を押さえて、少しうずくまるルイ。
ん?なんだ、何かしてる気配。腹辺りに、源子の流れが、あれは!
「癒し!?ヒール出来るのか?」
「<ウィスキー・コーク>さ」
「ウィスキー?………別名、命の水、か。そうか、名前だけじゃなく、意味を現象に出来るのか。チートかお前は」
「君に言われたくはないね!<スノーボール>!」
「<氷柱/貫き>!って、雪まで使えるのか。レパートリーやたらと多いじゃねえか!」
「それだけ、カクテルが多いのさ!ボクが使えるのは、やっぱり少しだけなんだけどね」
「威力も、結構ある気がするんだが」
「まだまだ、望む威力には足りないよ」
「良いねぇ、そういう向上心。ふん、回復出来んなら、もう遠慮は要らねぇな。<一刃乃風>!」
「<ストーン・フェンス>!斬撃波か!良いね!正しくファンタジーだ」
「石の壁かよ、マジで多彩だな。シントウ流よりレパ多いんじゃね?」
「そうでも無いさ。君のシントウ流とやらは、成長性が高いのだろう?更には、応用性、汎用性が高い。ボクのカクテルは、あまり応用が効かないのさ」
言ってろ、その割りには汎用性あるじゃねぇか。
スノーボールを射ち、近付こうとしてくる。
それを一刃乃風で撃ち落とす。
右手を銃の形にして、こちらに向ける!?
右に瞬加!
「<シルバー・ブレッド>!」
「っと、あっぶねぇ!」
「初見で避けないでくれ、自信を無くしそうだ」
「シルバーブレッドは、俺も好きな名前だからな!」
銃で、カクテルなら、それぐらいしかねーだろ。
つーか、ジンがやたらと羨ましそうな目で見てたな。
あっ、ジンのバカに気を取られた隙に近付かれた!
「<ウォッカ・スティンガー>!」
「くっ!」
剣で受ける!って、剣が、焼けてるゥ!?
右腕に、槍の穂先のようなものがついている。
「火酒<ウォッカ>か。焼けるほどに辛いんだったな!」
「本当に理解が早いな!なら、<ダイキリ>!」
「!、<瞬加>!」
バック走、ヲイヲイ、俺の剣がぶった切られてる。
ダイキリ、大斬りってか?一瞬刀が見えた。
斬撃もありか。しかも、剣の腹を狙われ、スティンガーで傷ついていたとはいえ、俺の剣を強引に切るとは。
やるじゃねぇか。
「どうだい?流石に驚いたみたいだね」
「ああ、驚いたよ。だから、俺も見せてやる。ウォッカよりも、熱く、焼いてやる!」
「へぇ。だけど、確か君は、炎を操れるけど、発火出来ないと聴いたけどね」
「よく知ってるな!確かに、俺個人の力じゃ無理だ。俺個人ならな!(バッ!)」
「それは、ライター!?」
これこそ、エティさんに造って貰った、魔法道具、発火器具だ!
良いんだよ名前なんか。カッコいいの思い付かなかったんだよ。
形は、古風な感じ。でもオイルは入ってない。
でも、古風な方がカッコいいし。大きさは手のひらサイズ。
持ち運びも簡単。俺の改造制服には、隠しポケットが一杯あるからな。6体どころか、30体、BOXごと持ってけそうだ。
ライターの使用方法は、源子を籠めて、カチンッ!とするだけ。
「行くぜ、<業焔剣嵐>(一振りversion)」
「面白い、<ウォッカ・スティンガー>!」
俺の炎剣、ルイの焼ける手槍。
熱量は、互角。いや、俺が押している!
「<フローズン・ダイキリ>!」
「もう一振り!」
お互いに、左手に得物を造り出す。
炎剣と、ダイキリ、いや、凍える大斬りか!
「はっ!その程度の冷気、ラターニャに比べたら涼しいねぇ!」
「冷気専門の人と、比べないで欲しいな!」
ダンッ、と後ろに飛びすさるルイ。形勢不利と悟り、離れる。
逃がすか!
「<双刃乃風>!」
双剣からの風、規模は一刃とは比べるくもない。
「<カミカゼ>!」
しかし、ルイもまた風を生み出し、俺の風を払う。
カミカゼ、神風か。
幾つ属性魔法持ってやがんだ!
俺だって、未だ炎と風、しかも生み出せないってのに!
「そろそろ、ボクの体力も源子量も減ってきた。大技だ!<アースクエイク>!」
右手を地面に打ち付ける。って、あの技名はやべぇ。
俺の足下に地割れが出来だしてる。
瞬加で、上空に。
「更に、<ウォッカ・アイスバーグ>!」
地面の裂け目から、氷山が生まれてくる!
どこぞのスマッシュ技だ!いつの間にか妹居なくて↑必殺が使えなくなってんだよ!
あっ、そんな突っ込みしてる場合じゃなかった。
やべぇ、当たる!体力を一気に消費するが仕方ねぇ。
源子を全力放出で防御力を上げる。
身体を燃やしても良いが、あれは反動でヤバイ。
よし、これなら凍らないはず。……ウォッカ?
「あっちゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「焼ける氷山。回避出来ない上空に飛ばした状態で放てば、中々良いだろう?そして、雪山につきものなのが、クレバスさ」
「!?」
まずい、はまった!決め技だなこれ。
つーか、戦い慣れてんなてめぇ!
氷で何故焼けるのか。名前通りで完結しても良いが。
……………そうか、氷る為には、熱量を奪う必要がある。
氷る時に生じる、大量の熱量を利用してるな?
それによって、省エネ+焼力が上がる
あっ、ルイの奴ドヤってる。
ふん。
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「なっ、なに!?」
反動など知ったことか。燃やし尽くす。
「俺の心の熱量には、敵わないようだな!」
「強引に無効化とは。その分ダメージもありそうだが」
「斬軌乃帯、いや、<斬軌帯炎>!」
「<ストーン・フェンス>!………ぐぁぁぁ」
「俺の炎をなめるなよ!石壁程度で防げるか!」
「くっ、<ウィスキー・コーク>。くっ、強いね」
「どうする?未だ未だ行けるぜぇ?」
「こっちも、奥の手で相手しよう」
「ほう?」
ルイが、全力を籠めてるな。
それだけの技を放とうとしてるのか。
俺も、二十重の刃を造りだし、防御を固めとく。
「はぁぁぁぁぁ!<ホワイト・ウィング>」
くっ、名前だけで分かるじゃねぇか!
背中、肩甲骨辺りから白の翼が精製される。
形状としては、最も太い骨?が1対あり、
それを基点に、ファンタジー、と言うか女子ものに近いファンシーな感じ。
ルイめ、見た目の割りに少女趣味か。
んで、白き残光と共に上空に飛翔する。
「ふーん、カッコいいというより、やっぱファンシーだな。つーか、飛べるのか」
「飛べる理屈や理由は分からない。でも、良いだろう?この翼」
「ああ、似合ってるぜ。墜とすがな!閃き燃えろ、豪華絢爛の名のままに!」
「知ってるよ、その技は!」
2振りを両手に残し、18の刃を閃かせる。
白翼は、両腕を広げた長さの、1.5倍程。
ルイもまた、ヒュイヒュイ飛び回り、俺の炎刃を避け続ける。
ヲイヲイ、簡単に避けられると思うなよな。
「先回りされた!?くっ」
こちらには18の刃、そっちの動きの方が高機動でも、速さは負けてねぇし数が多い。
誘導するのなんて、簡単だよ。
「<ジン・スティンガー>!」
「ホワイトウイングの別名か!そんな使い方も出来るのかよ!」
ホワイトウイングには、ジンスティンガーという別名がある。
カクテルには、別名や発音違いが結構ある。
翼から、羽根?棘?が発射され、炎刃を弾く。
俺にも飛んでくる。効かねぇよ。
帯炎で全てのスティンガーを燃やし尽くす。
「ふふん。君は、跳躍は出来ても飛べないだろう?ボクの遠距離技は効果薄いみたいだけど、少しは体力削れるしね」
「はっ、そういう翼は、消費でかそうだがな。良いのかよ、源子の残りすくねーんだろ?」
「おっと、対戦相手の言葉を信じるのかい?」
「やっぱ嘘だったのか!」
「ボクの源子は結構多くてね。君ほどじゃないけど、まだまだ飛んでいられる」
「くっ」
多分、これはハッタリじゃねぇ。
それに、源子量で勝ってても、確かに体力限界がある。
俺の炎は、やたらと反動デカイしな。ガリガリ体力削ってく。
でもな。
「俺が跳躍しか出来ない?それがどうした。跳躍をなめるなよ!!!」
踏み出す。右足で踏み切り、炎をブースターが如く噴射!
おぅぅぅらっ!
「おっと、炎によるブーストか。でも、すぐに落ちる」
「はっ、シントウ流は甘くねぇ!」
斬りかかりは軽く避けられた。
でも、終わらない。
足元に刃を引き寄せ、蹴りつける!
「!?連続跳躍か!」
「更にブースターで加速出来るしな!<颯舞>発動だ!」
「それはマズイ!<ジン・スティンガー>!」
「らぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!」
跳躍でもな、擬似的にでも空中で再度跳躍すれば、
飛翔相手にも、対応出来る!
瞬加で蹴りつけ、狙い続ける。
「狙いは読めている。ボクをまた嵌める気だね?そうはさせない!」
「更に上空に?カクテル、名前、技………!!!」
確か、あったはずだ。この構図に合うカクテルが。
その名は、
「「<スカイ・ダイビング>!」」
白き翼をはためかせ、青き光を纏いながら突撃してくる。
ブルーキュラソーの青色か。
「長引くのをボクは好まない。この一撃に全源子を籠めて、終わらせる!」
「それがルイの、本当の決め技か。良いだろう、俺も、心拳で相手をしてやる!」
20の炎刃を、俺の身体の後ろに。
ルイのように、剣を翼に見立てる。
剣から、炎を迸らせ、擬似飛翔。
右手に、右拳に、感情と共に炎を籠める。
「行くぜ」
「行くよ」
待機状態にあったスカイ・ダイビングを本格発動。
俺もまた、刃翼の炎をフルバースト。現状出せる最大炎力。
「うおぉぉぉぉ!!!シントウ流<心拳×炎倒>!」
「はあぁぁぁぁ!!!終わりを示せ<X・Y・Z>!」
爆発的加速力を誇る炎刃と、熱く紅く燃える感情秘めた右拳。
青き光を纏い、白き翼を煌めかせ、無色の光を放つルイの右拳。
空・中・激・突。
衝撃波を生む、拳と拳の熱。
加速し、力を生み出す、互いの擬似翼。
すげぇな、ルイ。
スゲー拳だ。
だけどな、シントウ流は更に燃える!
「ぉぉぉぉぉおおおお!おらぁぁぁ!!!!!」
「くっ、ああ、ぁぁぁぁ」
俺の右拳は、ルイの右拳を弾き飛ばし、ルイを上空へと舞い戻らせる。
俺は加速を止めず、錐揉み状態でいるルイの高度まで飛ぶ。
キャッチ。
「どうだルイ。これが心/震到流。相手の心まで到りて震わせる、熱き拳を持つ流派だ」
「良いね。震えたよ。君なら、ボクの力を預けられる。そうだ、ボクの拳は、届いたかな?」
「ああ、俺の心も震えたぜ!」
「それは、良かったよ」
ルイはガックリ気絶。
これは、最後のXYZの消費・反動だな。
俺の心拳の攻撃は、殆ど相殺してたし。
XYZ、究極や終わりとまで称されたカクテル。
全力を使い尽くせる、超大技。良いね。
さて、俺も結構限界だ。
実は、俺も気が抜けて、炎が弱まってる。
って、やべ。剣の維持がとけちった。
おーちーるー。
「<風は彼等を受け止めし衣となる>」
「<皆、受け止めて!>」
シンシアが風のクッションを。
ヴェルが精霊達にキャッチを頼んだようだな。
ヒューーーーン、グエッ。
「大丈夫!?」
「おー、俺は平気だ。ハンナ!ルイを運んでやってくれ」
「畏まりました」
「後、話があるので俺のところへ来るよーに」
「畏まりました!」
何故喜んだそこで。俺少し怒った風味で言ったのに。
「それで、リョーガ。聞くまでもないだろうけど、ルイはー?」
「勿論、合格。つーか、仲間になって欲しいね。力も、性格的にもな」
「そりゃ良かった。そろそろ、男キャラが欲しかったんだよ。流石に少ないからなー」
「何言ってんだジン」
おっと、少しよろける。
「大丈夫ですか、リョーガさん」
「あー、平気平気、少し休めば、ぐぅ!ってジン何しやがる!」
「こいつ、見栄張ってるから。きちんと回復してやってくれー」
「もう、リョーガ君。見栄張っちゃダメ!」
「リョーガ、治す」
「ああもう、カッコつけさせろ!熱い戦いした後なんだから!」