3話【お姫様のちょい長い解説コーナー?】
「まずは私達の状況を簡単なことから説明します」
オークとの戦闘後、すぐに移動することに。
追っ手がまだ居るかもしれないとか。
んで、今は馬車の中だ。
けっこう広いね。それに快適だ。
しかし、どうも侍女も姫さんも戦闘能力が無いらしい。
何で重要人物が護衛つけてないんだ?
それもこれから説明してくれんのかな。
「この世界は【フィクショニア】と呼ばれており、5つの大陸を大海に囲まれています。そして幾つもの国があり、文明が存在します」
「大陸は中央に1つ、その4辺に大陸が存在します。私達が居る大陸は【アウレイド】、西に位置します、その西側に私達の国【フェイクライナ】があります」
「しかし、現在はモンスター達の侵攻が激しくなり、西に西に追い詰められています。私達は首都を放棄、バラバラに逃げ出しました。護衛隊とは、モンスターとの戦いのさいにはぐれてしまい、現在はリョーガさんに助けられ、今は砦に向かっています。ここまではよろしいですか?」
「ああ、何となくな。そんで、モンスター達は誰かに統制されてんのか?軍隊みたいに聞こえるんだが」
「では、モンスターについて説明を」
「モンスターは中央大陸から、主に進行してきます。私達、人間を主に襲い、生活圏を奪っています」
「モンスターは基本的に、私達人間よりも強く、生半可な力では対抗出来ません。それが軍を率いて襲ってきます。軍を構成するのは主に人型です。人型以外は、知性が低い種類が多いです。これらは辺りに生息しています」
「中央大陸には、モンスター達の王が居るとされ、そこからの命令に従いモンスター達は進行してきます。よろしいですか?」
「ああ、後、対抗手段とかは?」
「では、人間の武器について」
「基本的に、モンスターは人間より強い。ですが、修行、訓練により力をつけることも可能です。最も個体差が大きいのが人間と言われます」
「モンスターは、倒されると光になって消えます」
「素手、武器を使った攻撃。魔法を用いた攻撃。源子科学を用いた攻撃ですね。モンスターを圧倒する攻撃を加えれば、モンスターを倒すことが可能です」
「魔法があるのか!」
「はい、これも説明します」
「この世界は【源子】によって成り立っています。あらゆるものは【源子】によって構成され、生命体ならば、その【源子】を操作することで、多様な現象を引き起こすことが出来ます。これを魔法と呼びます」
「魔法は、主に3つから成り立ちます。
その1、行使者の保有源子力。魔力とも言いますね。
その2、行使者の源子操作力。テクニックです。
その3、行使者の源操因子。これは適性のことです」
「魔法は、源子力を用いて、炎や雷といった源操因子を、源子操作力に応じた強さで、発現させるといったところでしょう」
ゲンシ?原子か?科学なのか?
なんかニュアンスが違ったような。
「魔法は、人間やモンスター、様々な種族が使えますが、基本的に知性を必要とします」
「ってことは、人間以外に種族があんのか」
「はい、精霊族や巨人族など、数十種類ほど。ほとんど人型をとりますね」
ふーむ、やはり美少女だろうか、だといいなぁ。
「まっ、大体の情報は聞いたかな。後は異世界、俺みたいな【ビジター】?だったか。のことを聞きたいんだが」
「では、【ビジター】について」
「【ビジター】は、異世界からの来訪者のことです。私達【ネイティブ】に対し作られた言葉です。特徴として、【ネイティブ】である私達は、【ビジター】かどうか、感覚でわかります」
「私達の肉体は源成物質(固定源子)から成りますが、【ビジター】の人は、とても密度が高く、【ネイティブ】とは異なります。その違いで、【ビジター】かどうかわかります」
「【ビジター】は滅多に現れないそうですが、どの人も、強い魔法を扱えたそうです。身体が、源子に対し相性が良く、源操因子も多いそうです」
「てことは、俺も魔法を使える?」
「ええ、使えると思います。先程の戦いで、一部ですが使っていましたし」
「そうなの!?」
「厳密には魔法ではなく、大量の源子を込めることで、身体的パワーを上げることが出来ます。恐らく無意識にやっていたのでしょう」
ほう、てことは、さっきのバカ力はゲンシの力があったのか。道理で強いわけだ。
「といっても、【ビジター】の方々は、元々の基礎能力が高いので、あのパンチは殆ど腕力だと思いますよ?」
「へぇ、んじゃ魔法ってどう使うんだ?」
「まずは、体内に巡る源子を感じて下さい。それが出来れば、後は簡単ですよ」
流れね、コ○モでも燃やせってか。でも魔法か。
とりあえず精神集中。
「それを右腕に、右手に集中してください」
むむ、むむむむむ!!!!!
「のわっ!右手にオーラみたいのが出てる!」
「それが源子です。その状態で殴れば、大きいダメージを与えられます。でも、それはただ放つだけなので、魔法として使った方が強いんですよ」
「その辺は、おいおい学んでくか。さて、砦とやらはまだなのか?」
「後、一時間ほどですリョーガ様。日が暮れるまでにはつけると思います」
手綱、及び哨戒の侍女Aが答えてくれた。
だって、名前知んないし。
俺の任務は、モンスターが出たらだから、まだ暇かな。
出てほしくないけど。
でも格好いいとこ見せたいなー。
そういや、この姫さん。説明スラスラ出るな。
王族だからかな。きちんと教育受けてたのかな。
単に説明好きって線もあるけど。
「!?リョーガ様、お願いします!ゴブリンの5体小隊です!」
「よし、わかった!」
………ゴブリン?
(ああ、やっぱり小人なのね。武器でかいけど)
「あれはビッグブレードタイプ!気を付けて下さい、凄いパワーを持った種です!」
さてと、試してみるか。
馬車を出て俺は構える。
源子を操作して、右足に貯める。
「らぁ!」
よし、出来た!爆走。
これなら、あれが出来る。
厨二力MAXの俺が造りし、俺だけの武術!
名付けて
「シントウ流のリョーガ!参る!」
何も言わんでくれ、君もあんだろ?
しかも俺は武術やってたから、特にな。
まず近くにいたゴブリンAに、
駆けながら右パンチ!
ドオォォォン!!!
(おいおい、意識して源子を込めただけでこの威力か、スゲーな)
ゴブリンBの降り下ろしてきたブレードを、左裏拳!
叩き折れた!
右膝蹴り!
ゴブリンC、Dの両面攻撃。
ガチィ!ブレードを両手で1振りずつ掴む。
力を込めればあら不思議。
(握力で大剣を砕けんのかよ。良いのか?こんなんで)
そこにゴブリンEの背後奇襲!
「あたぁ!」
振り下ろしたブレードが頭に当たり、折れた。
「!?」
「いってぇな、よくもやってくれたなオラァァ!」
頭に源子を集中してたから平気だったのだが、
滅茶苦茶だな【ビジター】だからか?
Eに後ろ腹蹴り!
C、Dはダブルパンチで吹っ飛ばした。
「ふぅ、終わった」
だけど、なんか疲れたな。
「よし、退治したぜ。先に進もう」
「流石ですねリョーガさん、ですが気を付けて下さいね?源子を使えば使うほど、疲労は早くなりますから」
「やっぱそうか、減った源子はどうすりゃ回復する?」
「休憩したり、寝れば徐々に回復しますよ」
そっか、んじゃ馬車で休憩しますか。
早く、魔法を使えるようになりたいね。
砦についたら、誰かに教えて貰おうかな。
――――――――――――
森の中、馬車は走る。
日没迄に、砦に辿り着くだろう。
その馬車を、双眼鏡に似た道具で眺めている者が居ることを、
リョーガ達は気づけない。
そして、人影は、消える。
―――――――――
「あれ?ここどこだ。つーかリョーガはどこ行ったんだ?」