21話【ロープレに出てくる街ってさ、何で襲われないのかな?】
シャーーーー。
キュッキュッ。
「ふう」
あん?俺だよ。リョーガだよ。
なんで俺?
作者アホなのか?なんで俺やねん。
ここは女性キャラクターだろうよ。
なにぃ?倫理コード?描写力無いだけだろ。
シャワーを終えて、朝食に向かう。
―――――――
「おっ、ジンも起きたのか。って疲れた顔してるが」
「よー、リョーガ。それがなー」
「ベッドに潜り込まれた?」
「なんでわかるんだお前は。エスパーか」
「エスパー系能力は欲しいね。んで、ティーか?」
「ああ、朝っぱらから青少年にはきちぃぜー」
途中で合流し、他愛ない会話。
「そーか、お前もかー」
「まぁ、朝稽古の変わりになっけどよ。ヴェルとも仲深められたし」
「ふーんー」
眠そうだな。
ジンは寝起きはあまり良くないしな。
朝からはぷにんぐでぐったりか。
「あっ、お早うリョーガ君!」
「おーう、リネット」
「朝から稽古してたなら、呼んで欲しかったよ」
「ん?ハンナか。そいつはすまねぇな。朝早いから、起こしちまってちゃ悪いと思ってよ」
「そう。それなら、良いかな」
「遅れてすみません、皆さん」
「では、朝食をお持ちします」
最後にセリアが来て、ハンナが食事の準備。
メンバーは、俺、刃、リネット、セリア、シンシア、ヴェル。配膳としてハンナ+数名。
王族と食事って、冷静に考えたら可笑しいよな。
文化の違いではなく、単にセリアやリネットが優しいからだ。
シンシアは最初抵抗してた。私は単なる兵なので、と。
命令ではなく、お願いで戸々にいる。
そんで、重要人物となった俺達二人。加えて同じく重要人物であるヴェル。
食事1つ取っても違うよな。
俺は頂きます、御馳走様はきちんと手を合わせてやる。
これは、信心深いとかじゃなくて習慣だ。
叩き込まれたし。
箸(異世界にもあった)の使い方も叩き込まれたから、そこそこキレイに食べる。マナーとかはあんま出来ねぇけど。
刃の場合。
あいつ箸とかフォークとかの持ち方が少し変。
でもそんくらい。
リネットとセリアの場合。
めっちゃ綺麗に食べる。
どちらかと言うと、セリアの方がピシッとしてる。優雅に、とも言い換えられるだろう。
リネットは少し子供っぽい。
流石は王族、食事時のマナーは完璧だ。
シンシアの場合。
シンシアもマナーは完璧だ。
ただ箸を上手く使えないらしく、フォークとスプーンで食べている。女子だからきちんと仕込まれたのだろうか。
もしくは騎士だから?
豪快に行くかと思いきや、ちまちまと食べている。
ちょっと意外。
ヴェルの場合。
エルフには箸という文化が無いらしく、こちらもフォーク&スプーン。マナーもしっかりしてる。
ちっちゃい口に運んでいる。微笑ましいな。
少し緊張してるところもあるが、固さは徐々に取れてる。
席は俺の隣な。リネットが逆隣を取ってる。
人の食事をジロジロ見るのはマナーが悪いって?
そんな見かたはしないさ。
視野を上手く使えば良い。
人の視野は存外広いらしい。何かで読んだ。
ってか、マナー良いやつ多いなー。
庶民だしな。俺と刃は。
――――――
食事が終わる。
食べながら話すことはしない。
ジンとはアイコンタクトで話してたけど。
「それで、セリア。帰ってきたか?」
「いいえ。未だですね。想定としては、あと2日程かと」
「何の話なの?リョーガ君」
「関所の方に連絡を取る。あっちの意見を聞きたくてよ」
「それは、首都奪還の」
「ああ、ここにいるメンバーじゃ、戦力があまりにも足りねぇ。無闇やたらに仲間を増やす気はねぇけど。それでも増やさなきゃいけない」
「ワタシを仲間にしたのも、それが理由?」
「最初はな。今は全く違うけどな」
ニカッと、笑みを浮かべる。
ホッとした様子のヴェル。ちょっと赤くなる。
「むぅ」
「現状、戦力は砦に居る者。俺達、近衛隊、衛兵隊、リネット達は戦力と数えたくは無いんだがなー」
「私は大丈夫だよ、リョーガ君!」
「私も平気ですよ、リョーガさん」
「まぁ、リネットは俺の強化が主になるだろうから、俺が必ず護るし。セリアの回復は前線でも後衛でも、有用性が高いからな」
赤くなるリネットに対し、不満そうなヴェル。
「後、ゴゥアフトの皆も戦力になるなー」
「ああ、前衛より後衛の方が多いらしいが。一番は情報収集能力だ。そっちはジンが統括しといてくれ」
「オレがやんのー?まあ分かってるけどよー」
「リョーガさん。近衛はともかく、衛兵を動かすのは難しいです」
「砦を守らなければならないからな。近衛は姫様方に付いていくことが使命だ。姫様方が動けば、簡単に動かせる。私も居るしな」
「それも分かってる。だから衛兵は予備として想定する。まっ、やりたいことがあるんだけどな。これから時間あるし。そんなわけで、ヴェル、頼みがある」
「?」
―――――――
「この砦を、結界で包む。で良いの?」
「ああ、ここに来るときに言ってたことだ。改めて聞くが出来るか?」
「難しい。でも出来る」
場所を変えて、会議室。
メンバーは、俺とヴェルは確定。ジンとティー、シンシア、リネット、ハンナも居る。
「難点は?」
「先ずは源子量。ワタシの全力でも、足りない」
「それは、誰かの力を使えないか?俺の源子量はとてつもないらしくてな。俺のを利用出来るか?」
「………診ても良い?」
「ミる?まぁ、良いぜ」
とんっ、と頭を胸元に当ててくる。
ちっちゃいなー。じゃなくて、何をしてるのかな。
「えっ、えええ!?」
「むっ、それは良い、のか?」
リネットがなんか狼狽中。
シンシアは、何か悩んでる?
「ん?源子が、流れてる?」
「出来た」
近くにフヨフヨと、小さな精霊が浮かんでいる。
「このミニマム精霊、俺と同じ感じがする」
「リョーガの源子を使ったから」
「成る程、こんなことも出来るのか」
「普通は無理だな。他人の力を使うなど。リョーガが許可していたとしても、難しい。私には無理だ」
「ふーん、ヴェルは凄いんだな」
「それほどでもない。皆に力を貸して貰った」
「これ、俺側から能動的に送れないかな?」
それが出来たら、かなり良くね?
俺の源子量は多いから、仲間に分けられたら俺もサポートが出来るようになる。エネルギータンクだけど。
「源子操作の一環だから。出来るかも」
「ふむ、リードしてくれる?」
「うん」
まず、源子を意識する。
それを体外へ放出するイメージ。
その源子をヴェルに送るイメージ。
手を取り、送る。
「………んっ」
そういや、リネットは俺と源子的なパスを、キスという媒介を挟むことで繋げた。
ようは、ヴェルにエネルギーパスを繋げれば良いのかな。
源子の経路を意識。送る。
「………んっ。…んん」
送る。
「……んぁ」
おく。
「んあん!」
れるかぁ!
「大丈夫かヴェル!?」
「うっ、うん。大丈夫。送られた源子が強くて」
「それで、どうだ?」
「………<皆、お願い>」
騎士型、炎の使役精霊。
でも、
「でっか!」
「リョーガの源子量が多かったから」
俺の見たことのある奴より、5倍はあんぞ。
「これなら、出来そうだな。源子操作か、結構使えそうな技術。って、あれ?源子を流せるなら、飛ばせるのか?」
「?勿論。リョーガの斬撃波も、同じ原理」
「おらっ!」
源子をダマにして投げる。
……ジンに。
「なんてことしやがる!」
「チキショウ!俺としたことが、こんなことに気付かなかったなんて!」
「話をきけぇ!」
「いや、そんな容易く出来ることでは無いのだが」
「すごーい。適性ある人でも修得に時間かかるのに」
「ジン、大丈夫?」
源子って、色々出来んのな。
これからは、シントウ流だけでなく源子操作も修行しよう。
シントウ流にも効果があるはず。
「流すなよ!」
「ここじゃ迷惑だ。後でな」
「それもそうだな!」
――――
「他の難点は、持続性か?」
「うん」
「だよな。確か、ヴェルの家は常駐だったよな?あれは?」
「各所に、特殊なアイテムを設置したの」
「へぇ、名前は?」
「エメラルド、という石」
「エメラルド!?翠色の?」
「うん。拳大の大きさ。これを陣を描くように配置」
「エメラルドか、源子の感応性が良いものだな。確か、結界には特に有用だ」
「ん?宝石じゃないの?」
「エメラルドがか?装飾品としてよりも、実用的な石だぞ?」
(異世界文化かな?)
(多分なー。この調子だと、ルビーやサファイアもなんらかの効果あるかもな)
(さっき拳大とか言ってたし。もしかすると俺達の世界とは根本から違うのかな)
(かもな)
(後で調べて見るか)
「リネット、ここにあるか?」
「あったはずだよ。どれくらい要るの?」
「多分、この砦なら30個くらい?」
「じゃあ、使えるかどうか倉庫に行こうよ」
―――――――
(おい、これマジでエメラルドじゃねえか)
(真贋つくかー?)
(ある程度は。ここにあるエメラルド、何カラットなんだ?しかもこの数、元の世界なら数百億クラスだぞ?)
(マジかー。ってこっちは蒼い。これは?)
(ヲイヲイ、サファイアじゃん。ってこっちはオパール!?しかも黒の大粒だと!?)
(これは厨二なのか、単に知識人なのか)
「ここは物資の倉庫です。主に戦闘用の、補助物資が置かれています」
「補助?てことは、武器庫は別か」
「はい、用途別に分けられております」
「俺は自分で創れるから良いけど、武器には興味あるな」
結構広いのな。掃除も行き届いてるし。
多分、侍女隊がキッチリやってんだろ。
「んで、どうだヴェル。足りる?」
「うん。足りると思う。後は、このエメラルドに源子を籠めて、配置するだけ」
「よし、じゃあ早速出来るか?」
「うん」
「なぁ、リョーガよ。オレはどうしてろと?」
「あー、ジンは修行でもしててくれ。イチャイチャしてても良いぞ」
「んじゃー、軽く身体動かしとくから、後で相手してくれ」
「おうよ」
――――――
午前は結界造りで終えた。
メンバーは、実働のヴェル、エネルギータンクの俺、案内のハンナ、場所によっては許可が居るためリネット。
シンシアは訓練と哨戒で戻ってった。
結構大変だったよ。
エメラルドに源子を籠めるのは俺で良いらしいから、籠めまくった。ヴェル曰く、1個籠めるのに成人エルフが全身全霊で力を使い果たすらしい。
最終的に、30個以上籠めた俺は何なんだろうね?
まだまだ行けそうだしよ。やっぱり∞なのかな。
だとしたら、あれが……。
てかさ、その後結界造るために源子をヴェルに送りまくったんだが、どうも源子を送るとアレらしい。
よくあるよな、こういうパターン。
そのせいで、リネットはポカポカ叩いてくるし、
ヴェルは赤くなって黙っちゃうし、
リネットに命令されたハンナにハリセンで叩かれるし。
…………ハリセン?
「侍女のたしなみです」
だそうです。
あっ、結界は張れました。
俺の源子量なら、性能の良い結界が張れるらしく、
隠密による見つけ難さ。
意識干渉による、近付くという意識をズラす。
そして、それを無効化してきたモンスターには、
精神ダメージを与える仕様だそうで。
効果もそこそこ強いらしく、魔人とかにも効くようにしたらしい。
まー、便利なことで。
さーて、午後は修行かなー。
暇だし。