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真実の中の虚構世界《フィクショニア》  作者: AKIRA SONJO
第1章【異世界との邂逅、あと女の子も】
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2話【真ファーストコンタクトwithお姫さま】

「キャアァァァァ!!!」


その女の子は戸惑っていた。

身なりは高貴な、俗っぽく言えばお姫様だろうか。

事実、彼女は王女であった。


(どういう、こと?)


馬車で侍女5人と、戦地から逃げていた道中だった。

森を突っ切れば砦に辿り着ける。

だが、その前に魔物モンスターと遭遇してしまった。

人型で、ブタが武器を持っている。

【オーク】と呼ばれる種類だろうか。

オークは知性が高く、小隊を組んで命令を執行する。

恐らく、私達を追ってきたのだと思う。

だが、彼女が戸惑っていたのはオークに対してでは無い。


「うらあぁぁぁぁ!!!!!」


6体ものオーク達に、いきなり少年が殴りかかった。


「!?なんだと」「くっ、構えろ!」「連係ををとれ!」


このオークの小隊は、案外連度が高いのか。

すぐに対応し、陣形をとる。いや、とろうとした。

少年が右パンチ、1体を殴り飛ばし、オーク達は固まった。


「なっ、なんだそのパワーは!?」


それはそうだろう。

彼らは魔物モンスターだ。

力も強く、魔法か何かでなければ、只の少年が勝てるわけがない。

私達もなす術なく、捕まりそうだったのだから。

だが、


「はっ、ブタごときが俺に勝てるかぁ!」


1体を殴りつけ、その勢いのままに左パンチ。

2体を倒し、オークが反応する前に地を蹴り、ドロップキック。

3体目を倒し、オークがようやく反応。

着地した少年に、装備する得物ハンマーで殴りかかる。

しかし、


「っと、あぶねぇ、なっ!」

「なっ、なんだt、グフゥ!」


片手で受け止め、空いている左手を打ち込んだ。


4体目を倒した。

残る2体が一斉に襲いかかる。


「はん、遅ぇよ、遅すぎる!」


一歩で踏み込み、右から来たオークに右パンチ!

そして左のオークのハンマーを避けキック!


6体、戦闘終了。


(こんな強い人間が、まだこの辺りに居たなんて)


彼は何者なんだろう?




――――――――――――


悲鳴の上がった方向に走る。


(すっげ!超速く走れる、オリンピックいけるんじゃね?)


やっぱりアホなこと考えながら走る。

頼む、美少女で、今度こそ美少女で頼むぜ神様!


そして、そこに居たのは。


でっかい馬車。馬2頭。

なんかメイド服着てる女の子が5人。

そして、お姫様っぽいのが1人。

取り囲む、ブタ男が6人(?)


(よっし!お姫様系美少女確定!メイド達も粒揃いだ!)


なら後は、


「うらあぁぁぁぁ!!!!!」


まず一番近い1体を殴り飛ばす。

やっぱスゲーなこの腕力、軽々数メートル吹っ飛ぶ。

次の標的、左にいたブタ男。

右足で方向転換、勢いで左パンチ!


(チャンス!固まってる)


調子に乗った俺は、ドロップキックをお見舞いしてやった!


(まっず!)


ブタ男がハンマーを振り回してくる。


(どうする、どうする!……とにかく防御だ!)


右手を前に出して受け止める!


(って、あれ?弱い、いや、俺が強いのかもな!)


残る2体がこっちにくる。

だが、負ける気はしない。

なんか俺、超強いし。


ドンッ!っと踏み込み、右パンチ!

左ブタ男のハンマーを、パンチの勢いのまま前に出て避ける!

空振り、体勢を崩したブタ男にキック!


(楽勝だね。つーか、武術習得しといて良かった。マジで)


「つーか、あのブタ男は何なんだ?」

「あっ、えとあれはオークだと思いますよ?」

「オークって、またベタな」


ん?今のは、


「あの、助けてくれてありがとうございます」


真正面で、近くから見た女の子は、


(超絶美少女キタコレ!)



―――――――――


「えと、大丈夫だった?てか、あのオークとか言うの、倒して良かったの?」


日本語なのはもう良いや。オオカミ男もブタ男(オーク)も日本語喋ってたし。


「はい!私達は平気です。それに、あれらは魔物モンスターですから」


モンスターね、やっぱそう呼ぶんだ。


「それであの、あなたは【ビジター】なのですか?」

「えと、びじたー、てのは?」


ベ○ータ?いや、ビジターか、英語か?なら、visitor。

確か意味は、【訪れた者】?


「【ビジター】というのは、異世界からの来訪者という意味ですよ、えと」

「ああ、俺は新藤リョウガ、リョーガで良いよ」


異世界からの来訪者か、だとするとやっぱ異世界なの?ここ。

それに、異世界から人が来たことがあるのか。


「多分、俺はその【ビジター】だと思う。よく分かんないんだけどね」


実際、来たばっかの俺には何にもわからん。


「ではリョーガさんと呼ばさせて頂きます。それで、お願いがあるのですが……」

「ん?何か?」

「差し出がましいお願いとは承知ですが、私達を砦まで護衛頂けないでしょうか?」


ふむ、美少女からのお願い。しかも護衛任務。


「勿論、お受けしましよう!代わりと言ってはなんだけど、この世界のこと、教えて貰えるかな?」

「はい!ありがとうございます。あっ、申し遅れました。私は【フェイクライナ王国】第二王女、リネット・コル・フェイクライナです。よろしくお願いします」


(マジでお姫様かよ!)


心の中で、全力で突っ込んでみた。

まっ、それくらいじゃねーとな!



そんなわけで、俺のファーストコンタクト(人間)はお姫様で、

俺は砦迄の護衛騎士になった!

まっ、自称だけどね。




―――――――――


春の2月目、2の日

少年とお姫様は出会った。

タイミング良く、まるで仕組まれたかのような出合いだった。

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