第2章プロローグ 13話【んじゃ、作戦たてよーか】
ヒュン!
振る。
ヒュイン!
振る。
シュパァァァン!!!
振り抜く。
シュッ、シュッ、シュピシュパシュッパァァン!!!
右上振り下ろし、左横薙ぎ、右下振り上げ左下振り上げからの、
真上からの真一文字!!!
「ふぅ」
パァン!
「!?<瞬加>!」
「ふん、良い反応だなー」
「何だ。ジィーン、驚かせるなよなー」
察しの良い人は最初のヒュンで分かってもらえるかな。
そう、修行である。
何故修行しているか、それにはまず昨日のことを語ろう。
―――――――
【ゴゥアフト】のメンバー達の洗脳を解いた後、
説得しまくった。
リネットは一瞬で落ちた。
「このままじゃ、フェイクライナは落ちる。俺に軍事を任せてほしい。必ず首都を奪還してやる」
「私は賛成するよ!」
「早いなおい!」
こんな具合で。
侍女筆頭ハンナは、意見が無いようで、王女に任せますスタンス。
現最高権力者、セリアは、
「それは、確実なんですか?フェイクライナが崩壊するというのは」
「ああ、確証がある。このまま行けばジリ貧で終わる。だけど、今変えられれば、助かる可能性がある。いや、絶対に助ける」
「…………勝算や、策などは?」
「ある」
「即答ですか。………良いでしょう、任せます。この国を、貴方に任せましょう」
流石に悩むよね。
でも、任せてくれた。セリアの、俺の評価は高いようだな。
そして意外なことに、反論が出なかった。
「あれ?シンシア、反対しないのか?」
「ああ、しない。私も手詰まりなのは感じていたんだ。なら、この状況を打破する為にお前の力が必要だろう」
「へー、俺の力を認めてくれてんだ」
「バカを言うな!……認めた訳じゃない。だが、考慮に値するというだけだ。それにセリア様も既に決定しているしな」
「そうかー」
「それで、作戦はあるのか」
「ああ、まずやることがある」
「セリア、フェイクライナの最高権力者は?関所にいる方の」
「でしたら、御父様でしょう。現国王ですし。騎士団長もあちらにいますよ」
「なら、連絡をとってほしい。首都を取り戻すのに、そいつらの力は不可欠だ」
「分かりました。連絡を取ってみましょう。ただ、時間もかかりますし、確実性が無いですが」
「構わない。後々、此方から行く気だしな。それに、他にやることがある」
「ロッティだったな、ゴゥアフトの力を使いたい」
「ティーで構わない。皆にはそう呼ばれている。それで、何をすれば良い」
「なら、ティーと呼ぼうか」
うーん、褐色系かー。でも、
ちっさいなー。140あるかな。これで確か俺より年上とか話だが、
色々と間違ってねぇか?この世界。
流石は異世界だな。
つーか、ロrだねこれ。
何となく、この子刃に気があるよーな。
そういや、刃はロリコn
「撃つぞ」
「目が怖いぞジンちゃん」
ではないよな。
全く、勘が鋭いったら。
「ゴゥアフトにやってもらいたいのは、情報収集だ」
「情報?」
「ああ、まず戦力が欲しい。だから、この辺に散らばっている町やら村やら、何でも良いから探ってほしい。人間じゃなくても構わない。寧ろ、異種族が良い」
「ふむ………。確か、妖精族か、精霊族が居ると聞いたことがある」
「マジか!そいつはラッキーだな」
「でも、何故異種族が必要なのだ?」
「ああ、それはセオリーだな。異種族が居るなら、協力してモンスターを倒すってのがお約束だからな」
「???、良くわからないが、調査してみる。数日かかると思うが」
「それは構わない。予想済みだ。その間、修行するつもりだからよ」
―――――――
てな経緯で、修行なわけだ。
やっぱりねー、時間があるときは修行しておく。
俺の力は謎が多すぎるし、修行しておくのは後々役立つはずだしな。
そんなわけで、早速昨日の夜から始めた。
今は朝、まさしく朝練だな。
「刀の調子はどうだ?」
「うーん、良くわかんね。造れるし、使い勝手は良いんだがよ。そっちは?」
「弾丸の開発が出来そうだなー。試してみて良いか?」
「ああ、どんなんだ?」
「こんな感じ」
パァン…、カッアァァァ!!!
「うぐ、眩し!」
「照明弾ってところかなー。ちなみにオレは眩しくないみたい」
「便利だなおい。それって、光属性はつくのか?」
「うん?…………つくっぽい。何となくだけどなー」
「そうか、……そうだ、照明と爆発、同時に出来ないか!?」
「!、フラッシュグレネードか!試してみる!」
うにゃうにゃ言いながら、銃に源子を籠める。
「おらーっ!フラッシュ⚫グレネード⚫ブレッド!!!」
パァン…、バァァ(カァァ)ンンンン!!!
「……………」
「……………ショボくね?」
「……………なんでー!!??」
そう、その威力は
「爆竹+懐中電灯レベルとは。イタズラに使えそうだな」
「くぅー、爆発光射弾がぁ……。リョーガセンセー原因とかはー?」
「そうだな、まず源子量不足かな。後、力量不足だな。
2つの弾丸の合成はまだ早かったんだろ。でも、新しい銃弾は出来たんだから良いだろ」
「クラッカー並みだけどなー。つーか、リョーガは元々シントウ流あるしなー。技を開発する必要とかないよなー」
「いやいや、技そのものがあってもよ。発動出来ねーし、何より、俺の妄想も未熟だかんな。新しい技は俺も欲しいって」
「そうかー」
実際のところ。
これ迄に出した技は、普通に出せた。
でも、他の技とか全然出せねー。
<剱嵐武闘>とかね。
<轟焔剱嵐>とかさ。
発動出来る気が全くしねー。
「そうだ、1つ出来そうな技があったんだ。受けてくれないか?」
「構わないぜー。どんな技?」
「んー?遠距離技だ。ちょっと離れて立っててくれ」
「あー。確かに遠距離は必要だよなー、シントウ流にもあったのか。おっと、この辺で良いかー?」
「おう」
さーって、先ずは刀を構える。
右斜上振下、左斜上振下、からの大上段!
大量の源子を籠める。
「シントウ流<一刃乃風>!!!」
思いきり振り下ろす!!!
そう、これは
「ちょっ、斬撃波かよっ!っておいぃぃぃ!!!」
刃が左に慌てて飛び去る。
ザザザザザザッーーーー!!!!
「ちっ、避けやがったか」
「あっぶねぇなー!つーか舌打ちしたよなぁ、今!」
「気のせいだ。でも良かった、きちんとでたでた」
「この技、シンシアちゃんの魔法に似てねー?」
「ああ、参考にした。元々シントウ流で考えてた技のモデルにしてみたら、こんな感じ」
「感じで殺そうとすんなー!」
「しかし、連射性がかなり低いな。なのに威力はそこそこレベル。操作性はあまりないな。曲げられるくらいか。範囲もせめーし、消費もでけぇ。んー、改良がまだまだ必要だな」
「なぁ、考え込んでるとこ悪いんだがよー」
「ん?どした?」
「いや、源子ってよ、ようは魔力みたいなもんだろー。オレは結構多いほうらしいんだがな。でもさ、リョーガはどうなんだ?」
「ん、俺?相当多いとかシンシアが言ってたが」
「いや、そんな感じがしなくてよ。そもそも、魔力ってか源子、減ってるのか?」
「そりゃ、………あれ?」
考えてみりゃ、ありったけの攻撃を連発してみたり、
身体はボロボロでも、源子は尽きてなかったような。
リネットの強化魔法も、源子補充はしてなかったらしいし。(つまりやれば出来るらしい)
「そういや、疲れはするけど源子量そのものは減ってない気がする。最大量はあるけど、どういうことだ?」
「いやいやー、オレよりリョーガの方が得意だろー。あれじゃねー?主人公特有の」
「さぁー、わかんね。まぁそれはそれでいいや。エネルギー∞とかチートだけど。体力は使うからあんま変わらんがな」
――――――
そんなこんなで、
異世界に来たらやる、あるあるの1つ?
自分の力を探る修行をやってみた。
それを3日やった。
3日目の夜。
新しい技を開発とかは出来なかったが、
ちょっと成長したみたいだ。
俺は、刀の創製速度上昇、シントウ流の威力上昇。
刃は、銃精製速度、弾丸精製速度上昇。
弾丸の威力上昇、弾速上昇、総弾数増加。
そして、
「くらえー、2丁拳銃乱れうち!」
「リボルバーを同時に2丁造れるようになったのか」
「これで、戦力倍増だぜー!」
これが一番の戦力増加かな?
そして調査報告が来た。
「リョーガさん、エルフのはぐれ者が見つかったそうです。ですが、門前払いを食らいました」
「マジか、んじゃ今度は俺達が行ってみるか。ジン、準備は?」
「おーけー」
「ティー、君は案内役、後3人メンバーの中からサポート系選んで連れてきてくれ。待機メンバーは衛兵、近衛兵達と共にモンスターを警戒。良いな?」
「わかった、伝えてくる。日時は?」
「そうだな、明日の午前9時出発だ」
「それまでに準備を整える」
さささっ、っと離れていく。
「ジンはティーと組んでくれな」
「ん?まぁ良いけどよー。なんで?」
「そりゃー、ティーがジンに気があるからだろー」
「そんな理由かよ。まぁ良いや」
「気付いてたのか?」
「まぁなー。理由は知らんけどね。でも、オレにゃあ応えられねーんだがなー」
「やーい、甲斐性なしー!」
「うっせ」
次はエルフとの邂逅。
異世界において、メジャーなものの1つ。
「さぁ、耳長美少女に会いに行くぞ!」
「それが目的かよ!」
「当たり前だ!セオリーだなんだってのは全部建前だぜ!俺はエルフッ娘に会いたいだけだ!」
「最低だな!だが同意だ!」
テンションを上げながら、日は暮れていく。
春の2月目、9の日。終了。