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ひざのうらはやお

即興詩集「限りなく円に近い楕円」(ひざのうらはやお)

作者: ひざのうらはやを

即興での詩集です。

綺麗に落ちてるようで落ちてない、みたいな感じなのでそんなタイトルです。

「生存症候群」


やがて夢見る少女の傍に

影の形の悪魔が忍び寄る

傲慢な眠り姫は

悪魔が指し示した毒を飲み病にかかるだろう

それこそが

少女の道程の唯一の道標となりうるのだ



「おつきみやまにて」


星空の下

君はいつも独り

ため息は星明りにかがやき

まなざしは夜空に消え

その存在は太陽よりも明るい

気がついているのは誰だろう

気がつかないのは誰だろう


土星の輪の幅が

4キロもあることを

君はまだ知らない


「スクリュードライバー」


注がれる異国の酒

オレンジ色に染まる頬

君が酒を飲んでいるのか

僕が雰囲気に飲まれているのか


ねじれていく

グラスも

景色も

君の微笑みも


よじれていく

時間が

感覚が

僕自身が


ホテルでの朝

君はいったいどんな顔をしていたのか

僕は良く覚えていない



「パネルデータの分析」


最近痩せたかも

そういう君の横顔は

ほんの少し丸い


それよりも

眼鏡をとって

ショートボブをやめてごらん

星屑が見えるようになるし

芸術家気取りは不細工だ


ロジットモデル

プロビットモデル

線形回帰分析


どれも

君の横顔を写さないという意味では

あまり変わらない


「ニジイロ」


雨が降ったら

アルテミスの弓を

探しに行こう

ピンク色の傘を回して君が微笑む


しょうがないなあ

ピンク色はあまり好きではないけれど

アルテミスの弓には

すごく興味があるから仕方がない


その弓

雨が上がったら見られるらしいよ

ああ

空にあるんだ


七つの弓が並ぶ伸月面は

栄光への架け橋だ


そんな決め台詞が

届くといいなあ


「道標」


荒野の真ん中に

ひっそりとある道標

道もないこの荒野に

なんのために立っているのか


それは木でできていて

行き先を記す板と文字は

どこかへ飛んでいったようだ

誰がそれを立てたのか


冷たい北風が吹くたびに

道標は頼りなく揺れる

倒れそうなほど揺れるのに

何故倒れることがないのか


もはや誰にも頼られない

立ち続ける意味などない

それなのに

道標は立ち続けている


いつか誰かが

旅人の道を作り

楽園への行き先を記してくれる

その日を待ち続けている

ちなみに詩での名義は「ひざのうらはやを」だったりする

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