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第5話 出会いと再会と

 海が見えてから約30分…炎竜は海岸近くにある街の横にある雑木林に降り立った。


「なぜ、ここなのだ?」

「え~単純ですよ~町中なんかに下りたら目立ちすぎるじゃないですか~ここからは歩きますので、あなたはどうしますか~?」

「だったら、我はいったん下がっている…用があれば術式を開いて呼ぶがよい!」


 炎竜は、煙とともに消えてしまいました。


「あらら~行っちゃいましたね~」

「誰かと思えばあかねさんじゃありませんこと?」


 あかねが、炎竜のいた位置を見ていると、後ろから女性に声をかけられた。


「あらら~どちら様かと思ったら雪草(ゆきぐさ)蓮華(れんげ)さんと上代(かみしろ)竜也(りゅうや)じゃありませんか~」

「あかねさん…こんなところで何してるんですか?」

「えーと…散歩?」


 先ほどあかねに話しかけたのは、雪草蓮華…雪草家次期党首である。その横には、上代家次期党首の上代竜也が立っていた。

 この二人は、幼馴染らしく、小さいころからずっと一緒にいるらしい…また、蓮華は牡丹と仲が良く、クラスが一緒になってから、よく遊びに行っているとあかねは聞いていた。


「蓮華さーん…いつも牡丹がお世話になっているようで~」

「いえいえ…私の方こそいろいろとありがとうございます。」


 あかねは握手を求めたが、見事なお辞儀によりスルーされた。


「あらら~私の握手をスルーですか~まぁそんなことは置いておきまして~牡丹とあけびを見ませんでしたか~?」


 あかねが聞くと、竜也も蓮華も首をかしげた。


「さぁ…知らないよな?」

「えぇ…私も見ていませんから…どうともいえませんわ…。」

「そうですか~こっちには来ていないのでしょうか~」


 こっち…と言うのは、当然ながらこの世界の事を指している。

 なんだかんだで妹の事を第一に考えているあかねからすれば、自らの目の届からないところにいると、不安で不安で仕方がないらしく、海岸沿いと言う選択肢も牡丹が海が好きだからと言う理由からである。

 そんな中で、牡丹の親友でもある蓮華とその幼なじみの竜也に会ったものだから、もしかしたら牡丹かあけびと会っているのではないかと言う期待から、聞いてみたのだ。

 しかし、帰ってきた答えは期待外れで、もしかしたら牡丹たちがこちらに来ていないのでは、と言う疑念すら感じる答えだったのだ…


「…まぁ私としてももう少し探してみましょうか~それでは、また、会う日まで…Good luck!」


 あかねは、そう言い残してその場から去って行った。


「なんだったんだろう?」

「まぁ姉として当然でございませんこと?」

「いや…あれだよ…あかねには常識がないから…妹たちへの接し方は…うーんと…忘れた!」

「妹たちへは他人同然に接することさえあるですか…でも、私としては、それが本心ではないと思いますわ…。」


 あかねが去った後、竜也の思考を完璧に理解できる蓮華ならではの技が光っていた。






 旧ロバイン王国内を横に横断しているロバイン街道から少し外れた場所にある砂浜であかねは、海を眺めていた。


「おかしいですね~すっかり竜也たちと行動しているものと思っていましたが、会っていないようですね~」


 彼女にしては珍しくとんだ見当違いをしていたので、珍しく落ち込んでいた。


「どうかされましたか?」


 彼女がため息をついていると、後ろから女性に声をかけられた。


「あなたは?」

「私ですか? そうですね…空とでも名乗っておきましょうか…。」


 あかねの横に座った空と名乗った空色の髪の毛が特徴の女性は、笑みを浮かべながらあかねの顔を見た。


「私は、北上あかねです~どうぞお見知りおきを~」

「えぇ…こちらこそお願いします…そうだ…一つ聞きたいことがあるの…。」


 出会ってからまもないのに聞きたいことがあるというのは、いったいどういう事なのだろうか?

 そんな疑問を感じつつもあかねは、彼女に話しかける。


「聞きたいことってなんですか~?」

「それは…。」


 彼女の質問を聞いた途端、あかねは彼女の顔を見ながら、口をパクパクさせている…どうやら彼女にしては、ずいぶんと動揺しているようだ…


「まぁどうするかは、あなた次第ですけど…それでは、このへんで…。」


 そう言い残して空は去って行った。

 海岸には、呆然とした様子のあかねがいるのみとなった。

 読んでいただきありがとうございます。


 これからもよろしくお願いします。

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