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第2話 炎竜の提案

 あれから、約1週間…あかねは欠かさずに竜のところを訪れた…と言うより竜の谷に泊まっていた。


「汝…いつまでこの谷にいるきだ?」

「え~しばらくはここにいるつもりですよ~私って友達ができるとすぐにお泊りするタイプなんですよ~」


 炎竜は、完全に失敗したと思っていた。

 彼女の狙いが最初からこれだったとすれば、かなりの策略家である。

 炎竜はそう考えていた…というより考えるようにしていた。


「汝…いい加減立ち去ってくれぬか?」

「何でですか~いつまで一緒にいても楽しいのが友達でしょ~」

「そう言ってもな…言葉通りに始終おられても困るのだが…。」


 炎竜は困った顔をするが、あかねはそんなことお構いなしで、野営の準備をしていた。


「汝…谷から出ぬままでよいのか? 外でお主を待っている者もおろう?」

「いませんよ~気づいたらこの世界に飛ばされていて、知り合いなんてあなたぐらいですから~」


 そう言ったあかねの顔には少し影がかかっているように見えた。

 炎竜は、この少女が話していることが真意なのかわかりかねていたが、このことに関しては嘘ではないと自分の勘が告げていた。


「まぁよい…気が済むまでここにいろ…。」


 特に妥協したというつもりはないのだが、炎竜もまた、絆を欲していた…

 突然異世界に飛ばされた少女と一人ぼっちの炎竜はいつしか親しくなっていったのだ…






「魔法?」

「うむ…汝が望むならその…手ほどきぐらいはしてくれようぞ…。」


 あかねが竜の谷を訪れてから1ヶ月が経ったある日、炎竜がそんなことを言いだした。


「突然ですね~何かあったんですか~?」

「うむ…最近変わった魔力をよく感じる…おそらくそなたがいた世界の住人であろう…すぐにでも探したいが、あいにく、我はただでこの谷を出れるわけではない…だから、そなたに魔法を教え、そなたが主として我をこの谷の外に出してほしいのだ。」


 炎竜は、空を見上げながらそう告げました。


「なるほど…あなたもこの谷から出たいし、私も効率よく友人を探したい…利害は一致したってわけね…。」


 あかねは、これまで見せたことのない口調と迫力でそう言った。

 長年生きてきた炎竜でさえ、恐怖を覚えるようなその雰囲気に圧倒されながらも炎竜は口を開いた。


「あかね殿…これは、利害など関係なく純粋に友としての提案のつもりなのだが、そうとらえるならそれでよい…して、どうする?」


 炎竜が提案してから約30秒後…あかねは顔をあげて炎竜を見据えながらこう言った。


「そうですね~そう言うもの面白いかもしれませんね~」

「ふむ…して、修行を受けると言う事か?」

「何度も言わせる必要性はないと思いますけど~?」


 口調こそいつも通りだが、彼女の眼にはありありと決意の色が浮かんでいた。


「その眼を見る限り憂いはいらぬようだな…まぁよい…我は厳しいぞ…それでもついてこれるか?」

「あらら~そちらさんから提案しておいて、そんなこと聞きます~? 別に返事した時点で覚悟ぐらいできてますよ~」

「その答えを期待しておったわ…それでは、まずは…。」






 そこから、あかねと炎竜の過酷な修行が始まった。

 ヴァーテルと一緒にのんびりと旅をしながら習得していった牡丹とは対照的に、あかねは恐ろしい勢いで魔法を習得していったのだ…

 この力の根底には、この世界に来ているかもしれない仲間に会いたいという力が大きなエネルギーになっていたのかもしれない…こうしている間にも1年ほど遅れてこの世界に来た妹が、仲間を作り旅をしていることなど知るよしもない。


「少し無理をしすぎでないか? そろそろ…。」

「あら…修行は厳しいんじゃなかったの? 妹がこっちに来てたら私が何とかしなくちゃ…きっと、あの子もさみしいだろうから…。」

「うむ…だが、本当に無理だけはする出ないぞ…。」


 いつの間にか、素を隠す余裕すらなくなった彼女を心配しつつも炎竜は、修行を続けていた…

 読んでいただきありがとうございます。


 これからもよろしくお願いします。

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