終章
気がつけば彼は草にまみれていた。少し湿っぽい空気と魔界に行ったというのに抜けていない自分の足、おまけに家族全員にその無様な姿を見られて笑われていたことにより気持ちはかなり沈んでいた。
足が挟まれた状態で寝ていたと言われるはめになった悠真は内心で溜め息をつきながら、救出を求めた。
「大丈夫、ユーマ兄ちゃん」
「あぁ、ありがとな。静真」
家族を呼びに言ってくれた弟の頭を撫でて、悠真は笑う。
改めて目的地に向かって遊歩道を歩き出した皆の後をついていきながら、ふと悠真は空を見上げた。何処からか紫の穏やかな声が聞こえた気がして微笑する。
「あぁ、また今度な。紫」
「ん?何か言ったか悠真」
「いや、何でもないよ兄貴。それよりあとどのくらいだよ?」
小走りで追いついて、悠真は魔界とは違う世界に意識を戻した。自分が育ってきた、生活の中心であるこの地球に。
こういった場所を見ると、魔界とこの世界が違うなんてあんまり思えないよなぁ。
だから、門なのかな?
魔界の謎は尽きなくて、彼を悩ませる。
そして今更ほんの数時間しか今回は魔界にいなかったことに気付いて、悠真は頬を掻いた。一番魔界にいた時間が短く、一番重要な話を聞けた。そう思いながら、彼は一つ、ある決意をした。
もう少し、積極的に関わろう。
流されるままではなく、自ら魔界に関わることをこの日、彼は誓ったのだった。
最後はとても少ないですが、一応第三シリーズ終わりました。初めての訪問者、皆様いかがだったでしょうか?
次は門について書きたいと思います。