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GO!!~氷上の剛腕番長~  作者: 渋谷直樹
第4巻:もう一つの闘い
32/33

第32エンド 父親達の座談会

『そういえば、剛士さん。来月でしたっけ?入学式』


 我らがホーム「みゆき」、その小上がりの指定席。

 悠歩と美鈴を除いての、反省会。

 あーだーこーだとした話し合いもそこそこに終わり、空気は、ただの飲み会となっていた。


『えぇ、娘なんて、妻に「あと何回寝たら良い?」なんて、毎日聞いてるみたいで』


 ホタテに貝焼き味噌に、日本酒。

 俺の思う、青森満喫セットをつつきながら、彩夏から送られてきた動画をみんなに見せる。

 小学校の教科書だとか、体操服だとか、そして、あの緑色のランドセルを、部屋中に所狭しと並べている、千春の姿が。


『いや~、羨ましいなぁ~、うちなんて3人とも男ですから、何をするにもバタバタですよ』

「野球だのサッカーだの、お下がりは嫌だのゲームを買ってだの、3人もいると、お金がいくらあっても足りませんよ」

 と、為川コーチのように苦笑いをしているが、何を言っているんだか、随分と幸せそうな顔をしているじゃないか、望田は。


『ははは、お二人とも、今のうちですよ。子供なんて、親が思っている以上に、すぐに大きくなりますからね』

 いつもの苦笑いではなく、気持ちの良い笑いだ。

 我々、父親の後輩が歩いている道を、一足先に駆け抜けた余裕か、はたまた酒のせいか、為川コーチも饒舌だ。


 カーリングや、先刻の練習試合の事はどこへやら、座敷は、すっかり子を持つ父親の座談会の様相を呈していた。


 仕事柄、こういった事を話すことは余りないから、なんだか新鮮だ。

 一応、藤原や篠山さんも子供はいるが、基本的にはいつもドタ-バタとしているから、こうやって腰を据えて、お互いの子供の事を話し合うなんて、無かったかもしれないな。


 彼らの子供は、何歳だったか.....

 篠山さんは確か、子供はもう一人立ちしてて、妻と二人で悠々自適な生活だとか言っていたような。

 そういえば、篠山さんのやっているSNSのアカウントを見せてもらった事があるが、凄かったな。

 レストランのように盛り付けられた料理と、綺麗に磨かれたグラスに注がれた赤ワインの写真。

 文面には、料理名と、ペアリングしたワインの銘柄なんかを書いていたりした。

 文章はシンプルだけど、流石は普段からカメラを持っているだけあって、どこか格調高いレストランの写真のようで、反響も結構あったな。

 本人は「妻の料理を投稿しているだけなんだけどね?これが思いの外、好評なんだよねぇ 」などと嘯いていたが、あれは絶対に、心の中ではドヤ顔をしていたに違いない。


 藤原は....確か、嫁に尻に敷かれてるだとか、息子が反抗期だとかなんとか、ボヤいていたか。


 .....反抗期......かぁ。

 来てほしくないなぁ。

 それは.....来てほしくない。

「パパ臭い」だとか、「洗濯物を一緒に洗わないで」とか....

 言われてしまうんだろうか.......


 もし言われてしまったら、俺は、立ち上がってファイティングポーズを、取れるのだろうか.....?


『うちなんて、姉ちゃんが上に3人いるから、モチさんとこみたいに兄貴が欲しかったな~』


 レモンサワーを飲みながら、海至が、朝なんて洗面所を俺が使えるようになるまでスゲー時間かかんの、と半目になりながらボヤいている。

「これ、うちの姉ちゃんたち」

 そういってサッと、「家族ライン」と書かれたグループのアルバムから、海至と3人の姉が映った写真を見せる。


 ほぉ~、随分と美人なお姉さんたちじゃないかぁ。


 ......さては、お前。

 さっきはなんのかんのとボヤいていたが、本当は、自慢したいんだな?

「俺の姉ちゃんは美人だぜ?」って。


 こういうところが、こいつの可愛い所なんだよなぁ。

 人懐っこい、好かれる性格をしていると思ってはいたが、末っ子か。

 しかも、美人なお姉さんが3人も。

 なるほど、どうして、合点がいった。


 となると、話は自然な流れで、我がチームで最も謎めいた男、佐山朝飛へと、視線が向くのも必然だろう。


『........離婚してますよ?子供はいませんが』


 ゴォー......


「みゆき」のエアコンが、一瞬で下がった座敷の空気を、必死に温め直そうとする音が、やけに大きく響いた。

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