表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10


——————ついにきた練習試合当日。

 

 いつもいるコーチも今日はグラウンドに出てる。

 静かな部屋で準備を急ぐ。



 まず何リットルかわからないジャグに入れるドリンクを作る。

 スポーツドリンクと麦茶。ちなみに私は麦茶派。


 練習試合なので、観戦に来る方たちの分も用意する。



「あ、持ちますっ!!!」

 ベンチに運ぶ途中に声をかけてくれたのは、大沢くん。

 重いから遠慮なくお願いした。


 お礼をして戻ろうすると

「他のジャグも取りに行くから置いといていいよ」

 と言ってベンチに行った。


 ありがたい申し出に甘えさせてもらう。


 ジャグを用意して待ってると2人取りに来た。

 さっきの大沢くんと、誰だろう。


「8組の森です。よろしく」

 心を読んだかのようなタイミング。


「菅野です。こちらこそよろしくね」


 なんとも言えない空気が流れたところで

「そういえば、かんちゃんって呼んでも大丈夫? 他の1年も」

 ジャグを持ちながら、大沢くんが言った。


「全然いいよ〜」


「おっけ! じゃあみんなにも言っとくわ!」

 そう言って、2人は部屋をあとにした。


 

 やらなきゃいけない準備をひと通り終えた頃。

 

 たくさんの自転車がグラウンドに入ってきた。

 今日の相手、常南工業(じょうなんこうぎょう)高校だ。

 走って迎えに行き、使用してもらう場所へ案内する。



 ウォーミングアップ中。

 両校のオーダー用紙をもらい、スコアブックに記入する。

 



————いよいよ試合開始。


「ただいまより、水明高校対、常南工業高校の試合を開始いたします」


 グラウンドに響く私の声で、試合が始まる。


 懸念していた選手交代もプチパニックにはなったけど、間違えなかったからよし。



 試合結果は5対4で水明高校が勝った。


——思っていたよりも落ち着いて、1試合目を終えることができた。




「かんちゃんお疲れ〜! アナウンス良かったよ〜完璧! 心配して損したわ〜」 

 お昼休憩に入り、 コーチが戻ってきた。


 本当に良かったよと言いながら、スコアを確認してくれた。

 スコアもバッチリとお墨付きをもらえて、少し自信がついた。




——午後の試合は、さっきよりも余裕を持ってできた気がする。


 1年生だけしかいないっていう環境も功を奏した。

 慣れたとまでは言えないし、抵抗がないって言うと嘘になるけどね。


 結果は、4対3で常南工業高校の勝利。



 時間の関係もあって、残りは合同練習をすることになった。

 ひとまず大仕事は終えてほっとした。



「かんちゃーん」

 どこかで私を呼ぶ声がする。


  

 合同練習が終わり、全体で挨拶をした。

 そして常南工業高校の皆さんはグラウンドを後にした。



「はあ〜終わった〜」


 うーんと手を伸ばして背伸びをした瞬間、体の力が抜けるのがわかる。


「おつかれーい!!」

 そう言って手を伸ばしてくれたコーチとハイタッチをした。


「かんちゃん、本当にありがとう! まじで感謝してる」

 振り返ると大沢くんが手を伸ばしている。


 どういたしましてっ!と言いながら、ドヤ顔でハイタッチしといた。




——大きな問題もなく、初めての練習試合を終えることができた。

 





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ