第43話 我が家族と二大美少女②
次は22時に投稿します。
「———ふぅ……入っていいぞ」
「ん、お邪魔します」
「お、お邪魔しますっ」
色々な心の準備を済ませた俺は、家へと2人を上げると、2人は礼儀正しく、律儀に玄関で靴を脱ぐ時も揃えて端に寄せていた。
そんな姿を見ていると……俺の心は全く落ち着かない。
いや、しょうがないよな?
だって俺の家に学年の二大美少女が同時に来てるんだぞ?
仮にこのことを男子が聞いたら発狂しそうだな……ははっ、おもろ。
でも絶対にバレないようにしよ。
俺が自身と同じく落ち着かなそうにソワソワしている2人を眺めながら心に誓っていると、遂に待ち切れなかったのか、我が母親がリビングから飛び出して来て———満面の笑みで柚と芽衣を思いっ切り抱き締めた。
「初めまして、柚ちゃん、芽衣ちゃん! 馬鹿息子に聞いていた通り、物凄い可愛いわねぇ。私はこの馬鹿息子の母の佐々木明恵です。うちの子が大変お世話になっているようで……大丈夫? この子テンション高いから疲れない?」
「現在進行形で1番テンションが高い母さんに言われたかねぇな」
俺が特大ブーメランな母さんの言葉に半目でツッコむと、母さんはスッと俺から目を逸らし、何事も無かったかの様に2人に話し掛け始めた。
「ねぇねぇ柚ちゃんと芽衣ちゃんはどうして瑛太と一緒に居てくれるのかしら? 2人なら瑛太なんかよりイケメンでお金持ちで優しくておまけにイケメンな男なんて直ぐに釣れそうなのに……」
「母さん言い方言い方! 釣れそうとか言うな! と言うか母さんは俺のこと下に見過ぎだろ!」
この母親は自分の息子を一体何だと思っているのだろうか?
一度ちゃんと問いただしたい。
俺が母さんを睨んでいると、柚と芽衣が口を開いた。
「ん、私、イケメンとか興味ない、です。えーたはゲーム強いし、面白い、です」
「私も外見が整っているからと言って仲良くしようとは思いませんね。瑛太君は一緒に居て楽しいですし、頼りになりますので、毎日一緒に居れて、とても幸せです!」
柚は慣れない敬語を使って、芽衣はいつもの少しおどおどした雰囲気の鳴りを潜めて、それぞれが俺を擁護してくれる。
そんな2人に母さんは雷に当たったかの様な衝撃的な顔で驚いている様子。
「な、何てピュアで良い子なの……!? 瑛太、アンタには非常に勿体無いわね……」
それについては俺も激しく同意だわ。
今でも何で2人が俺と絡んでくれるのかマジで意味が分からんし。
俺が内心母さんに同意していると、リビングからひょっこりと瑞稀が顔を出した。
「あー! お母さんだけ話しててズルい! 私も柚先輩と芽衣先輩と話すーっ!」
「あ……2人ともごめんなさいね? 私としたことが……少しテンションが上がってしまった様ね……」
「何処が少しやねん。誰よりもテンション上がってたやんか」
俺がボソッと呟くと、母さんがすごい勢いで此方に振り向き、目の笑っていない冷たい笑みを浮かべた。
「瑛太……何か言った? 次はお小遣いを減らされたいのかしら……?」
「何でもないです。ええ、断じて何にも言っていませんよ神に誓ってね」
「そうよね? なら良いわ。———ささ、柚ちゃんも芽衣ちゃんも取り敢えずリビングに行きましょう?」
「ん、お邪魔します」
「お邪魔しますっ」
2人は少し緊張気味に返事をすると、瑞稀に引っ張られながらリビングへと入っていった。
俺も2人の後を追う様にリビングに移動する。
リビングには兄貴と兄貴の彼女の朱里さん、父さんが居て、3人とも柚と芽衣に興味津々の様だ。
兄貴は一度2人を見ているので「この前振りだなぁ」と2人に声を掛けていた。
更に朱里さんもそれに便乗して頻りに話し掛けている。
父さんは根っからの仕事男で、どうやって話しかけようか分からず、めちゃくちゃ置いてけぼりにされているが。
そこで俺はふと思った。
———え……これ、どういう状況?




