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第35話 兄貴が怖ぇ……

 俺は飛び蹴りをかました後、驚いた様子で俺を見ていた柚に駆け寄る。


「大丈夫か柚!?」

「……ん」


 返事はするものの、何処かぼーっとしており、心ここに在らずといった感じだった。

 その様子を見ていると、何かされたのではないかと言う疑惑が俺の中で膨れ上がる。


「どうした? やっぱり怖かったのか? と言うか何もされなかったか? ごめん。一緒について行けば良かった」

「ん、えーたのせいじゃない。私が不注意だっただけ。寧ろ、えーたが助けてくれて嬉しかった。ありがと」

「まぁ……何もなかったなら俺は良いんだが……」


 俺は柚を遅れてきた芽衣に預けると、飛び蹴りを喰らわせて倒れたチャラ男と、ソイツに駆け寄った男達を睨む。


「———で、まだやるか?」

「お前イカれてんのか!? 初対面の奴に飛び蹴り喰らわす奴が何処にいんだよ!!」

「此処に居るが? と言うか初対面の柚にナンパするお前らに言われたくないんだけど。一体どの口が言ってんのかね? それに———少しは周りを見てみたら?」

「は? ———っ!?」


 周りを見渡して、数多の人々の視線が此方に向いているのに気付いた男は、驚いた様に目を見開いた。

 更にはその隣にいた2人の男も若干顔を青くして逃げ腰になる。


「お、おい……これはマズいって……!」

「逃げた方が……」

「う、うるせぇ! どうせ此処には出禁になるんだ。アイツに1発ぐらいやり返さなきゃ気が済まねぇ!」

「お、おい!」

「やめろバカ!」


 結構本気で蹴ったつもりだったのだが、奴は意外とピンピンしており、額に青筋を浮かべて、仲間の生死を振り切って襲いかかってきた。

 

「俺に恥かかせやがってッ! 絶対にぶっ殺すッ!!」

「おいおい逆上かよ……典型的な噛ませ犬やんか……まぁ容赦はしないけど」


 俺は殴り掛かってきた男の拳を避けながら腕を横から掴んで関節を決める。

 

「い、いだッ!? いだだだだだ!? は、離せッ!!」

「いや離したら絶対殴ってくるじゃん」


 俺は表面上では何でもない風に取り繕いながらも、心の中で盛大な安堵のため息を吐く。


 あ、危ねぇ……。

 ま、まさかこんな所でも厨二病だった時の名残りが役に立つとは……昔から色んな武術を齧ってきて良かったぁぁぁぁ……!


「良い加減諦めろ。もう少しで警備員来るからとっとと帰るんだな」

「ぐ……調子に乗る———ひっ!?」


 俺に関節を決められた男が、突然恐怖に支配された声を漏らす。

 何事かと思って前を見ると……よく知る人物がいた。


「あ、兄貴。来るの遅ぇよ」

「悪いな、瑛太。朱里とデートしてたから全く気付いて無かったわ」

「殺すぞ兄貴。彼女居ない俺に言うことかそれは?」

「まぁまぁそれは後で論争しようじゃんか。どうやらお前、面白い事になってるらしいし」


 そう言って兄貴が柚と芽衣をチラッと見た後、此方をニヤニヤと、それはもう気持ちの悪い笑みを浮かべた。


 ……その笑顔、ぶん殴ってやりたい。


「……絶対に紹介したくないんだが?」

「兄に逆らうとは良い度胸だな? 後で身体で教えてやろうか?」

「ごめんなさい絶対に話しますのでどうか殴り合いはやめてください」

「ならよし。それと———ヘタレのお前がよく頑張ったな。どうやら相当大事な友達らしい。まぁ……後は任せな」


 兄貴は『絶対に逃すなよ』と、意味深な言葉を俺に告げた後、俺からひょいっと男を奪うと、他の2人の男とも肩を組み———いきなり笑みを消してドスの効いた恐ろしい声を出した。


「———おい。ウチの家族に手を挙げようとしたのはお前か? 覚悟は出来てんだろうな? 出来てるんだよな?」

「だ、大輝さん……ま、まさかアイツ———あの子が兄貴の家族だとは知らなかったんです……!」

「そ、そうですよ!」

「マジで知らなかったっす!」


 3人は顔面を真っ青に染めて全力で言い訳をする。

 そんな3人に、兄貴は目の全く笑っていない笑みを浮かべた。


「まぁ……少しあっち行こうか? 朱里の時の事を忘れたらしいし」

「「「す、すいませんでしたッッ!!」」」


 兄貴は謝り倒す3人を校外へと連れて行った。


「……兄貴怖ぇ……」

「大輝お兄ちゃん怖過ぎるよぉ……」

「……ん、あの人怖い」

「こ、怖かったですっ……」


 俺達一同はその光景を見ながら、いきなりの展開に目を瞬かせ、恐怖を口に出すことしか出来なかった。


 やっぱ兄貴には逆らわない様にしよ。

 

 俺は心に誓った。


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