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第34話 二大美少女と妹と

「———柚さんっ! この唐揚げ美味しかったですよ!」

「ん、てんきゅー瑞稀。買ってくる」


 瑞稀のおすすめを聞いて、即座に買いに行く食いしん坊の柚。


「芽衣さんはお料理出来るんですか?」

「瑛太君程上手くはないけれど、そこそこは出来ますよ」

「わぁあ! 凄いですね! 私なんてレシピ見てもゲテモノ料理になるのに!」


 瑞稀と仲良さげに話す芽衣。

 

 そして、そんな3人の後ろをついて行く、大して顔も良くない一般男子高校生———つまり俺である。


「———いや、仲深まるの早過ぎだろ。おい我が妹よ、お前、一体何をしたんだ?」

「失礼だなぁお兄ちゃんは。ただ、昔のお兄ちゃんの話をしてあげただけだよ?」

「つまり俺の黒歴史も話したということだなこのおバカ!」

「お、怒らないであげて下さい、瑛太君っ! 聞いたのは私達なのです!」

「ぐ……命拾いしたな、瑞稀……!」

「ふっ……やっぱりお兄ちゃんは美少女2人に弱い……! つまり私が2人のそばを離れなければ怒られない!」

「そんなわけあるか!」

「いだっ!?」


 俺はペシッと瑞稀の頭を叩く。


 ほんと、この直ぐに調子に乗るくせは誰に似たんだか……。

 俺はないし……って父さんか。

 ウチの父さんは本当に直ぐに調子に乗るからな……まぁその後で直ぐに母さんに落とされるんだけど。


「なぁ瑞稀、父さん達は?」

「ん? パパ達はメイド喫茶に行ってるよ? 何でもパパがどうしても行きたいってお願いしたらしいよ。ママも大輝お兄ちゃんも朱里さんも苦笑いしてた」

「あのバカ父め……母さんと兄貴はまだしも、朱里さんまで巻き込むとは……後で母さんの雷が落ちるな。瑞稀、お前は近くにいない方がいいぞ」

「勿論! と言うか私、柚さんと芽衣さんの近くを絶対に離れない!」

「ダメだダメだ! お前みたいな美少女狂いの奴に柚と芽衣を近付けさせるわけない———って芽衣から離れろバカ!」

「嫌だ! このおっぱいの柔らかさを知ったらもう後戻りは出来ないの!」


 瑞稀はそう言って正面から芽衣に抱き付く。

 芽衣も身長が高い方ではないが、瑞稀は140センチ程度しかないので、丁度頭が芽衣の胸部装甲に行くわけだ。


 これでもかと堪能しやがる変態妹の襟を掴むと、責任を持って離させる。

 俺に持ち上げられて宙ぶらりんになった瑞稀が、不満げに此方を睨むので、絶対零度の冷たい眼差しで睨み返す。


「……瑞稀、遺言をどうぞ」

「もっと美少女のおっぱいに埋もれたかった———って何言わせてるのよお兄ちゃん!」

「自分で勝手に言っただけだろ。良い加減大人しくしないと兄貴に預けるぞ」

「私、めっちゃ良い子。女の子に抱き付かない。だから大輝お兄ちゃんの所、行かない」

「次やったら兄貴の所に強制連行な」

「……はい」


 兄貴は、非常に不服だが俺とは違って怖いので、瑞稀を黙らせるにはこれが1番だ。

 急に大人しくなった瑞稀を不思議そうに眺める芽衣だったが……ふと思い出したかの様に言った。


「そう言えば……柚ちゃんはどこに行ったのでしょうか……?」


 芽衣が唐揚げを売っている屋台に柚が居ないことに気付き、キョロキョロと辺りを見回した。

 俺も瑞稀も芽衣に釣られる様に辺りに視線を巡らせるも……柚の姿が見当たらない。


「…………おい、瑞稀。俺は今物凄く嫌な予感がするんだが」

「同感だよお兄ちゃん。これは間違いなくナンパにあってるね」

「ええっ!? もしそうなら急いで助けに行きましょう!」

「そうだよお兄ちゃん! お兄ちゃんのお嫁さん候補なんだから此処でかっこいいところを見せない———とッ!?」 

「余計なこと言うな。今はふざけている場合じゃないんだぞ」


 そう———この文化祭は一般の人も入ることが出来る。

 そして柚はこの学校内では『絶対零度の美少女』とも言われているので襲われるなどと言うことはないが……一般客が紛れ込んでいるとなると話は別だ。


 くそッ……完全に俺のミスだ……皆で並べば良かった……。


 俺は取り敢えず後悔するのは後にして、人を掻き分けながら柚を探す。

 そんな中、瑞稀がビシッと綺麗にとある所を指さして叫んだ。


「あ、居た!」

「……っ、何処だ!?」

「あそこ!」


 瑞稀の指の先にはあまり人のいない校舎があり、その近くに柚の姿を見つける。

 更に柚の手を掴んで引っ張る複数のチャラそうな大学生くらいの男の姿も、柚が本気で嫌そうな顔をしているのも。

 

 その瞬間———普段は全くない勇気が今だけは異常に発揮された。


 俺は全速力で駆けると、速度を緩めず柚の腕を掴んでいる男に、全力の飛び蹴りを食らわせた。



「———おいクソ陽キャ共!! 人の数少ない友達に手ぇ出してんじゃねぇぞ!!」

「ガハッ———!?」


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