第33話 妹見参
お久し振りです。
はい、共テ終わったんで毎日投稿頑張ります。
「———此方がナポリタンになります。ご注文は以上で宜しかったでしょうか?」
「ん」
「は、はいっ! 大丈夫です!」
2人の返事を聞いてその場を離れようとしたのだが———神山朝陽が俺と柚と芽衣を見て、何かを察した様に頷くと、親指を上げた。
「瑛太君、ここは3人で回っているから、瑛太君は2人の相手をしててくれないかい?」
「え、あ、はい……」
俺は何か言おうとして、自分が全く指名されないことを思い出す。
それと同時にふと思ってしまった。
……うん、俺、この店に今1番要らん奴確定やわ。
大人しくしとこ。
「ん、何言われた? 私がボコボコにしようか?」
「そうですよ! 酷いことを言われたなら、私からも注意しておきますよ!」
「いや……その気持ちだけで嬉しいよ……。ただ、自分が如何に必要じゃないか再確認しただけだから」
俺の味方であろうとしてくれる2人には大変感謝しているが、俺自身が1番この店に必要ないことを自覚している。
2人は心配しながらも、ゆっくりとナポリタンに口を付け———大きく目を見開く。
「ん、これ、えーたのに似てる」
「私は食べたことないので分かりませんが、とても美味しいです……! 何なら私の家に作りに来て欲しいくらいですっ!」
キラキラと瞳を輝かせながら食べてくれる2人に鼻高々な気持ちだが……1つ聞き逃さないことがあった。
「……芽衣さんや」
「……??」
「……っ、その仕草と表情はズルい……!」
芽衣の、フォークを咥えながら不思議そうに小首を傾げる姿に、俺は思わぬ大ダメージを受ける。
流石マドンナと呼ばれるだけあり、俺だけでなく、厨房の男子や雑用をしていた男子の視線をも奪っていた。
俺は無敵の美少女の美しさに屈しそうになりながらも、彼女のために言う。
「そ、その仕草もだが……男子の前で軽々と『私の家に作りに来て欲しい』なんて言っちゃダメだぞ? ほら、厨房の男子が物凄い顔でこっち見てるでしょ?」
「私は誰にでも言っているわけではありませんよ? このレシピを作ったのが瑛太君だと聞いたので、瑛太君になら家に来てもらってもいいかなって……」
「……………」
「ん、めい、それ以上はやめる。えーたの頭がショートしてる」
「あ、あ、えっと……〜〜ッッ!!」
芽衣は自分の言ったことを思い出して顔を真っ赤にして恥ずかしがる。
どうか、それを言う前に気付いて欲しかったと思いながらも、こんな美少女に言われるほどの料理の腕を手に入れた俺を褒めてやりたい。
ほんと……ウチの家族が全員料理が壊滅的だったからなぁ……俺がやらなければならなかったんだよな。
そう言えばこの文化祭は我が妹達も来ているとか———
俺がふとそんなことを考えていると、再び俺達の教室の扉が開く。
そこには、高校生とは思えない、明らかに中学生程度のそこそこ可愛い女の子が立っていた。
その女の子———
「あ、友達から聞いてたけど、本当に執事やってたんだね、お兄ちゃん! 案の定全然似合ってないよ! やっぱり顔が上の下くらいだからかなっ!」
「やかましいわ! 久しぶりに会った兄に言うことがそれか!? おーおー随分と生意気になりましたな、顔面偏差値上の中の下くらいの我が妹よ」
———妹の佐々木瑞稀は、早速俺のことをいつもの様に煽ってきたので、俺も眉毛をヒクつかせながら煽り返した。
瑞稀は、ポカンとしているクラスの皆と客をガン無視して、俺達の方へやってくる。
「うわぁ……! お兄ちゃんの隣に今まで見たこともない美少女先輩達が……!! しかもどっちもおっぱいおっきい!!」
「初対面で人の身体のことについて触れるな馬鹿!」
俺は失礼なことを平気で口にする妹の頭を軽くチョップする。
すると、瑞稀はわざとらしく頭を押さえながら言った。
「いたぁい! お兄ちゃんが暴力振るったぁ! こんな暴力兄の近くに2人の様な美少女を置いてはおけない! さぁ私と一緒にここを出ましょう!」
「お前はただ美少女を堪能したいだけだろ」
「あ、バレちゃった?」
「分かるわド変態妹めが」
俺達があれやこれやと喧嘩をしていると、2人がポカンとしていることに気づき、慌てて自己紹介をさせる。
「お、おい! と、取り敢えず自己紹介だ瑞稀!」
「ん? あぁ、オッケー勿論だよ! ———私は佐々木瑞稀! ここに居る佐々木瑛太の妹です! いつも頼りないお兄ちゃんがお世話になっております」
「最後だけは当てはまらないな。俺はめちゃくちゃ頼りになるんだよ」
瑞稀が胸を張ってそう言うと、少しの間が教室を包み込んだ後———客をも巻き込んで大きな歓声や驚愕の声が上がった。
「「「「「「えぇえええ!? あの佐々木にこんな可愛い妹だとぉおお!?」」」」」」
「おい『あの佐々木』とはなんだ! 失礼な奴らだな!?」
「「「「「「可愛い〜!!」」」」」」
「わあぁ……お、お兄ちゃんっ! 助け……あ、やっぱり助けなくてもいいです。女の子に囲まれるの大好き♡」
「お前が1番危険だなバカ妹!!」
誰かこのカオスみたいな空間を何とかしてください。
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