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第27話 柚の家

また明日。、

 さぁさぁやって来ました柚の家。

 俺の家から軽く20分以上離れている柚の家は———普通にデカい一軒家だった。


 しかも庭もデカいし、玄関に門まで付いていて、柚がインターホン越しに何かしたら、自動で門が開いた。

 なにこれめっちゃかっこいい。


 だが、その後からは憧れるどころか、逆に不便に感じる様になってしまった。

 玄関の扉を開けるのに、指紋、顔認証、パスワード、鍵の4つを解除して初めて扉が開くらしい。


「いやセキュリティーガチすぎぃ」

「ん、私は普通の家で良かったのに、家族がこれにしろって」

「うん、柚の家族がどれだけ過保護なのかよく分かった。それで訊くけど……俺って入って大丈夫なん? と言うか大丈夫じゃないよね? 忘れてるかもだけど、俺って1日で2人に告白する屑なんだよね」


 自分で言ってて悲しくなるけど。

 同時に告白なんてしなければ良かったと心底後悔しているけど。


「ん、私は気にしない。屑はもっと屑だから」

「きっと柚が許しても親御さんは俺を殺そうとして来そうだよ。社会的に」


 ただでさえ学校では既に社会的に死んでいるのに。

 

「ん、家に親居ない」

「このデカい家に1人暮らしマ? 柚の両親ってどんだけお金持ちなの? と言うか俺的には御両親が居てくれた方がありがたかったんだけど」


 正直女の子が親が居ない家に男を呼んだらいけないと思う。

 仮に俺が柚を襲ったらひとたまりもないぞ。

 まぁそんなこと死んでもしないが。


 俺は純愛が好きなの。

 無理矢理系はあまり好きじゃないの。


「ごちゃごちゃ言ってないで、入る」

「あ、はい。お邪魔します」


 俺は緊張で震える手を抑えながらゆっくりと家にお邪魔させて貰う。

 そして入ると同時に思わず感嘆の声が漏れる。


「ひ、広いなぁ……1人でよくこれを維持できるな」

「ん、お手伝いさん居る」

「おぉ……流石お金持ち……と言うかそれじゃないと1人でこの広い家を掃除なんて出来ないか」


 俺が普通に驚いていると、柚は玄関で靴を脱いでスタスタと何処かに向かい出す。

 俺はこのまま此処で待っていようかと思ったが、柚が俺に手招きして来たので、取り敢えずついて行くことにしたのだが……柚がとある部屋の前で立ち止まる。

 見た感じ特に何の変哲もない扉なのだが……


「どうしたんだ? 此処に何かあるのか?」

「ん、ゲームも此処にある」

「へぇ……ゲーム部屋的なもんか。流石に凄いな……」

「ん、私の寝る部屋」

「…………ん? 何の部屋だって?」


 幾ら何でも、初めて呼んだ男を自分の部屋に呼ぶわけないと思い、思わず聞き返す。

 しかし、柚は再び『私の寝る部屋』とだけ言って扉を開けた。

 するとそこには———


「いや女の子とゲーマーが同居してんじゃねぇか。普通にオタクの夢の様な部屋だぞ」


 ———3枚のモニターに、何個ものマイク、可愛らしいキーボードとマウスパッド、更には良さそうなゲーミングチェアに、超高そうなゲーミングPCまで完備されている。

 そしてそのゲーマー空間のすぐ後ろには、沢山のぬいぐるみや、最近Yo◯Tubeで話題沸騰中の女性Vtuberのグッズが置いてあった。


 最近密かに推していた、登録者100万人越えの個人勢Vtuber『愛ちゃん』こと『柚木愛羅』のまだ発売されていないグッズまで。

 此処から推測されることは———


「こんなこと聞いてはいけないと思うんだけど……」

「ん、私、Vtuberやってる。名前は『柚木愛羅』」

「いや自分から明かすなって! 俺が折角まだ名前も出さずに迷う素振り見せたのにさぁ! まぁ名前とか考えればにすぎだけどさぁ!」


 Vtuberって身バレするの普通嫌だよな?

 こんな軽々とバレる様な部屋に移動して露骨に自分のグッズ置いておく———あ。


 俺は此処まで考えた後で、ふとこの前、柚に勉強を教えてもらう際に交わした約束を思い出した。


『ん、任せろ。報酬は……私とゲームする、だけでいい』


 ———と言う約束を。


「ま、まさか———」


 俺が一歩後退りすると、柚が一歩近付いて来て言った。


「ん、私と、一緒に配信しよ?」





 ———拝啓、我が両親と妹へ。

 お元気にしているでしょうか。

 俺は元気ですが元気ではありません。

 いつの間にか推しとゲームをすることになったそうです。

 こう言う時は———どうすればいいでしょうか?


 柚との約束を深く考えず軽く了承した過去の自分を殴ってやりたい。


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