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第25話 陽キャも陽キャで大変なんだな

お昼上げる。

「———くそっ、忌々しき柚め……! アイツのせいで1番面倒で最悪な担当になってしまったじゃないか……ッ!」


 俺は執事の担当者の集まった場所で、誰にも聞かれない様に小さく呟く。

 ただ、恨み言の1つや2つは出てもしょうがないと俺は思う。


 だって———柚のせいで隠キャボッチとなった俺が、クラスの中でも特に光り輝いている陽キャ共と関わらざるを得なくなったのだから!!


 余談だが、執事を決める時は1時間程揉めたのにも関わらず……他の担当は全て1分以内に速攻で決定。

 最終的には、柚のマイペースにクラス全員が巻き込まれてしまう結果となった。

 

 ———と、俺は別のことを考えて現実から必死に顔を背けているのだが……そろそろ限界が訪れそうだ。


 ———と言うかもう無理!

 さっきから陽キャの視線が痛過ぎて泣きそうなんだが!?

 俺が何をしたって言うんだよ……何なら俺は執事にならない様に必死に実行委員を説得してたじゃん!


 その理不尽さ故に、俺のテンションが完全にバグる。

 そして、遂に、俺がこのクソ重たくて冷たい静寂を破ることとなった。


「え、えっと……何か俺に、い、言いたいことがあるならどうぞ……」


 自分でも驚くほどの、それはもう頼らなくか細く上擦った声が出た。

 しかも、今まで俺自身すら聞いたことが無いほどの掠れた声が。


 ……正直めっちゃ恥ずい。

 何なら、今すぐ穴が無くとも自ら穴を掘ってそこに頭から突っ込みたい気分だ。

 あぁ……塵となって今すぐに消えてしまいたい……。


 俺が完全に滅入っていると、身長178センチの高身長を持ち、明るい茶髪と優しげな雰囲気を纏った我がクラス一のイケメンである神山朝陽(かみやまあさひ)———彼女持ち。彼女は3年生一可愛い、ほんわか系美少女。羨ましい———が、心配そうに訊いてきた。


「……大丈夫……?」

「……大丈夫に見えますかね?」

「大丈夫じゃ無さそう……だね。俺も同じ様な目に遭ったからよく分かるよ……」


 神山朝陽が苦々しげに顔を歪めながらそう溢した。 

 しかも普段キラキラな笑顔を振りまく神山朝陽とはかけ離れた、少し影の差す暗い顔を晒している。

 その負の感情がありありと浮かぶ神山朝陽には嘘を言っている様子はなく、本気で俺と同じ目に遭った様だ。


 どうやら俺は、クラス一の超絶陽キャと同じ経験をしたらしい。

 ははっ……よりにもよって何で陽キャとの共通点がこんなのなんだろ。

 せめて『彼女持ち』とか言う共通点がよかったな。


 あぁ、彼女欲しい。


「因みに聞くんすけど……何が遭ったんですか……?」

「俺はね、彼女が言ったんじゃないんだけど……同じバスケ部の3年生の先輩から部活の出し物で1番面倒な役回りをやらされたり、俺の彼女はバスケ部のマネージャーなんだけど、敢えて遠ざけられたり……他にもあるけど聞きたい?」

「遠慮しときます。と言うかこれ以上は俺のハートが持ちません」

「……ありがとう。これ以上の話は警察沙汰だからね」


 …………おい、何だよ警察沙汰って。

 普通に生活してたら人生で数度しか使わなそうな言葉出て来たぞ。

 え、この学校って美少女1つでこれほどまでに荒れる所なの?

 学校(ウチ)ってそんな治安悪かったんだね。


「———とまぁこんなこともあるくらいだから、あまり不安そうな顔はしないでいいと思うよ。執事の所作とかは諸事情で習ったことがあるから、教えてあげられるし」


 神山朝陽はニコッと俺を安心させる様な笑みを浮かべて言った。


 なるほど、確かにコイツは陽キャと言われるだけのことはあるな。

 真の陽キャは誰にでも優しいってか。


 どうやらこのクラスにも、俺を気遣ってくれる陽キャが存在しているらしい。

 と言うかこの気持ちを共有出来るのは、正直結構嬉しかった。

 


 まぁ———彼女持ちなのは心底気に入らないけど。


 

 余談だが、執事担当の陽キャ達は皆が皆彼女持ちだった。

 そして俺に優しくしてくれたし、悪い奴らではないんだろうが、疎外感半端なかった。


 家に帰って、陽キャ達が羨まし過ぎて発狂したのは言うまでもないだろう。

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