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第23話 波乱のテストの返却

 ———遂にこの日がやって来た。

 俺は待ち侘び、クラスメイトは来ない事を願った日が。


 そう———テストの返却日である。


 しかも、我が学校は他とは違って少し特殊だ。

 

 まず、テスト返却にまるまる2時間使う。

 更に学年順位が1位から最下位まで掲示板に貼られると言う鬼畜仕様のため、テストが出来なかった人は完全に顔が死んでいた。

 因みに俺はいつも死ぬ側であったが、今回は柚と姫野さんの助けもあり、人生で1番出来たので学年順位が非常に楽しみである。


 俺は柚と姫野さんと共に、順位表の貼られる掲示板から少し離れた所で待機していた。

 ただ、今日はテストの返却日というのもあり、いつもよりも俺達への視線が少ない。


 俺が内心喜んでいると、隣でハラハラドキドキと言った感じで緊張した趣きの姫野さんが、少し声を震わせて言った。


「私……人に勉強を教えたことがあまりないので、佐々木君の結果がとても気になりますね……ちゃんと教えれていたでしょうか……?」

「安心して姫野さん。めちゃくちゃ分かりやすかったから。俺の自己採では余裕の平均70点だから」

「ん、私も弟子の結果を見る」

「別に弟子ではないけどな。勿論感謝はしてるけど。ありがとうございます」

「ん、分かってるなら良い」


 どうやら柚も姫野さんも俺の順位を見に来た様だ。

 確かに、姫野さんは毎回1位だし、柚も余裕で上位に居るので、あまり自分の順位に興味ないのかもしれない。


「おいお前ら退けろ〜〜今から順位表貼ってやるから」


 俺の担任が、気怠そうに人混みをかき分けてやって来た。

 その手には見えない様にクルクル巻かれた大きな紙が握られている。

 

 順位表が来たと分かった瞬間、生徒達の騒めきが止み、辺りがシンと静まり返った。

 そんな生徒達の姿に若干引き気味の担任が掲示板に順位表を———


「———しゃキタぁああああああ!! 過去最高の53位じゃああああ!!」

「キャアアアアアア!! 私、27位よ! 人生最高順位よ!」

「あ……まぁそんなもんだよな、うん……」

「くっ……また100位……これで4回連続の半分&平均だと……!? 俺は呪われてるのか……!?」


 ———貼った瞬間に生徒達が押し寄せ、それぞれの順位を見ては喜ぶ人、納得げな人、悔しがる人など……って最後の人すげぇな。

 4回連続平均ってあり得るんか?


 俺が軽く戦慄していると、焦れた柚が順位を見ようとぴょんぴょんと跳ねる。

 そうすると———当たり前だが柚の2つの小玉メロンが大きく揺れるわけで……。


「「「「「「……っ!?」」」」」」


 順位表を無視して柚の胸部をガン見する男子が現れ始めた。

 因みに俺はスッと予め目を逸らしている。

 仮に見ていたら、この後柚に何言われるか分かったもんじゃないからだ。


 そんな俺の配慮も男子の視線にも気付かず、柚はまだ飛び跳ねていた。


「んっ、んっ、んっ……えーたの順位は?」

「その前にジャンプするの止めようか。男子の視線が現在進行形でやばいことになってるからね?」

「ん、これ?」


 柚は俺の言ったことを理解したのか、自分の膨らみに目を向ける———だけでなく、まさかの自分で持ち上げた。 


「「「「「お、おおおおお!!」」」」」


 その瞬間に上がる男子の喜びの雄叫び。

 そんな男子達を見て、柚は首を傾げた。


「これの、何がいいの?」

「この際分かってなくていいから一先ず止めようか!?」

「そ、そうですよ柚ちゃん! 女の子がそんな格好するのは破廉恥ですよっ!」

「ん、餌に群がるアリみたい」

「ほんとマイペースだなおい!? それに普通に失礼だろ! アリに!!」

「「「「「「アリに!?」」」」」」

「ゆ、柚ちゃん……!!」


 姫野さんがすかさず柚の両手を掴んで胸から手を離させると同時に、俺は男子に叫ぶ。


「おい見せ物じゃねぇぞアリ以下の者共! それに———お前ら一旦周りの女子の目を見てみろ!」

「「「「「「…………!?」」」」」」


 男子達は周りを見渡して数秒後、ピタッと揃いも揃ってその動きを停止させた。


 そう———柚のたわわ(おっぱい)に目を奪われていた男子達を、女子達が恐ろしく冷たい眼差しで見つめていたのだ。 

 俺の時と同等以上に冷たい眼差しが、柚のぱいおつを見ていた男子達にクリティカルでダメージが入り、男子達のライフを一気にゼロにする。


「……今の内だな」

「ん、賛成」

「そうですね」


 項垂れ絶望に呆然とする男子達と極寒の眼差しを向ける女子達の間を抜けて、俺達は何とか順位表の前へとたどり着く。

 そして上から探して行き———見つけた。


「———33位じゃん……」

「す、凄いです佐々木君っ! 一回で100位以上順位を上げるなんてっ!」

「ん、私達が教えたんだから妥当。ただ、えーたもよく頑張った」


 姫野さんは少々興奮気味に自分のことの様に喜んでくれて、柚が本当に珍しく俺のことを褒めてくれる。

 因みに姫野さんは相変わらずの1位で、柚は7位と俺とは別次元に高い。


 点数で言えば、5教科500点中俺が374点なのだが……柚は434点、姫野さんなんて2位と20点以上引き離して492点である。


「柚も姫野さんも異次元に高いな」

「ん、いつも通り。でも、少しミス多い」

「私もいつも通りですかね……? ただ、1問ミスがあった様なので、後で復習しておかないと……」

「ま、真面目だなぁ……これが1位の秘訣かぁ……!」


 俺なんて、テストの結果見たら直ぐにポイが普通なんだけど。

 

 この時、俺が如何に頭のいい人達に教えられていたのかを身を持って理解した。

 それと同時に、次も頼むことを決めた。

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― 新着の感想 ―
[一言] テストの点数はラストからトップに進んだほうがリアリティがあると思います 印刷の字も最下位を7ポイント位にして、1位を40ポイント位にすればリアリティが上がるでしょう。 芽衣は奨学金取れま…
感想一覧
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