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第20話 カフェ

次は夕方。

「…………此処が……学年のマドンナ、姫野さんのバイト先……」


 俺はコ◯ダ珈琲の様な感じの個人経営のカフェを眺めながら呟く。

 いつもの俺なら絶対に行かないし、見向きもしないであろう場所だが……姫野さんのバイト先と言われると毎日でも通いたくなる。

 

 なるほど、これが美少女の力か。

 学校の生徒全員にこの情報流せば姫野さんの給料上がるかな?

 まぁもしそれで上がるなら既に姫野さんが言ったそうだし、言っていないと言うことは何かしら不利益があるんだろうな。


「ん、早く入る」

「ちょ、ちょっと待ってって! まだ心の準備というものが———」

「い、いらっしゃいませっ! 2名様で宜しいでしょうか?」

「ん」

「では此方の席へどうぞ」


 店内に入ると、エプロンに身を包み、ベレー帽を頭に被った姫野さんが接客を担当してくれた。

 しかし、知り合いだからか、少し恥ずかしそうに頬を染めており、その姿がまた良い。


 そんな可愛い店員に連れられて、俺達は4人掛けのテーブルに座る。

 すると、店の奥から如何にもこの喫茶店の店長そうなイケおじが現れ、朗らかな笑みを浮かべて俺達に言った。


「御来店誠にありがとうございます。私はこの喫茶店の店長を務めている。君達がウチの看板娘のお友達かな? どうだね、芽衣ちゃんのこの服装は?」

「めちゃくちゃ可愛いです。この姿が見れるなら毎日通いますね。流石です店長」

「ん、超絶キュート。似合ってる」

「ははっ、そうだろうそうだろう! 何せ美人な芽衣ちゃんの為に特注で作ったからね。彼女に着せるのに中途半端な服じゃ駄目なんだよ」


 ……よく分かっているじゃ無いか店長。

 アンタ……もしかしなくても天才だな?


「や、やめて下さいよ……っ! 言われている身としては恥ずかしいんですからねっ」


 俺が尊敬の目を店長に向けていると、横で羞恥に顔を真っ赤にした姫野さんが、顔を抑えてプルプル震わせて悶えている。

 その姿もまた一段とかわよ。

 

 だが、何故か、何かもう少し悶えさせたくなってきた。

 更にそれは俺だけではなく、柚も店長も同じ様だ。


「ん、超キュート。写真撮りたい」

「任せな柚。俺がこういう時の為に一眼レフを持ってきているんだ」

「ん、ナイス。えーたにしてはやる」

「素晴らしいな少年。さて、私が撮ってあげよう。何、これでも元カメラマンなのだよ」

「あっ、あっ……」


 こうして姫野を置いてけぼりにしてトントン拍子に話は進み、遂には店長がクローズの看板を外に出して完全に貸切にしてくれた。

 それで何枚か写真を撮った後で、コーヒーとケーキを無料で出して貰い、4人で話すこととなった。


「あ、あの店長……」

「大丈夫だよ芽衣ちゃん。ちゃんとこの時間も時給出すから」

「い、いえ、大丈夫ですっ! 働いていないのにお金を貰うのは———」


 ブンブン頭と手を振って遠慮する姫野さんに優しい笑みを浮かべて店長が言う。


「いいんだよ芽衣ちゃん。折角初めてのお友達が来たんだ。そんな時にも高校生に働かせる程酷い大人じゃ無いよ」


 いや、普通は働かせるんよ。

 ただ店長……アンタがめちゃくちゃ器広くて優しいだけだろ。

 何だよ此処……俺も働きたいんだけど。

 何なら此処に就職してぇわ。


「ほ、本当にありがとうございますっ!」

「ははっ、良いんだよ。私自身も気になっていたからね。毎日芽衣ちゃんが2人のことを楽しそうに話すから」

「て、てんちょ……!?」


 姫野さん……俺達のこと話してたんだ。

 美少女の会話の種になれるとか……光栄過ぎて涙出そう。


「なぁ柚……今夢じゃないよな?」

「ん、私が殴って目を醒させてやる」

「ああ! 此処は現実だ! なんて素晴らしい!」


 俺は、握り拳をチラつかせてマジで殴ってきそうな柚に怯える。

 そんな俺の姿に姫野さんも店長も笑っていた。


「はははははっ! 面白い子達だな。でもとてもいい子そうじゃないか。よかったね芽衣ちゃん」

「はいっ! 2人は私の大切なお友達ですっ!」


 そう言って少し照れ気味だが、嬉しそうに笑顔を咲かせる姫野さん。

 その姿は学校で浮かべている笑顔などより遥かに綺麗で可愛かった。


 その姿を見て、俺と柚は一度アイコンタクトで話し合い———毎日此処に通うことを決めた。




 余談だが、店長手作りのコーヒーもケーキもコーヒーゼリーもどれもめちゃくちゃ美味かった。 

 真剣に就職を検討しようと思う。


 

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