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第16話 テストと言えば、そう、勉強会

お昼に上げる。

「———お前達、来週からテストだが……勉強しているか? 文化祭はテストの後だぞ」


 柚と姫野芽衣のクラスである2組の文化祭の出し物が『メイド喫茶』だと判明した2日後。

 朝のSHRで、担任が、唐突に若干浮かれていた俺達を現実に戻させてきた。


「赤点取ったら文化祭の日に補習するからな? ちゃんと勉強しろよ」


 それだけ言うと、別の伝達事項を話していく担任。

 その間、皆はまるで死んでいるかの様に静かだった。

 しかし、当たり前だが死んではおらず、殆どの生徒の顔に焦燥と不安の感情がありありと浮かんでいる。


 恐らく殆ど勉強していないのだろう。

 2年は高校に慣れたと言うこともあって、『中弛みの学年』とも言われるほどだ。

 ただでさえあまり頭の良い奴らが集まっているわけではないウチのクラスにちゃんと勉強している奴などいるはずもない。


 全く……毎日勉強していないからそんな焦ることになるんだよ。

 毎日コツコツやっていればこんなに怯えなくてもいいのにな。

 全く……馬鹿な奴らだ。


 あ、因みに、こんな偉そうなこと言っているけど、俺の成績は平均よりも大分下です。








「———柚様、どうか私めに勉強をご教授して頂けないでしょうか?」

「ん、無理。自分で精一杯」


 場所は変わって屋上。

 俺は、俺が作った弁当を食べる柚に、誠心誠意、日本の最上級の礼儀である土下座でお願いしていた。

 

 もう自然に柚とご飯を食べているが、一緒に食べないと、拗ねるしゲームあげないと脅されるので、諦めて一緒に食べている。

 最近は、柚が俺を呼びに来ても、女子を始めとしたクラスメイト達は、柚が怖いのか何も言わなくなった。

 まぁその代わり視線の殺傷力が高くなっている気がするが。


「———って今はそんなことどうでも良いや。頼む、そこを何とか! あの裏切り者は使えないし、1人じゃ絶対に点数上がんないから、誰か頭いい人が必要なんだよ!」


 と言うか、今回は、姫野芽衣と柚がメイド服を着るという今世紀最大のイベントがあるので、くだらない補習で見逃すわけにはいかない。

 怠惰な男(俺も含む)が真に本気になれるのは、女と金のためだけなのだ(自論)。

 

 そんな決意を胸にした俺に、柚が理解不能と言った風にコテンと首を傾げた。

 その何気ない仕草1つが、恐ろしいほど絵になるのは美少女の特権かもしれない。


「何故?」

「何故とは?」

「何で私に?」

「ふっ……愚問だな。俺の周りに頭のいい奴が居ないからだ。頼む! もう友達が柚しか居ねぇんだよ……」

「……っ、友達……」

「……あえ? と、友達だろ? 俺達友達だよな……?」


 『友達』と言う言葉に反応して少し表情を崩して驚く柚に、俺もいろんな意味で驚く。


 え、もしかして友達だと思ってたの俺だけ?

 こんなに毎日一緒にご飯食べてるのに?

 流石にこれで友達じゃないって言われたら普通に泣くよ?

 確定で学校休むよ?


 俺が内心戦々恐々としていると、柚は少し口角を上げ、いつもより弾んだ声言う。

 それは、まるで自分に言い聞かせる様にも捉えられる感じの声色だった。


「ん……友達。私と、えーたは、友達っ」

「だ、だよなっ!」


 友達と言ってくれたことに俺は一先ず胸を撫で下ろして安堵する。


 ふぅぅぅ……危ねぇ……危うく先日のストーカーと同じになる所だったぜ……。


「———と言うことでどうかこの私めに勉強を教えて下さい」


 俺が改めてお願いすると、柚は仁王立ち&ドヤ顔で頷いた。


「ん、任せろ。報酬は……私とゲームする、だけでいい」

「……本当にそんなのでいいのか?」


 俺はあまりにも要求の軽さ……と言うか安受けする柚に驚く。


 流石の俺でも一緒にゲームするだけで何かはしないぞ?

 まぁ柚が相手なら、もはや俺の報酬(ご褒美)でもあるけどな。


「ああ、それで教えてくれるならお安い御用だ! これから宜しくお願いします!」

「……ん、ありがと」

「……??」


 俺はこの時、何故柚にお礼を言われたのか分からなかった。

 それどころか、ちゃんと『ゲームをする』の意味を理解していなかった。


 しかし———その理由を俺が知るのはテストが終わった後のことである。

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[気になる点] >ただでさえあまり頭の良い奴らが集まっているウチのクラスに あまり頭の良くない かな? [一言] >ちゃんと『ゲームをする』の意味を理解していなかった。 ドルアーガーの塔をクリア…
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