酔いどれの相手
ーー??
店先にいたソレイュがこっちに気付いた。
誰かと話しるのか…眼で「何か」を必死に訴えてる。
「あ〜!モアだぁ〜!やったぁ!モアに会えたぁあ!」
ーー面倒くさい…酔っ払い。
「何か」とはこの事だったのか…。
瓶が2本空いてる。
「モぉアぁ〜!!俺、今日…1人なん…だよぉ〜!俺と呑んで…くれよぉ〜!!」
ーー''ッ。
「お願いだからぁ〜!」
ーー泣きつかれも…。
後ろでソレイュは呆れ顔。
絡まれてる所を他の客が眺めてる。
''〜〜ッ。面倒くさい…。
「さぁ…座って!呑んで!!ソレイュ、カッピァァアッ!」
ーーはぁ。
この酔っ払いめ。
相当、酔っ払てるな…。
待って。
待って。
どうしてこうなった⁈
あれから、何度も同じ話をされるわ。
昔の話をされるわ。
仕事の細かい話から、愚痴まで聞かされるわ。
太腿、撫でられるわ。
散々。
で、太腿は定位置になった…そこに手を置いて良いとは言った覚えがない。
「それでね、それでね。モア…。」
ーー寝たッ⁈
やったぁ‼︎解放される‼︎
「寝ちまったか?」
あぁ。
「どうしよ?とりあえず、中に運ぶの手伝ってくんねぇ?」
あぁ。
ーー……ソレイュからも話を訊いておくか。
ソレイュ、ェリントン社ってどんな所?
「あ〜最近、大きくなってて…テリネとかソシスゥ扱ってる所だなぁ。俺もよく使ってる〜。だから、頼まれたんたけどな〜!」
へぇ。
「そこのオフェルニァンを探して欲しいってデュテゥ〜だろ??
どうだ?ソノ、 オフェルニァンは…見つかりそうか?」
まだなんとも。
ーーもう帰っていい?
「そっかぁ…見つかるといいなぁ〜。
ぁ、モア?!もう、帰るのか?俺は、アンドレさんが起きるまで待つけど?」
あ。明日から仕事でしばらく来ないから。
「来ないのか…。」
ーーぃや、なんの顔。
ァ・デュ。
店を出て、右に曲がって、裏路地に入る。深緑の扉を開けて、螺旋階段を登る。
ーーあ。
自分の階だけ灯りが切れてる。
部屋の扉を開けて右側の扉に。
ベッドに倒れ混んで、そのまますぐに眠むった…。
振り返る誰かに。
早くおいで。
そう、言われた。
手を伸ばして、追いかける。
追いかける。
走っても。
走っても。
手は届かない。
早くおいで。
また言われる。
走って。
走って。
追いかけて。
追いかけて。
手を伸ばしても、届かない。
遠く、遠くなってく後ろ姿。
消えてく。
消えてく。
霞んでく。後ろ姿。
霞んでく。
愛しい「あいつ」の後ろ姿。