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6.あなたに“あの人物”のことを話します

シャーマンは呪術師の一種だそうですが、シャーマンと言えば、第二次大戦でアメリカ軍がイギリス軍に供与したM4中戦車のことだと思います。


異論は認めます。

 私は地下ダンジョンの隠し部屋を出て、ヴェリアを待たせていたところまで戻りました。この時、呪われてしまったことは彼女に黙っておきました。自分の失敗でそうなったので、恥ずかしくて言い出せなかったのです。


 地下ダンジョンを脱出した翌日も、まだおへその下は黒く染まったままでした。それどころか、昨日よりも拡大しているように見えます。


 このままにしておくのは絶対に良くない。そう思い、私は行動を起こします。


 以前、ヴェリアの友人に優秀な呪術師がいると聞いたことがありました。その友人を紹介してほしいとヴェリアに頼み、家の住所を教えてもらいます。


 実家の薬屋で手伝いをしていたグイさんという名の呪術師は、私よりも年下に見える少女でした。


 あなたはセーラー服という、大きな(えり)を特徴とする衣服は分かりますか? 私の住む王国では海軍の男性が主に着用していて、女性が着ているのはめずらしいです。

 黒髪のグイさんは襟が白い薄茶色のセーラー服を着ており、下には茶色いミニスカートを穿()いていました。


 私はグイさんに、お店の奥の居住空間へと案内されます。そこでグイさんから聞いたところ、あの宝箱は、“ある人物”が設置した罠だったらしいのです。


 そろそろ“あの人物”について、あなたに説明しなければなりませんね。


 あの人物と言うのは元勇者のことで、名はクワッド=モコシエと言います。


 十年ほど前、屈強な男性達が構成する最強の冒険者パーティー『スタッグハウンド』に、モコシエは所属していました。その頃は自分の実力を隠して無能を演じていたらしく、見かねたパーティーメンバー達から追放されました。


 その後、モコシエはどういうわけか女神様のご加護を手に入れます。

 元々の自分の実力と女神様の力を駆使し、この国に大いなる被害をもたらしていた魔王を討伐しました。


 こうして、勇者モコシエは民衆達から英雄と褒め称えられたのです。


 と、そこまでは、まあ良かったのですが、王立騎士団の最高位となる元帥(げんすい)に任命され、モコシエは権力を手にしました。気に入らない役人をクビにしたり、美少女達を屈服させてハーレムを形成したりと、それまで以上に自分勝手な振る舞いを始めました。


 宝箱の罠も、他人に苦しみを与えて楽しむ目的で、各ダンジョンに設置していたようです。


 モコシエは今でも、裏で様々な犯罪に手を染めている黒幕だという話が絶えません。また、凶悪な魔物が今でも多く生存するのは、彼が育成しているんじゃないかという噂さえもあります。


 不運なことに、モコシエにはまだ女神様のご加護があり、誰も口答え出来ませんでした。それが例え、国王であってもです。


 現在の陛下は、何年か前に先代から王位を引き継ぎました。現陛下は優秀な王様ではあるのですが、現在に至るまで、あの男を未だに野放しにしているのは唯一の汚点だと言えるでしょう。


 ということで、私は、呪いで黒くなった部分をグイさんに見せて、彼女にどうすれば良いのかと相談しました。


「セティーブさん。モコシエ殿に土下座して命乞いするのが、一番手っ取り早いっすよぉ?」


 まさにグイさんの言う通りでしたが、私はあんな男に頭を下げたくはありません。彼女にその意思を伝えます。


「私がその呪いを解いてあげてもいいっすけどぉ……」


 グイさんは私の横に来て、耳打ちをしました。私では到底払えない額を聞いてしまい、愕然(がくぜん)とします。


「その呪い、一週間ぐらいで全身に回って死ぬっすよ。それに、モコシエ殿は冒険者パーティーが大嫌いっすからねぇ。放っておいたら呪いはパーティー全員に感染して、アナタのお仲間さん達も、あの世へ道連れですぅ、ふふふ……」


 嫌味が強く含まれた笑顔で、グイさんに言われました。


 罠にはまった冒険者だけでなく、冒険者パーティー全体にも効果がもたらされる。


 自らそう仕向けたとは言え、冒険者パーティーから追放された過去を持つモコシエらしい、非情な呪いだと判明しました。


「セティーブさんだけは、私かモコシエ殿に頼むしかないっすけど、ヴェリアちゃん達を助ける方法は、タダで教えてあげてもいいっすよ?」


 そうグイさんに言われ、私は即座に懇願(こんがん)しました。


「方法は簡単っすね。パーティメンバー全員を追放すれば、被害はセティーブさんだけで済むっすよ」


 答えを無事にもらった私は、この後、パーティーメンバーの死亡を回避するため、デオ達を追放したのです。

私は長砲身のシャーマン・ファイアフライが好きです。

以上、本文と全く関係のない作者の好みでした。


今回も最後までおつき合い下さり、ありがとうございます。

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