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5.こんな非常事態に、あなたはどう対処しますか?

緑の短い三つ編み一本のセティーブと、黒の長めの三つ編み二本のヴェリアが、地下ダンジョンを進みます。三つ編み×三つ編み。

 あなたには、パーティーメンバーを追放する一週間ほど前のお話をさせて頂きます。


 あれは、近場の地下ダンジョンに(もぐ)った時のことでした。別段、難易度の高いダンジョンでもなく、私はヴェリアと二人だけで探索をしていたのです。


 途中、隠し部屋をヴェリアが発見します。そんな場所に隠し部屋があったなんて、聞いたことがありません。危険な罠がある可能性もあったため、私が一人で向かいました。


 ランプを持って、周囲を見渡します。


 ほぼ正方形の隠し部屋は、あまり広くはありませんでした。その中央に、大きな宝箱が一つあるだけです。私はランプを下に置きました。


 不自然に置かれた宝箱は、大抵は罠も一緒になっています。案の定、近寄ると宝箱の(ふた)が急に開き、大量の黒い霧が放出されました。


 私が風の魔法で跳ね返すと、闇は霧散(むさん)します。


 『宝箱』というのは、人間がつけた呼び名で、実際は、魔物が収集物を入れるための大きな容器です。一部の魔物は、魔力を含んだ宝石などをため込む習性があるため、宝箱と呼ばれるようになったらしいですね。


 宝物には中身を奪われないよう、罠が発動するものもあります。今回の霧も、そんな罠の一つでした。


 他にも仕掛けがある可能性も考えられたので、私は高位の解除魔法を宝箱に放ちました。私の推測は的中し、何かの魔法が解除されたようです。


 この時の私は、完璧な対処をしたと思い込んでいました。


 ランプを持ち、私が宝箱の中を(のぞ)いてみると、なぜか、白い女性下着の上下揃いが入っていたのです。


「えッ? 私のっ?」


 私はひどく慌てました。宝箱の中の下着は、私が身に着けているそれとそっくりに見えたからです。


 すぐに私はしゃがみ込みました。床に置いたランプの光を頼りに、自分のスカートをめくり上げます。


 スカートの下には、紺色のブルマを穿()いていました。


 あなたはブルマをご存じですか? 下着を(さら)さないようにする、見えても安心な重ね履きのことです。スカート着用の女性冒険者は、半数ぐらいが身に着けているのではないかと思います。


 ブルマのゴムを引っ張って、私は下着を穿()いていることを確認しました。


 この目を離した隙に、宝箱の中からまた別の暗闇の霧が噴出(ふんしゅつ)されます。私の下半身にまとわりつくと、吸い込まれるようにして消えました。


 どうやら罠は二重(にじゅう)ではなく、三重(さんじゅう)だったのです。三重(さんじゅう)になっている罠なんて、滅多に聞きません。あるいは、二度目の解除魔法が引き金となる罠だったのかもしれませんが、今となっては謎のままです。


 とにかく、私は罠によって、呪われた状態になりました。


 ブルマだけでなく中の白い下着も引っ張って、ランプの明かりを照らします。おへそよりも下辺りの肌が、黒く染まっているのが分かりました。痛みはありませんでしたが、明らかに不気味な闇の色で、私は(ひど)く不安になってしまいます。


 宝箱に入っていた下着は幻だったようで、再び中を(のぞ)いた時には、(から)になっていました。

地下ダンジョンって、魔物がいなくても、暗くて怖そうですよね。


今回も読んで下さり、ありがとうございます。

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