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9.隣国で“悪役令嬢”にされた母親

貴族の階級は、公爵が最上位で、次が侯爵です。伯爵、子爵、男爵と続きます。

 あなたには、まだ私の母親のことを話していませんでしたね。


 私の母は、隣国の子爵家の長女でした。


 母がまだ貴族令嬢で、貴族と平民が通う学園の生徒だった頃、侯爵家との婚約者がいました。それに、学園内でもそれなりに上の地位にいたそうです。


 ですが、上には上がいます。発言力がより高い、とある公爵家の令嬢が従える取り巻きの一人として、母は学園生活を過ごしていました。


 当時の母は、その公爵令嬢の言いなりでした。公爵令嬢が気に入らない平民の女生徒を、一緒にいじめていたそうです。母はいじめに加担したくはなかったのですが、逆らって実家や(とつ)ぎ先に被害が出てしまうことを恐れ、従うしかありませんでした。


 平民の女生徒への陰湿ないじめは、どんどん激しくなりました。しかしながら、彼女に()れた国の王子の一人が彼女を助けようと、いじめる者達に制裁を(くだ)そうと動き出します。彼はすぐに犯人を突き止めました。


 この時、主犯格の公爵令嬢が罪を受けていれば、私の母、そして私の人生は、変わっていたことでしょう。


 公爵令嬢と母を除いた取り巻き達は、全ての罪を母になすりつけました。


 悪役にされた母は正直に弁明しましたが、自身もいじめに加担していたことを認めると、侯爵家との婚約は破棄されました。他の生徒達からは悪役令嬢と(ののし)られ、学園を退学にさせられます。両親からも縁を切られ、国外追放の身となりました。


 私がこの過去を初めて聞いた時、すごく腹を立てましたが、母は処刑されるよりかはまだ良かったと言っていました。


 追放された後、母は移り住んだこの国で細々と暮らし、たまたま出会ったこの国の騎士……私の父と結ばれ、私が生まれたのです。


 私は幼少の頃から、母から何度も、自分のようになってはいけないと聞かされていました。私はその忠告がもっともだと思い、これまで、誠実に生きてきたつもりです。


 私が学園で学んでいた時もいじめがありましたが、私は見過ごさずにいじめられる生徒を助けましたし、悪いことや不正には断固として反対してきました。それが原因で、学園の風紀係を押しつけられたり、不良から恨みを買ったりすることもありましたが。


 ここまでの話で、あなたは私の母にあまり良い印象をお持ちではないかもしれません。


 母の名誉のために書き記しますが、私の知る母はいつも優しく、気品があり、努力を(おこた)らず、父や私のことを常に考えてくれる、模範的な女性です。今の母がもし貴族の令嬢のままだったら、故郷の領地の繁栄は保証されていたでしょう。

 隣国の祖父母も元婚約相手も王子も、あの国では稀有(けう)なぐらいに有能な母を追放したのですから、愚か者どもとしか思えません。


 美人で、性格も美しい、母。


 だからこそ、あの愚かなモコシエに母が侮辱されるのが許せませんでした。


 私は、あいつの卑劣な手口には屈しません。


 例え命を失おうとも、私の信じる魂だけは、絶対に守ろうと誓ったのです。

多かれ少なかれ、人は親の影響を受けるものです。今回は悪役令嬢の娘セティーブのお話でした。


最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

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