深窓の令嬢は今日も脱走している
うららかな日差しが噴水の水面を輝かせ、青空から吹く風が澄んだ空気を運んでくる。
メディンソン子爵家の令嬢フェネリアは青色無地の大きな帽子を深く被り、カツカツと踵を鳴らして軽快に大通りを歩いた。
----今回も上手くいったわ!
今日は月に一度の召集日。フェネリア以外の家族は皆、領主の城へ出向いているのでガードが緩む日だ。
朝から仮病を使って部屋にこもり、使用人には絶対に誰も来ないようにと釘を刺す。屋敷の奥にある、あまり人の来ない部屋でひっそりと生活しているので使用人の目をすり抜けるなど朝飯前だ。
脱出用の服に着替え、髪を纏めて帽子に詰め込んで、動きやすい靴に履き替える。皆が帰ってくる夕方になる前まで街に出て、日ごろの鬱憤を晴らすのがフェネリアの唯一の楽しみだった。
クルルルル…
薄い腹が猫の喉のような音を鳴らしている。これが犬の唸り声に変わるまで、そう時間はかからないだろう。
----お腹空いたわ!はやく!はやく!
フェネリアには毎月必ず向かう場所がある。待ち合わせ場所で有名な大きな木のある角を曲がって、しばらく歩いた場所にある焼き菓子屋『ルントン』だ。この店の焼きたてスコーンは絶品で、二枚にスライスしてから間に蜂蜜を塗ってくれる。ホクホク、サクサク、甘々で、毎回二つはペロリと食べてしまう。これの為に朝食を食べずに出てくるのだ。
----美味しい〜!幸せぇ〜!
今食べる分と後で食べる分、そして余分にもう一つを胸に抱え、歩きながら頬を揺らす。人目もテーブルマナーも気にせず食べる食事は本当に美味しい。
一つめを食べ終わり、公園にでも行こうかと思いながら二つめを手に取ったところで、後ろから親しげに声をかけられた。この明るくて陽気な声は、友人のレイだ。
「おーい、フェリー!」
「レイ!おはよう!」
「おはよう。ハハ、またそれ食べてんのか?好きだよなぁ。」
「んふふ、だって美味しいんだもん。一個食べる?」
フェネリアはちょうど手に持ったスコーンをレイに差し出し、ニコリと微笑んだ。
「お、いいのか?ちょうど腹減ってたんだ。」
「よく言うわね。いつも私があのお店から出てきた時に声をかけてくるくせに。」
「バレたか。でも、ちゃんと俺の分も買ってくれてるんだろ?」
「バレたか。」
へへッと笑い合い、一緒にかぶりつく。美味しいものは一人で食べるより誰かと食べる方が何倍も楽しいし、美味しい。フェネリアは帽子のツバの陰から空を見上げて思いきり空気を吸い込んだ。
レイとは二年前、フェネリアが十六歳の頃に知り合った。いつものように屋敷を抜け出して街へ飛び出した日に、運悪くガラの悪い男達に捕まってしまったところを助けてくれたのがレイだった。レイはギルドの元締めの跡取り息子でこの辺りでは顔が広い。というより、ひと目見た者の記憶にバッチリと残る程、整った顔立ちをしている。
ライトブラウンの髪は無造作に乱れているがサラサラで、高く澄み渡る空のような青い瞳。黙っていれば大人の空気を漂わせるが、笑うと少年のように無邪気だった。
レイに助けられたその日はすぐに屋敷に帰る事になってしまったが、レイが裏で働いてくれたのか、それ以来フェネリアは街へ出かけても危険な目に遭わなくなった。
----あれから二年か。もうこういう事もできなくなるのよね…
今日を最後に二度と自由に出歩けなくなるのかと、考えただけで重い溜息が出る。
フェネリアには兄が三人いる。長男のイアン、次男のユーゼル、そして三男のカイナスだ。いずれも独身で、子供の頃から唯一の娘である妹フェネリアを溺愛しているのだが、十三年前に母を失ってからはそれがさらに強くなった。男だらけの中で育ったからかフェネリア自身は快活な性格なのだが、父と兄達は大事な娘・愛する妹をまるで獣から守るように屋敷の奥へと隠してしまった。
----ただでさえ窮屈なのに、なんで急に結婚なんて…
十日前、フェネリアは父に呼ばれて行った広間で『近いうちにお見合いがある』と告げられた。相手は実業家として有名なオズヴァン・ジューデル伯爵の長男だという。願ってもない相手に父親は満面の笑みで喜び、『屋敷の奥で大事に育てて良かった』としきりに口を湿らせたのだが。
----やだな…
今までは月に一度は外に出て羽を伸ばせていたが、来月からはとうとうそれもできなくなる。婚約などしてしまっては、己の行動の責任がジューデル伯爵家にも及んでしまうからだ。だからこうしてスコーンを頬張りながら街を歩き、レイやレイの友人で仕事仲間のイーゼンと会えるのも今日で最後。
ふと、そのイーゼンがいない事に気が付き、フェネリアは指についた蜂蜜を舐めているレイに声をかけた。
「ねぇ、今日はイーゼンは一緒じゃないの?」
「アイツは今日は別の仕事。」
「レイはお仕事に行かなくて大丈夫なの?」
「俺は今日は休み。ずっと働き詰めだったから無理矢理休みを取った。」
「跡取りも大変なのね。でも、だったら帰って休めばいいのに。どこまでついてくるのよ。」
「どうせ公園に行くんだろ?だったら芝生にでも寝転がってるよ。」
「ふぅん。じゃあ私は散歩にでも行ってくるわね。」
「おいー。そこは『私も一緒に寝転ぼうっと』だろぉ〜?」
レイの大きな手がフェネリアの帽子をグリグリと丸めてくる。フェネリアとしては最後に思う存分歩き回りたいのだが、友人と過ごせるのもこれで最後だと思えばそれも悪くないと首を縦に振った。
公園に着き、さっそく芝生の上にゴロンと寝転がる男に呆れつつ、フェネリアは隣に座ってポツリと呟いた。
「ねぇ。レイって確か、二十二歳よね?」
「あぁ。」
「結婚って考えた事ある?」
「あるよ。」
「あるんだ!?」
聞いておいて、まさかの返答に目を丸くする。そういう話は巨大スコップで掘り下げるのが礼儀というものだろう。フェネリアは寝ているレイの身体をゆさゆさと揺らし、目の上に置いてある腕を持ち上げた。迷惑そうなレイの顔が現れる。
「え、何、そういう人がいたの!?いるの!?」
「んー?これからプロポーズするとこ。」
「ひゃああぁぁ!何それ、いつの間に!?ちょっとちょっと、詳しく聞かせてよ!」
「ダメ。寝る。」
「ひどいぃぃ!」
結局何も教えてもらえないまま、レイは背中を向けて寝てしまった。
フェネリアは十六歳で社交界デビューをして以来、パーティーには一度も出席できなかった。招待状が来てもフェネリアは一人屋敷に残され、父と兄だけで行ってしまうからだ。そのせいで知人も親しい友人もいない。恋愛トークができる相手も、悩みを相談できる相手もいなかった。
----帰ろう。なんだか虚しくなっちゃった。
友人だと思っていたレイともそういう話ができない事に、胸がチクンと痛む。とはいえ、聞いたところで恋すら経験の無い自分には気の利いた事など言えないのだから、レイにとっても話すだけ無駄かもしれない。そう思った途端、一気に気分が落ち込んだ。
フェネリアは立ち上がり、尻についた砂を払ってまだ寝ている男に声をかけた。
「私、今日はもう帰るね。」
「もう帰るのか?今日ははやいな。」
「うん…あのね、」
「うん?」
「実はレイと会えるのは今日で最後なの。イーゼンにもよろしく言っておいて。」
「そうか…とにかく送るよ。」
「ううん、いらない。一人で歩きたいの。それじゃ…元気でね。」
フェネリアを見上げるレイの瞳が困惑に揺れている。
フェネリアは残りのスコーンが入った袋をレイに手渡し、帽子をキュッと整えて公園を後にした。
*
コンコン
「入れ。」
扉をノックする音に返事をして、書類に視線を戻す。この時間にこの部屋に来る人物など一人しかいないので、いちいち誰かは尋ねない。
「失礼します。レイナンド様、メディンソン子爵家の者から報告が届いております。」
「あぁ、やっと来たか。」
レイナンドはさっそく手紙を開けて文字に目を走らせた。そこには、メディンソン子爵家の次の召集日が書かれてある。毎月召集日が近付くとこうして部下から知らせがくるのだが、いつも痺れが切れかかった頃にやってきた。
「五日後か…。イーゼン、五日後の予定はどうなっている?」
「五日後でしたら特に何もございません。」
「そうか。じゃあ、最後の日はフェリーとゆっくりデートができるな。」
フッと笑って手紙を折り畳み、椅子に深くもたれかかる。月に一度、メディンソン子爵家の男達が出かける日にフェネリアと出かけるようになってから二年が過ぎた。
----やっとここまできた。
二年前。
ジューデル伯爵家の長男レイナンドはある日の夜会で初めてフェネリアを見かけた時に、その可憐さにひと目で心を奪われた。
艶のある金色の髪を緩くまとめ、大きな瞳は濃い菫色に輝いている。華奢な身体を包んだ薄いクリーム色のドレスとそれにあしらわれた宝石が控えめな華やかさを演出し、フェネリアをより一層美しく光らせていた。
人伝てに彼女は今夜がデビューの日だと聞き、他の男に取られる前に声をかけようとした。しかし声をかけようにもメディンソン三兄弟に完全にガードされている彼女には、レイナンドだけでなく誰一人近付く事さえできなかった。
そこでレイナンドはさっそく彼女について調べ始めたのだが、報告しに来たイーゼンの口から耳を疑うような内容が飛び出してきた。
「メディンソン子爵家のご令嬢は、毎月決まった日に屋敷を脱走しているようです。」
護衛兼侍従のイーゼンからフェネリアが少年の姿で屋敷を脱走していると聞いた時、驚きと同時に別の興味が湧いた。常に兄達に囲まれ、屋敷の奥で守られているのでてっきり世間知らずな箱入り娘かと思っていたら、とんだお転婆だったのだ。
「次に彼女が出かける日と、もし必ず行くような場所があったらそれも調べろ。時間もな。」
「かしこまりました。」
そして数日後。イーゼンを連れて調べた先に出向くと、予定より離れた場所にフェネリアの姿を見つけた。首を傾げて声をかけようと近付けば、なんと男達に絡まれている場面に出くわすという願ってもないシチュエーションがそこにあった。
すぐに助けに入り、フェネリアを下がらせて男達にだけ聞こえるようにコッソリと身分を明かす。相手が怯んだついでに『今後フェネリアに手を出したら即刻連行して首を落とす』と脅して追い払った。
本当はもっと時間をかけて仲良くなろうと思っていたが、この事がきっかけで予定よりもすんなりと二人は親しくなる事ができた。俺は持っているかもしれない、と己の幸運に酔いしれた。
外で会うフェネリアは、夜会で見た時の大人しい印象とはまるで違った。
よく笑い、よく喋り、よく食べる。大人しさのカケラも無かった。
「ねぇ見て、レイ!あんなにたくさん人が集まってるわ!」
「あー、誰か喧嘩してるみたいだな。」
「うわぁ、すごい!これどういう仕掛けになってるのかしら?」
「こことここが噛み合って動く仕組みになってるんだよ。」
「あれ?あれれ?ねぇ、この服ってどうやって着るの?ちょっと透け透けすぎない?」
「それは女性用の下着だよ。」
「え!?きゃあぁぁぁ!やだすごい!面白い!丸見えね!」
「あ、そっちの驚嘆ね。」
尽きない好奇心。飽きない会話。フェネリアとは何時間一緒にいても退屈しなかった。目の前の少女が今朝も屋敷から脱走してきたのだと思ったら、それだけで笑顔になれた。
そうやってフェネリアとの関係を深めつつ、裏ではメディンソン家との縁談の話を慎重に進めてきたおかげで、先日やっと婚約の許可がおりたのだ。
父親であるジューデル伯爵に呼ばれてその話を受けた時、レイナンドは心の中で両手の拳を天に突き上げた。
*
「結婚て考えた事ある?」
そう尋ねるフェネリアの声が少し沈んでいる事に、レイナンドは閉じた目を薄く開けた。
「あるよ。」
「あるんだ!?」
急に弾んだ声に変えて食いついてきたフェネリアに、レイナンドは少しムッとした。
何がそんなに嬉しいのだ、と。
俺が結婚するのがそんなに嬉しいのか、と。
「え、何、そういう人がいたの!?いるの!?」
「んー?これからプロポーズするとこ。」
「ひゃああぁぁ!何それ、いつの間に!?ちょっとちょっと、詳しく聞かせてよ!」
「ダメ。寝る。」
「ひどいぃぃ!」
これぐらいの意地悪は許されるだろうと背中を向けて寝ていると、ふとフェネリアが鼻を軽く啜っている音が聞こえた気がして無意識に身体が強張った。
----えっ、泣いてる!?
泣いているような気がするが、ただ鼻水を啜っているだけかもしれない。どちらにせよ、はやく振り返ろう。そして抱き締めよう。そう思って緊張気味に身体を起こすと、すでに立ち上がっていたフェネリアに頭上から声をかけられた。
「私、今日はもう帰るね。」
「もう帰るのか?今日ははやいな。」
「うん…あのね、」
「うん?」
「実はレイと会えるのは今日で最後なの。イーゼンにもよろしく言っておいて。」
「そうか…とにかく送るよ。」
「ううん、いらない。一人で歩きたいの。それじゃ…元気でね。」
そう言って立ち去るフェネリアの後ろ姿を目で追いかけ、小さくなりかけたところで側に控えていた護衛に後をつけさせた。
*
フェネリアと最後に会った日から十四日後、レイナンドは父オズヴァンと共にメディンソン子爵家を訪れた。
「やっと例の娘に会えるな。」
「もしかしたらいないかもしれませんが、その時は動揺なさらないで下さいね。」
「ふっ、実際に見てみたかったからちょうど良いわ。」
父親にはフェネリアの脱走について話してある。そうするようになった理由も。デートの時に見せるフェネリアの様子も。
脱走する娘を妻にしたいと話した時はさすがに拒否されるかと思ったが、父親は逆にフェネリアに興味を持ってしまった。変な部分が似て良かったと、初めて似ている事を喜んだ。
玄関で待っていると案内役の侍女がやってきて一礼し、額に冷や汗を流して静かに口を開いた。
「ようこそお越し下さいました。」
「うむ。」
「ご案内致します。どうぞこちらへ。」
侍女の声がどことなく震えている。レイナンドはふと周囲が騒がしい事に気が付き、チラと視線を向けた。
----なんだ?どうして皆、あんなに慌ててるんだ?
よく見れば使用人達が血相を変えて右往左往している。その様子に期待に胸を膨らませていると、廊下の向こうから一人の男が足早に歩み寄ってきた。フェネリアの父、ロックゼン・メディンソン子爵だ。
ロックゼンは数歩先で立ち止まり、動揺のあまり声を大きく震えさせた。
「伯爵様!も、申し訳ございません!」
「どうなさったのだ?そんなに慌てて。」
「それが…フェネリアの、娘の姿が見当たらないのです!」
「なんと。」
「ぶはっ!」
オズヴァンは後ろから聞こえてくる吹き出し笑いに振り返り、レイナンドに向けてニヤリと口端を上げた。
「レイナンド、これか?」
「はい…父上、少し出てきてもよろしいでしょうか。」
「行ってこい。」
レイナンドは呼吸を整え、姿勢を正して二人の男に向き直った。
「私の妻になる方を迎えに行ってきます。すぐに戻りますので、先にお話しを進めておいて下さい。」
では、と踵を返して玄関へ向かう。
レイナンドは門を抜けて、公園まで走っていった。
*
「見つけた。」
「え?…えぇ!?レイ!?どうしたのよ、その格好!」
芝生の上に座るフェネリアの驚いた表情を見つめながら、レイナンドはゆっくりと隣に腰を下ろした。フェネリアはいつもの脱走用の服を着ている。
「お前こそ、ここで何をしてるんだ?」
「あ…その…私は…」
「今日は見合いの日じゃないのか?」
「え?なんで知ってるの?」
「俺がその相手だからだよ。」
「え!?」
「酷いよなぁ。まさかすっぽかされるなんてなぁ。」
「え、え、ちょっと、どういう事?それじゃ、レイはギルドの元締めの跡取りじゃなく…」
「はい。私はジューデル伯爵家長男のレイナンド・ジューデルと申します。本日はフェネリア嬢に求婚しに参りました。」
「嘘でしょう!?だってこの前、そういう相手がいるって言ってたじゃない!」
「いるじゃないか、目の前に。」
「やっ、で、でも、あの時何も教えてくれなかったじゃない!」
「言えるわけないだろ。カッコいい姿で言いたかったんだから。脱走されたけど。結局ここで言うことになったけど。」
「う…」
「俺はお前の事が好きだ。お前が十六の時にデビューした夜会で見かけてから今までずっと、お前だけを見てきた。」
「あの…」
「お前が結婚に前向きじゃない事は知ってる。今回の脱走で確信した。でも俺はお前を諦めるつもりはないし、結婚した後お前を家に閉じ込めるつもりもない。」
「知ってたの?その…私が家に閉じ込められてた事…」
「知ってた。父や兄達に愛されている事も。それが過度にお前を縛り付けていた事も。それがお前には苦しくて、たとえ僅かでも自由を求めていた事も。」
「…。」
「いつも見ていたお前が本当のお前なんだろ?深窓の令嬢よりも、俺はそっちのフェリーの方がお前らしくて好きだよ。」
「私の…素の部分をいっぱい見てきたでしょう?全然お淑やかじゃないし、お嬢様らしくないし、子供みたいにはしゃいでたし…」
「それ、俺も一緒にやってたけど?俺はお前より四つも年上なんだぞ?今までお前の前でやってきた事を思い返してみろよ。目も当てられないぞ。」
「そ、そう、だけど…フフフ…そうよね、結構馬鹿な事…してたわよね…プクク…」
「笑うな。話を戻すぞ。俺はフェネリアを妻にしたい。今までみたいにずっと一緒に笑って暮らしていきたいと思ってる。」
「レイ…」
「俺と結婚してくれますか?」
レイナンドは手を差し出し、フェネリアを真っ直ぐに見つめた。二人の間に短くも長い沈黙が落ちる。レイナンドはさらにズイッと手を前に差し出し、すでに答えが出ている表情から返事を待った。
「フ、フフフ…はい、プクク、よ、よろしくお願いします…フフッ」
「よし!じゃあ帰ろうか。」
レイナンドは立ち上がり、フェネリアと手を繋いで今来た道を歩きだした。