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第69話 愛戦士ひまり

 桜子さんと紫乃さんが相打ちになり、残るはアタシと八神さんだけです。

 アタシは弾幕を張りながら、ジャミングをおこないます。




 八神さんのアメリカ行きを阻止しようと、桜子さんと必死に【黒鉄の武士】の練習をしました。

 でも、彼女が言うには、今のアタシは以前のアタシより、技量が落ちているそうです。手が不器用になってしまっているので、当然です。


 桜子さんは、アタッカーより、サポート役に徹することを勧めてきました。

 狙撃による援護、ミサイル攻撃へのフレア(囮弾)、カメラのジャミングなどが主な役割になります。


 今まで、ジャミングを使ったことはありませんでした。

 なんだか計算が難しく、お馬鹿なアタシにできるとは思えなかったからです。


 しかし、意外にもアタシは上手にジャミングができました。

 アタシは、実は計算が得意だったのです。


 それからは毎日ジャミングの練習です。

 アタシはメキメキと腕を上げ、機体操作とジャミングを同時におこなうことができるようになりました。


 桜子さんは「あはっ、これで八神君は私たちといてくれる」と、大喜びです。

 アタシもなんだか嬉しくなります。




「やがみさん、かくごしてください!」


 ジャミングに成功。八神さんの正面カメラをダウンさせました。

 アタシはゼロ距離射程からの一斉射撃を食らわせようと、急接近します。



 八神さんはアタシのことを好きだと言ったのに、アタシを置いて行こうとします。絶対許せません。あまりにも身勝手すぎます。


 それがアタシ達を守るためだと、彼は言います。

 でも、そんなことどうでもいいんです。ただずっとそばにいてほしい。たとえそれで不幸になろうとも。


 乙女心は理屈じゃ語れないんです!



「はっしゃ!」


 ショットガンとロケットを連射します。


 八神機プリヴィディエーニィ(ちょーカッコイイ名前です)の右腕大破!

 正面が見えないはずなのに、胴体への直撃を避けました。さすがです。

 ですが彼は、対艦刀を失いました。勝負ありで――


 バズンッ!


「きゃっ!」


 クーゲルシュライバー(以前のアタシのセンスの良さがうかがえますね)の左腕が大破しました。

 信じられません。正面カメラが死んでいるのに、スナイパーライフルを当ててくるなんて。



「やがみさんのかくご、しっかりつたわりました」


 そこまでしてアメリカに行きたいんですね。

 それが、あなたの愛の示し方ということですか。



「じゃあ、アタシのかくごをつたえます」


 アタシはそれを全力で止めます。

 それがアタシの愛の示し方です。


 アタシは再度ジャミングを仕掛けます。

 すでに彼のカメラは、復旧しているからです。


 対艦刀を失ったことで、彼の攻撃力は激減しています。

 アタシもショットガンを一つ失いましたが、まだもう一つのショットガンと両肩のロケットランチャーが残っています。

 断然アタシの方が有利です。


 八神さんはアタシを攻めきれず、ジャミングの操作を許してしまっています。



「70%……」


 あと30%でジャミングが完了します。

 そうすれば、アタシの勝利は確定です。


 八神さんはスナイパーライフルを撃ってきますが、単調な攻撃しか仕掛けることができず、アタシは簡単に対処できてしまいます。



「80%……」


 八神さん……また一緒にどんぶりパフェを食べに行きましょう。

 あなたと一緒にいるのは辛いけれど、でもきっとアタシは乗り越えられます。


 そうしたら、失ってしまった思い出をまた作っていきましょうね。



「90%……」


 この大会が終わったら、すぐにクリスマスです。

 みんなでパーティーをしましょう。

 そうだ! 紫乃さんと紬さんと一緒に、ケーキを作りますね!



「95%……」


 それから新年を祝って、みんなで初詣です。

 まだアタシは車いすでしょうから、階段がない神社に行きましょう。


 そうしたら次は……バレンタインデー!

 これは三姉妹で一波乱ありそうです! きゃはは!

 アタシ、手作りチョコを作りますね!



「100%! じゃみんぐかんりょうです!」



 さあ、これで終わりです!


 あなたはとっても強い人です。アメリカになんか行かなくたって、アタシたちを守れます。だってホテルでアタシを助けてくれたじゃないですか?



 アタシは、クーゲルシュライバーを八神機に急接近させます。

 八神さんはスナイパーライフルを撃ってきましたが、まったく見当違いの方向へ弾が飛んでいきます。

 牽制射撃をしたつもりなのでしょうが、まったく無意味です。


「ろっくおんかんりょう」


 今度こそ胴体に直撃させます!


 トリガーを引けば終わりです。これでアタシの勝ち――

 ブン。画面が真っ黒になりました。



「かめらが……!」


 まさか……まさか……!

 ジャミングをされたのですか!?


 彼も戦闘をしながら、ジャミングを同時におこなっていたと……!?


 確かに今思えば、彼の戦いぶりは序盤に比べ、キレがなかったです。

 ですが、ジャミングをしていただなんて、思いもしませんでした。


 カメラが死んだことで、ロックオンも解除されます。

 手動で当てるしかありません。

 そして、それは彼も一緒です。


 つまりあとは……。



「あたしがかつ!」


 どちらの思いが強いか。

 勝負を分けるのは、もはやそれだけです。


 八神さんの思考を読みます。

 彼ならどう来るか。


 ――きっと、ゼロ距離射程からコックピットを狙ってくるはず!




「ここです!」


 アタシは、正面に向かって、一斉射撃をおこないます。



 ――そして、大きな爆発音と共に、決着がつきました。


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― 新着の感想 ―
[一言] 思考のレベルに発声が追い付いていないのかな。 最終話まで決客はもつれ込みましたか。さて、どちらが。
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